伸ばしたその手は蒼き世界へ
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「愚か者め、女を庇ったか」
ロビンは目の前の光景の衝撃に、声も出せない。
苦しげな声を上げ、左胸を押さえて膝から崩れ落ちたサンジの姿を見て、クレスは満足とでも言いたげに妖しい笑みを浮かべた。
「黒足・・・貴様の心臓を、闇に縛り付けてやった」
「何、だと・・・」
光栄に思え、と言い放ったことでさらに怒りが爆発し、殴りかかろうと飛び出したルフィを制したのもクレスだった。
「私は黒足の心臓を握っている。生かすも否も私次第だ」
「何っ!?」
そうは言っても、クレスはその手に、何も持っていない。
頭の悪い奴には、論より証拠か?と挑発的な言葉をかけ、クレスは右手を強く握った。
次の瞬間、断末魔のような呻き声をあげたサンジに、仲間は困惑の視線を向ける。
心臓を握られるという想像もつかない苦しさに、サンジは完全に倒れ込んで動けなくなる。
「チッ、面倒な事になりやがった!!」
ゾロが悔しそうに舌打ちをした。
サンジの命は、クレスに握られてしまったことになる。
「望むなら、今ここで黒足の心臓を潰してやっても良いが」
「ふざけんな!!」
再びクレスに殴り掛かろうとしたルフィに、灼熱の熱風が襲い掛かってきた。
このままでは、火に巻き込まれるのも、もう時間の問題だった。
クレスは怪しげな笑みを携えたままサンジにゆっくりと近付くと、
苦しげにぐったりと倒れこむ金髪を掴んだ。
「まさか自分の身を捨てて庇うとは・・・恐れ入った。バラティエではそんな教育をしてたのか?」
「何で、知って・・・」
予想外の名前が出てきたことに、サンジは動揺の色を見せる。
「バラティエには昔、一度だけ行ったことがある。客としてな。まさかお前とこのような形で再会するとは・・人生は何があるかわからないものだな」
「クソ美味かった、だろ・・・」
この状況の中で、サンジは笑ってそう告げた。
「あぁ、美味かった。お前たち麦わらの一味にはつくづく驚かされる。お前の命を奪うのは実に惜しい・・・。美味い料理の礼に、命だけは助けてやる。闇に縛られたその身体で、苦しみながら生き延びてみるといい・・・それともここで灰になるか?」
そう言うと、クレスはくるりと踵を返して走り去っていく。
「お前ら先に行け!!おれはあいつをぶっ飛ばす!!」
そう言ってクレスを追いかけようと走り出そうとしたルフィの前に、ナミが立ち塞がる。
そんな彼女に邪魔するな!とルフィは一喝したが、ナミは怯むことはなかった。
「何言ってるの!!ここで私たちに万が一のことがあったら、誰がサンジ君を助けるの!?誰がなまえを助けるのよ!?優先するべきものを考えなさい!!あんたは船長でしょう!?」
そう怒鳴り付けたナミの言葉は、正論以外の何物でもなかった。
“あの子を・・・頼みます”
“おれ達に任せて、ルフィたちはなまえを助ける方法を探せ”
“自分の無力さを思い知れ、モンキー・D・ルフィ”
“今のお前らに、なまえは救えない”
全てを焼き尽くすかのように、無情にも炎は迫ってくる。
もう、一刻の猶予もない。
ルフィ達は、一斉に山を下りだした。