街を目指して家を飛び出した一行の目の前に、待ち構えていたかのように女がひとり立ち尽くしていた。

「久しぶりだな、ロロノア」

「お前は・・・！」

ゾロの姿を見て、冷たい瞳で笑った女。
そんな女を見た瞬間、愛刀に手を掛けるゾロ。
この状況の中でただ一人、どこか楽しそうな笑みを浮かべる女に、背筋が寒くなるような狂気を感じた。

「あの時は遊んでやるだけだったが・・・今日はそれでは済まない」

忘れもしない。

「なまえの姿で、乗り込んできた幻術師だ・・・！」

「何ですって！？」

ゾロの身体に弾丸を撃ち込んだ女。
一味に緊張感が走る。

「そっちから挨拶に来てくれるとはな・・・！」

殺気だったゾロを目の前にしても、そんな面倒なことをする必要はない、と軽くあしらう女に緊張感は高まる一方だった。

「悪いけど・・・あなた達には人質になってもらうわ。白ひげ海賊団と取り引きをするための・・・ね」

そう言って姿を現したのは、もう一人の女。
その姿を見て、一味はさらに絶句することとなった。

「リンデルちゃん・・・？」

エミーラが困惑しながら呼んだその名は、
今日の昼間に話したばかりのファイの教え子、リンデルだった。