星が輝く夜空、時刻は真夜中。
静かな草原に、似つかわしくない派手な爆発音が響き渡った。
そのすさまじい音に、全員の目が一気に覚める。
何事かと窓から外を見ると、目を疑うような光景が広がっていた。

「大変だ、火が・・！！！」

外の光景を見た全員の顔が瞬時に青ざめる。
すさまじい勢いで、炎が上がっていた。
美しい花や草木が芽吹く緑豊かな草原は、瞬く間に業火に包まれていく。
しかし、山火事で爆発音がする訳がない。
考えられることはひとつ、
襲撃だ。
こんな真夜中に急襲するなど、決して突発的なものではないことも想像がついた。
いつから狙われていたというのか。
どうしよう、と慌てふためきパニックになっているチョッパーやナミを、必死にロビンがなだめている。
火に囲まれてしまったら、それこそ本当に逃げ場がなくなってしまう。
どう考えてもまずいこの状況で、今一番優先するべきことは、とにかく早く逃げることだった。

エミーラも含め、全員が急いで山を下りようと準備を始めている中、伝電虫が鳴った。

「エミーラさん！おれだ！大丈夫か！？」

慌てた電話の声の主は、ロットだった。
無事よ、と落ち着いた様子でエミーラが答えると、よかった、と安堵の声を溢した。
街の住人たちが消火に向かっていること、自分も馬を引いてこちらへ助けに向かっていることを口早に教えてくれた。
街にまで響き渡るほどの、すさまじい爆音だったのだろう。
一味とエミーラは家を飛び出し、山を下るために赤々と燃える草原へと駆け出した。