伸ばしたその手は蒼き世界へ
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その日は、波が穏やかな夜だった。
食事の仕込みも終わり、不寝番のサンジはひとり、見張り台でタバコを吸っていた。
大分回復はしたものの、まだ休んでいたほうがいいとチョッパーから止められたが、どうしても動いていないと気が収まらなかった。
嫌でも思い出してしまう。
幻術師の前に倒れた、あの日のことを。
夢でもいいから、もう一度彼女の歌声が聴きたいと、
もう一度彼女の笑顔が見たいと、
どれだけ心の底から願っていて、何度、思っていたことだろう。
そして彼女の姿を見たときに、
“好きだ”という言葉を聞いたときに、
どれほどまでに幸せで、どれだけ喜んだか。
たとえ嘘でも、嬉しかった。
心の何処かでは分かっていた、何かがおかしいことを。
彼女がいるはずがないことも。
すべて分かっていたはずなのに。
幻術師がサンジの心に植え付けたものは、
甘い夢と、残酷な現実だった。
冷たい風が通りすぎていく。
無力な自分を責めるように。
あの時、自分に愛を告げてくれたのは偽者で、
本物の彼女は、何も思っていないことも。
すべて、わかっていた。
もう一本、タバコに火をつける。
もう何本目になるだろうか。
風に揺れる紫煙をぼんやりと眺める。
タバコの減りが異常に早い。
そうでもしないと、ダメになりそうだったから。
「情けねェな・・・」
“お前、あの呪われた女に本気だな?”
あぁ、そうだよ。本気だよ。
出来ることなら、おれの手で護りたかった。
彼女が本当に麦わらの一味に帰ってきてくれたなら、
腕の中に閉じ込めたまま、二度と離さないつもりだった。
そして、
この想いも、伝えるつもりだった。
呪いが解けて、
すべてを思い出したその時には、
彼女は、おれの想いを聞いてくれるだろうか。
今は何も、届かない。
前に進むしか、答えを探すしかない。
それも全部、分かっている。
“サンジ君”
また、名前を呼んでくれるまで。
君が元に戻るまで、
また、笑ってくれるまで。
この想いは誰にも明かさず、
心の中に閉じ込めたままにしておくことに決めた。
だけど、どうしようもなく。
なまえちゃん、君に会いたい。
食事の仕込みも終わり、不寝番のサンジはひとり、見張り台でタバコを吸っていた。
大分回復はしたものの、まだ休んでいたほうがいいとチョッパーから止められたが、どうしても動いていないと気が収まらなかった。
嫌でも思い出してしまう。
幻術師の前に倒れた、あの日のことを。
夢でもいいから、もう一度彼女の歌声が聴きたいと、
もう一度彼女の笑顔が見たいと、
どれだけ心の底から願っていて、何度、思っていたことだろう。
そして彼女の姿を見たときに、
“好きだ”という言葉を聞いたときに、
どれほどまでに幸せで、どれだけ喜んだか。
たとえ嘘でも、嬉しかった。
心の何処かでは分かっていた、何かがおかしいことを。
彼女がいるはずがないことも。
すべて分かっていたはずなのに。
幻術師がサンジの心に植え付けたものは、
甘い夢と、残酷な現実だった。
冷たい風が通りすぎていく。
無力な自分を責めるように。
あの時、自分に愛を告げてくれたのは偽者で、
本物の彼女は、何も思っていないことも。
すべて、わかっていた。
もう一本、タバコに火をつける。
もう何本目になるだろうか。
風に揺れる紫煙をぼんやりと眺める。
タバコの減りが異常に早い。
そうでもしないと、ダメになりそうだったから。
「情けねェな・・・」
“お前、あの呪われた女に本気だな?”
あぁ、そうだよ。本気だよ。
出来ることなら、おれの手で護りたかった。
彼女が本当に麦わらの一味に帰ってきてくれたなら、
腕の中に閉じ込めたまま、二度と離さないつもりだった。
そして、
この想いも、伝えるつもりだった。
呪いが解けて、
すべてを思い出したその時には、
彼女は、おれの想いを聞いてくれるだろうか。
今は何も、届かない。
前に進むしか、答えを探すしかない。
それも全部、分かっている。
“サンジ君”
また、名前を呼んでくれるまで。
君が元に戻るまで、
また、笑ってくれるまで。
この想いは誰にも明かさず、
心の中に閉じ込めたままにしておくことに決めた。
だけど、どうしようもなく。
なまえちゃん、君に会いたい。