伸ばしたその手は蒼き世界へ
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その日は、朝から天気が悪かった。
夜になって雨は止んだものの、風はまだ強く、波は荒れていた。
大半の船員たちが船の中で大人しく過ごしている中、マルコは1人甲板に佇む人影を見つけた。
海が荒れているのにも関わらず、こんな暗い中1人でいるのは関心しない。
誰かと思って近付くと、長い髪が風に揺れた。
「なまえ?」
マルコが呼び掛けると、長い髪の持ち主・・・なまえは振り返った。
こんな暗い中、何をしているのだろうか。
「なまえ、今日は波が高い。こんな暗いのに1人でいるのは関心しねぇよい」
何かあってからじゃ遅いよい、と付け加えてまでそう言うのには、きちんと訳がある。
マルコは悪魔の実の能力者。
万が一、彼女が高波に拐われてしまったら、泳いで助けることは、彼には絶対に出来ない。
ごめんなさい、と素直に謝るなまえに、何かあったのかと問いかけるも、その質問にはなまえは首を横に振って否定した。
『マルコは・・・初めて空を飛んだとき、どんな気持ちだったの?』
逆に質問を投げ掛けたのは、なまえだった。
そう聞かれても、それは、彼にとってはずっと昔の話。
「もう覚えてねぇよい。何年も昔の話だからよい・・・」
『私ね、マルコがすごく羨ましいわ』
自由に空を飛べるんだもの、と笑って付け加えた。
確かに、悪魔の実の中でも、空を飛べるのはほんのわずかでしかない。
「他の奴も羨ましがるけどな、考えてるより、そんなにいいもんでもねぇよい」
何事も慣れてしまえば、感動も薄れてくる。
マルコにとっては、空を飛べるのは当たり前のこと。
仕方がないと言えば仕方ないのかもしれない。
確かに空は飛べるが、この力の変わりに失った代償は、決して小さくはない。
後悔しているわけではないが、引き換えにしたものもあるのだ。
『自由に空を飛べたら、遠くにいる人にも会えるじゃない?』
空を飛ぶのと泳ぐのじゃ全く違う話だわ、と言って笑った彼女に、悪戯心のような、なんともいえない感情が沸き上がった。
「じゃあ、飛んでみるか?」
『え?』
いきなり言われた言葉が理解出来ないのか、なまえはぱちぱちと瞬きした。
「連れてってやるよい、空に」
そう言うと、マルコの姿が不死鳥に変わる。
蒼い炎に包まれた、神々しい鳥。
『これが・・・不死鳥・・・』
驚きを隠せずに立ち尽くしているなまえの身体を、マルコは片手で抱き締める。
「しっかり掴まってろよいっ!」
『えっ、きゃああっ!』
蒼い翼をはためかせ、漆黒の夜空へと急上昇を始めたマルコに、なまえはぎゅっとしがみついた。
夜になって雨は止んだものの、風はまだ強く、波は荒れていた。
大半の船員たちが船の中で大人しく過ごしている中、マルコは1人甲板に佇む人影を見つけた。
海が荒れているのにも関わらず、こんな暗い中1人でいるのは関心しない。
誰かと思って近付くと、長い髪が風に揺れた。
「なまえ?」
マルコが呼び掛けると、長い髪の持ち主・・・なまえは振り返った。
こんな暗い中、何をしているのだろうか。
「なまえ、今日は波が高い。こんな暗いのに1人でいるのは関心しねぇよい」
何かあってからじゃ遅いよい、と付け加えてまでそう言うのには、きちんと訳がある。
マルコは悪魔の実の能力者。
万が一、彼女が高波に拐われてしまったら、泳いで助けることは、彼には絶対に出来ない。
ごめんなさい、と素直に謝るなまえに、何かあったのかと問いかけるも、その質問にはなまえは首を横に振って否定した。
『マルコは・・・初めて空を飛んだとき、どんな気持ちだったの?』
逆に質問を投げ掛けたのは、なまえだった。
そう聞かれても、それは、彼にとってはずっと昔の話。
「もう覚えてねぇよい。何年も昔の話だからよい・・・」
『私ね、マルコがすごく羨ましいわ』
自由に空を飛べるんだもの、と笑って付け加えた。
確かに、悪魔の実の中でも、空を飛べるのはほんのわずかでしかない。
「他の奴も羨ましがるけどな、考えてるより、そんなにいいもんでもねぇよい」
何事も慣れてしまえば、感動も薄れてくる。
マルコにとっては、空を飛べるのは当たり前のこと。
仕方がないと言えば仕方ないのかもしれない。
確かに空は飛べるが、この力の変わりに失った代償は、決して小さくはない。
後悔しているわけではないが、引き換えにしたものもあるのだ。
『自由に空を飛べたら、遠くにいる人にも会えるじゃない?』
空を飛ぶのと泳ぐのじゃ全く違う話だわ、と言って笑った彼女に、悪戯心のような、なんともいえない感情が沸き上がった。
「じゃあ、飛んでみるか?」
『え?』
いきなり言われた言葉が理解出来ないのか、なまえはぱちぱちと瞬きした。
「連れてってやるよい、空に」
そう言うと、マルコの姿が不死鳥に変わる。
蒼い炎に包まれた、神々しい鳥。
『これが・・・不死鳥・・・』
驚きを隠せずに立ち尽くしているなまえの身体を、マルコは片手で抱き締める。
「しっかり掴まってろよいっ!」
『えっ、きゃああっ!』
蒼い翼をはためかせ、漆黒の夜空へと急上昇を始めたマルコに、なまえはぎゅっとしがみついた。