伸ばしたその手は蒼き世界へ
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『サンジ君・・・』
しばらく抱き締めあっていた彼女が、透き通った美しい瞳でサンジの目を見つめた。
『好き・・・』
囁くように告げられた、予想もしない言葉。
サンジの心臓は大きく跳ねた。
『私、ずっと前から好きだったの・・・』
なんて幸せな言葉なのだろう。
そんな言葉を彼女から聞くことが出来るなど、決してあり得ないと思っていた。
『好き、サンジ君。あなたが好きなの・・・』
切なく優しい、甘い声。
今にも涙がこぼれそうな目で見つめられ、何も思わない男がどこにいるというのだろう。
そんな彼女の姿を見て、何も考えられなくなる。
『もう離さないで・・・』
なまえはサンジの背中に回していた腕を首に絡め、引き寄せた。
甘い香りが強くなるのと同時に、ゆっくりとお互いの距離が縮まっていく。
あと数センチで、唇が重なろうとした時だった。
「・・・何の真似だい?」
言うことを聞かない身体に鞭を打ち、サンジはなまえの肩を掴んで止めた。
サンジに拒まれたなまえは、ひどく傷ついたような表情を浮かべる。
「君、なまえちゃんじゃないだろ?」
『サンジ君、何言ってるの・・・?』
「下手な芝居は好きじゃないんだ。君はなまえちゃんじゃない」
誰だ、と問い詰めた途端、小さく舌打ちをしたなまえの姿が、
ゆっくりと真っ黒なドレスに身を包み、彼女とは正反対の鋭い目をした女の姿に変わっていく。
「愚か者め。このまま大人しくしていれば、あの女の姿で幸せな夢を見させたまま・・・呪いの口付けをしてやったというのに」
女は悔しそうにそう言った。
「なぜわかった、私が偽者だと」
その問いかけに、サンジの表情は揺らいだ。
「・・・彼女に想われていないことぐらい、理解しているさ」
誰よりもなまえの姿を見てきたからこそ、サンジは痛いほどわかっていたのだ。
ーそんなわけがないと。
その答えに納得したのかしていないのか、女は漆黒の髪を揺らしながら、嘲笑うようにサンジを見下ろした。
「私が見せたのは幻だ。お前、あの女に本気だな?心の中では、あの呪われた女とこうなる事を望んでいる・・・男は本当に愚かで汚らわしい生き物だ・・・」
自分が馬鹿にされたことよりも、“呪われた女”という言葉に、サンジの機嫌は一気に悪くなった。
なぜこんな女が、彼女の姿をしているというのか。
「おれの前で、二度とその言葉を使わないでもらおうか。レディ」
そう言って睨み付けるものの、仮にも騙されかけた男の言うことかと、女は言葉を吐き捨てた。
そこには、さっきまでの優しいなまえの面影はどこにもなかった。
苦しむ彼女の姿を、こんな形で利用するとは。
「生意気な口を叩いても、今のお前には何も出来ない」
サンジが起き上がろうとした瞬間、部屋中に甘い香りが漂った。
その直後だった。
まるで金縛りにあったかのように、身体が動かない。
「何をした・・・!!」
「しばらくすれば動けるようになる。黒足・・・今この場でお前の命を奪うのは惜しい。今頃お前の仲間も、幻の虜になっているのではないか」
仲間にも手を出していることを予想させる発言に、焦りが浮かんだ。
「潔く諦めろ。あの女は美しい姿をした、災いを呼び寄せるだけの破壊神だ」
「黙れ!」
「また会うことがあったら・・・甘い呪いの口付けで、間違いなく地獄へと誘ってやる。覚悟しておけ、ジェルマの王子よ」
“私の名はリアティー、地獄へ誘う幻術師”
女の姿が消えると同時に、サンジの意識は急激に沈んでいった。
しばらく抱き締めあっていた彼女が、透き通った美しい瞳でサンジの目を見つめた。
『好き・・・』
囁くように告げられた、予想もしない言葉。
サンジの心臓は大きく跳ねた。
『私、ずっと前から好きだったの・・・』
なんて幸せな言葉なのだろう。
そんな言葉を彼女から聞くことが出来るなど、決してあり得ないと思っていた。
『好き、サンジ君。あなたが好きなの・・・』
切なく優しい、甘い声。
今にも涙がこぼれそうな目で見つめられ、何も思わない男がどこにいるというのだろう。
そんな彼女の姿を見て、何も考えられなくなる。
『もう離さないで・・・』
なまえはサンジの背中に回していた腕を首に絡め、引き寄せた。
甘い香りが強くなるのと同時に、ゆっくりとお互いの距離が縮まっていく。
あと数センチで、唇が重なろうとした時だった。
「・・・何の真似だい?」
言うことを聞かない身体に鞭を打ち、サンジはなまえの肩を掴んで止めた。
サンジに拒まれたなまえは、ひどく傷ついたような表情を浮かべる。
「君、なまえちゃんじゃないだろ?」
『サンジ君、何言ってるの・・・?』
「下手な芝居は好きじゃないんだ。君はなまえちゃんじゃない」
誰だ、と問い詰めた途端、小さく舌打ちをしたなまえの姿が、
ゆっくりと真っ黒なドレスに身を包み、彼女とは正反対の鋭い目をした女の姿に変わっていく。
「愚か者め。このまま大人しくしていれば、あの女の姿で幸せな夢を見させたまま・・・呪いの口付けをしてやったというのに」
女は悔しそうにそう言った。
「なぜわかった、私が偽者だと」
その問いかけに、サンジの表情は揺らいだ。
「・・・彼女に想われていないことぐらい、理解しているさ」
誰よりもなまえの姿を見てきたからこそ、サンジは痛いほどわかっていたのだ。
ーそんなわけがないと。
その答えに納得したのかしていないのか、女は漆黒の髪を揺らしながら、嘲笑うようにサンジを見下ろした。
「私が見せたのは幻だ。お前、あの女に本気だな?心の中では、あの呪われた女とこうなる事を望んでいる・・・男は本当に愚かで汚らわしい生き物だ・・・」
自分が馬鹿にされたことよりも、“呪われた女”という言葉に、サンジの機嫌は一気に悪くなった。
なぜこんな女が、彼女の姿をしているというのか。
「おれの前で、二度とその言葉を使わないでもらおうか。レディ」
そう言って睨み付けるものの、仮にも騙されかけた男の言うことかと、女は言葉を吐き捨てた。
そこには、さっきまでの優しいなまえの面影はどこにもなかった。
苦しむ彼女の姿を、こんな形で利用するとは。
「生意気な口を叩いても、今のお前には何も出来ない」
サンジが起き上がろうとした瞬間、部屋中に甘い香りが漂った。
その直後だった。
まるで金縛りにあったかのように、身体が動かない。
「何をした・・・!!」
「しばらくすれば動けるようになる。黒足・・・今この場でお前の命を奪うのは惜しい。今頃お前の仲間も、幻の虜になっているのではないか」
仲間にも手を出していることを予想させる発言に、焦りが浮かんだ。
「潔く諦めろ。あの女は美しい姿をした、災いを呼び寄せるだけの破壊神だ」
「黙れ!」
「また会うことがあったら・・・甘い呪いの口付けで、間違いなく地獄へと誘ってやる。覚悟しておけ、ジェルマの王子よ」
“私の名はリアティー、地獄へ誘う幻術師”
女の姿が消えると同時に、サンジの意識は急激に沈んでいった。