その昔話を聞いたロビンは衝撃のあまり、軽いめまいを覚えた。

虹の神、
七つの力、
選ばれし者、
闇魔術、
神に愛された娘。

こんなことが、あり得るのか。
偶然にもほどがある話だが、ひとつの光が見えたような感覚を覚えた。

これは間違いない、なまえのことだ。

そんな彼女の心中も知らないクリストは、穏やかな表情で
おとぎ話だと笑う人間がほとんどだが、この力は、まだ存在していること。
今、この事実を知るものはほとんど存在しないこと。
そして彼はこの石碑を守るために、この島に残ったことをロビンに告げた。

「クリスト博士、この力はもしかして・・・“セプトクルール”と言われているものではないかしら・・・？」

ロビンがそう聞いた途端、明らかにクリストの表情は変わった。
その様子に、ロビンの疑念は確信へと変わった。
彼は、闇魔術のことだけでなく、セプトクルールのことまで知っている。
そうなれば、この島自体が、なまえ自身に関わっているという可能性が出てくる。
このチャンスを逃すわけにはいかない。
ここで情報を得ることは、確実に何か解決の糸口となる。
そう確信した彼女は、即座に言葉を紡いだ。

「私は今、仲間たちと旅をしているの。闇魔術をかけられたのは私たちの仲間・・・そしてこの伝説の力の使い手でもあるの」

「なんだって・・！？」

ロビンもクリストも、お互いに信じがたい事実を持ち合わせていることに衝撃を隠せない。

仲間たちも交えて話を聞きたいと告げたロビンに、もはやクリストが断ることはなかった。
普段は冷静なロビンが、踵を返して走り出す。
その足音は、希望への道標か、
それとも未知へのいざないか。

閉ざされた歴史が、開こうとしていた。