「よっ、と……」

エースはサニー号の甲板に降り立った。

「あ」

エースが降り立ったのとほぼ同時に、ウソップが部屋から出てきた。

「やあどうも、弟がいつも世話になってるな」

ぽかんとしているウソップに、エースは片手を上げて挨拶をした。

「久しぶりだな。ルフィはいるか？」

「あ、あぁ・・・」

ちょっと待ってろ、と言って船の中に戻るウソップ。
エースは違和感を感じた。

いつもなら賑やかで活気のある一味。
しかし、今日は恐ろしいぐらいひっそりとしている。

不思議に思いながら、エースはルフィを待った。

「・・・・エース」

「ルフィ、久しぶりだな!!」

「あぁ・・・・」

笑顔こそは浮かべるものの、どこか疲れきっているような弟の姿に、エースは顔をしかめた。

「ルフィ、何かあったのか？」

「いや・・・」

何でもない、そう言おうとした時、女の悲鳴が響き渡った。


「お、おい・・・何だ？」

バタバタと甲板に近付いてくる足音。

「なまえさん、落ち着いて下さいっ!!」

『近寄らないで！！』

「大丈夫だ、おれ達はお前を攻撃しない！！」

『あなたたちの言うことなど信用できないわ！極悪人！！』

「なまえ・・・？」

間違いなく、暴言を吐いているのなまえだ。
一体何があったのかと、エースは驚きを隠せないまま、彼女の姿を見た。

その時、なまえとエースの目が合った。

『エース・・・？』

目があった瞬間、途端に泣きそうな表情になったなまえ。

『助けて！！！』

「うわっ!!」

思い切り飛び付いてきたリヤなまえを、反射的にエースは抱き止める。

『助けてエース！！私、いつか麦わらの一味に殺されるわ！』

耳を疑うような、信じられない言葉が飛び出した。
弟が、その仲間が、彼女を殺すわけがないのに。
何がなんだかわからずにいると、チョッパーがやって来て、手に持っていた注射針を、彼女の腕に刺した。
エースに抱き止められたまま、なまえは意識を失うように眠ってしまった。
眠ったなまえをゾロがエースから受け取ると、抱き上げて医務室へと連れていく。

もう、これが習慣になってしまった。


「ルフィ・・・何があったんだ？」

普通じゃないこの状況に、エースは困惑しながら問いかける。

泣きそうな表情を浮かべて、ルフィは口を開いた。

「なまえは・・・呪われてる」

俯いて、声を震わせた弟から出たのは、耳を疑うような言葉だった。