疲れの色を浮かべて、呆然と医務室の椅子に座り込むナミに、交代するわ、とロビンがコーヒーを差し出した。

なまえがいつ目を覚ますかわからないため、医務室に誰か１人、交代で必ず在室するようになった。

「ねえロビン・・・なまえ、元に戻るのかしら・・・」

いつもは明るい航海士の口から静かに零れ出た、弱気な言葉。
それだけでも、この状況が決して良いものではないことが手に取るようにわかる。

「いろいろな本や、古文でいろいろ調べてるけれど・・・呪いというのはあくまでも、架空の話として取り上げられているものばかり・・・難しいところね」

ロビンも昼夜問わず情報を得るために調べ続けていたが、博識の彼女ですら、何の手掛かりも見つけることが出来なかった。

今、２人の前ですやすやと眠るなまえは、ナミ達の知っている、優しく大人しいなまえの姿だ。

どうしてこの子が、こんな目に。

楽しかったあの日々には、戻れない。
何気ない毎日が、懐かしい。

この一件以来、サニー号は重苦しい雰囲気に包まれ、全員に明らかな疲れの色が見え始めていた。

しかし、なまえを放っておく訳にはいかず、辛い毎日を過ごしていた。

「一番可哀想なのは、チョッパーよ・・・」

見ていられないというかのように、目に涙を浮かべながら、それでもなまえを救うために、その腕に針を刺す姿を見て、一味は心が痛んでいた。







その頃、海の上を爆走する、一隻のストライカーの姿があった。

「ん？あれは・・・」

海の上を進む、大きな船。
見覚えのあるその船に、ストライカーの主・・・
エースはにっと笑みを浮かべると、進路を変えてまっすぐに進んでいった。