長い夢を見ていた。
そんな気がした。
頭の中がぼんやりとする。
記憶が定かではない。

私は一体、何をしていたのだろう。
だいぶ長く眠っていたような感覚だけがある。
身体が重く、あまり動けない。
ゆっくり視線を動かすと、目に飛び込んできたのはたくさんの本。
薬草のような葉っぱが干してあり、何かが入ったビンが置かれていた。
薬のようだ。

『病院・・・？』

ぽつりとつぶやいたその時、ガチャリとドアが開く音がした。

「・・・なまえ？」

名前を呼ばれ、そちらへ視線を向けると、ちょこちょこと不思議な生き物が歩いて近付いてきた。

「よかった・・・！わかるか？」

タヌキのような、トナカイのような、でも人間の言葉を話している動物が、心配そうに自分の顔を覗き込んでいる。

『あなたは・・・』

この子、どこかで・・・

“なまえ、よく聞け”

「なまえ、大丈夫か？わかるか？」

見覚えのある帽子。
これは確か、手配書に・・・

“麦わらのルフィ率いる麦わらの一味は、お前の力と命を狙っている、極悪人の集まりだ”

“船長だけでなく・・・あの一族は代々、人の命を何とも思わない野蛮な人間の集まりさ”

“ジュエル島を襲撃したのもあいつらだ。お前は攫われたんだ”

“なまえ、お前を助けに来た。頼む。お前の力で・・・麦わらの一味を。・・・世界を潰してくれ”



『いやあぁぁー!!』



みんなが寝静まっている真夜中のサニー号の医務室に、なまえの悲鳴が響き渡った。