ミスティーブルーのきらめき
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カイルはこの魔術を使えるようになってから、他人の考えていることや記憶が読めるようになったのだという。
視界に入っている人間であれば、距離などはまったく関係ないらしい。
つまり、写真などでも良いのだ。
「俺には、センゴクやガープが何を考えているかがわかる。
30年間、俺を捕まえられない理由はそれだ。
あいつらが何処で俺を待ち構え、どんな手で俺を狙ってくるのか・・・俺にはわかる。
お前がジェルマの記憶を無くさない限り・・・俺にはわかる。
父親や兄弟からひどい仕打ちを受けていたことも、お前が父のように慕う男が、自らを犠牲にしてお前を救ったことも」
言い当てた言葉にサンジは凍り付いた。
決して知られたくないことも、記憶から消してしまいたいことも。
この男の前では、無意味なのだ。
「しかし・・・これが通用しない人間が2人いた」
それが紛れもなく“選ばれし者”であった、マーサとティナだった。
カイルのこの力は、おそらく闇魔術の力なのだろう。
セプトクルールは、虹神の神聖なる力。
あらゆる闇と呪いを弾く、正に闇と正反対の光。
闇魔術で手に入れたこの力は、“選ばれし者”の2人には通用しなかった。
ティナを手に入れようと島を襲撃したが、カイルの力ではセプトクルールには勝つことが出来なかった。
敵なしだと思っていた自分の力。
これさえあれば、何でもできると思っていた。
それが、唯一通用しない相手がいた。
初めて味わった敗北。
「まさか、なまえのお母さんが死んだ原因って・・・!!」
チョッパーが思い当たった言葉に笑みを浮かべた男の表情に、焦りや恐怖とはまた違った、何とも言えない感情が沸き起こる。
そして同時に思い知ることとなる。
この男は、考えている以上に末恐ろしい、と。
「俺が海賊に攻め込ませたんだ。ティナを仲間にするために」
手に入れたいと思った。自分を負かしたその力を。
たまらなく欲しくなった。自分が唯一勝てなかった女を。
どんな手を使ったとしても。
しかし、そのティナの命も失われてしまった。
それが大きな誤算だったのだ。
命を落とすとは思わなかった。
代わりにマーサを連れて行っても、高齢だったため、身体が持つかもわからない。
そこで目をつけたのが、娘のなまえだった。
もしかしたら力を受け継いでいるのではないかと思ったカイルの予想は大当たりだった。
それからなまえ1人に狙いを定めたのだ。
襲撃して、また同じ結果になってしまっては元も子もない。
だからこそ海軍を使って、なまえを傷つけることなく島の外に出すという、慎重で綿密なシナリオを時間をかけて制作したのだ。
それなのに。
「俺の長年の計画を、一瞬でダメにしやがったのがお前らだ!!」
完璧なはずだった。
それをたまたま偶然居合わせただけのルフィ達が、長年の計画を根本から崩し、何もかも狂わせたのだ。
激しい怒りは恨みとなり、収まることがない。
それはまるで何もかもを焼き尽くす、業火のように。