「なまえの存在を知ってから、俺はずっとなまえが欲しかった。
しかし、ジュエル島の連中は揃って警戒心が強く、部外者はなまえには会うことすら出来ない。
ならば海軍を操って利用することを考えた。
元帥命令と言ってなまえを連れ出す作戦だったが・・・」

ダン！と悔しそうに叩かれた玉座が、鈍い音を立てた。
初めて、カイルが感情的になった瞬間だった。

「あと一歩のところで、お前たちが邪魔をした！！」

完璧な計画だった。
完璧なはずだった。
それを狂わせたのは、麦わらの一味だったのだ。

「麦わら。お前のじいさんは英雄と言われているが・・・多くの人間の命を奪い、国ひとつ吹っ飛ばした存在だ。そしてそれを何とも思わず、正義だと正当化しているような人間だ。
何人の人生を狂わせたと思ってる！？
それが堂々と“正義”を掲げているだと？笑わせるな！！
政府があんなことを起こさなければ、そもそも親父も俺もこんな術を蘇らせる必要もなかったんだ！！」

ガープへの怒りの矛先は、ルフィへと向いたのだ。

「なまえは関係ねェ！！お前ひとりでやってろ！！」

「お前の一族は・・・つくづく俺たちの運命を狂わせたいようだ。
海軍を操ってジュエル島へ行かせたのも！
島に砲撃したのも！
なまえが飯を食えなくなったのも！
全部俺の計画だ！！
世界最強の神の力と、世界最悪の闇魔術で！！！
俺は権力に、世界に・・・復讐をする！！！」

このためだけに、生きてきたのだ。
何もかもを壊した権力に。
すべてを奪った存在に。
長い年月を超えて、決着をつけるために。

「お前のじいさんがやったことは、殺人者と変わりないんじゃねえのか？これでも、“悪人は俺か？”」

畳みかけるような質問に、ルフィは言葉に詰まった。
多くの人間の命を奪った事件に、自分の祖父が関わっていたという事実。
それが結果として、自分の仲間を奪われる事態となってしまった。


「お前たちも《破壊される側》っていうのがどんなものか味わってみろよ」

すべてを奪われた者は、闇へとその身を堕とした。
すべてを奪うために。



“なまえ、お前のその神の力で・・・麦わらの一味を潰せ”