ミスティーブルーのきらめき
Your name?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「いいか!絶対に見つけ出すんじゃ!」
楽しい風景には不釣り合いな緊張感を携えて、多くの海兵が島に降り立っていく。
たくさんの海兵を従え、その中心で指揮を取っていたのは、“英雄”と呼ばれた伝説の海兵、ガープだった。
その長年の経験からか、どんな状況でも焦ることもなく笑い飛ばす豪快な姿が印象的だが、そんな彼も今回ばかりはどこか苦い表情を浮かべていた。
「え、じいちゃん!?」
その姿を見て驚いたのはルフィだ。
思わぬ再会に、同時にガープも驚きの表情を浮かべた。
「ルフィ!?お前、こんなところにおったのか!」
その声を聞いて、ルフィはまるでいたずらをした子供のような表情に変わる。
あのルフィでさえ、ガープには敵わないのだ。
「じいちゃん、何でこんなところにいるんだよ!」
まさか自分たちを捕まえに来たのか、と警戒するルフィだったが、そうではないようだ。
「ちょっと探している人物がいてな。この島に来たとの連絡が入ってな。急いでやって来たんだが・・・こんな奴を見ておらんか?」
ガープが出したのは手配書ではなく、一枚のチラシだった。
写真を見る限りでは、まだ若い青年のようだ。
全員がチラシを見るが、誰にも見覚えはなかった。
その反応に一足遅かったか、とばつが悪そうな表情を浮かべた。
「海軍の軍艦が民間の島に砲撃した事件があっただろう。こいつはその重要参考人なんじゃ」
それは、まだ記憶に新しい。
麦わらの一味が、目の当たりにした光景だ。
あの事件の背景には、驚くべき事実があった。
ある日、巡回を行っていた軍艦が一隻、忽然と姿を消した。
乗っていた海兵も誰一人として行方がわからず、当初は海難事故ではないかと騒がれたが、船の残骸は一欠片も見つけることが出来なかった。
不可思議なこの出来事に困惑する中、時を同じくして、海軍の軍艦が島に砲撃をするという事件が起きた。
その事件を起こしたのは、行方不明になった軍艦だったのだ。
平和を守るための海軍が、民間人の安全を脅かす行為など言語道断。
決して許されないことだ。
この件を重く見た世界政府は、調査に中将以上の幹部を派遣。
勢力を上げて、この軍艦を探し回っていた。
「あっ・・・」
最後にチョッパーに渡されたチラシを覗き込んだ少女が、何かを思い出したように小さく声をあげた。
「さっきおねえちゃんとおはなししてたの、このおにいちゃんだよ」
「え?」
思わぬ情報に、一味はまた顔を見合わせる。
「本当か?本当に、なまえとこいつが話してたのか?」
念を押すように問いかけるルフィに、少女は本当だよ、と少し頬を膨らませる。
そもそも、この小さな目撃者が嘘をつく理由などないのだ。
「じいちゃん!もしかしたら・・・おれの仲間が、そいつに連れ去られたかもしれない」
「何じゃと!?」
まだ確定ではないが、海軍に追われている存在と、なまえが接触する必要などないはずだ。
「ガープ中将!やはり見つかりません!・・・って、麦わらの一味!?」
今やこの海に知らぬ者なし。
超大物海賊を前に、海兵は慌て出す。
「も、も、目標変更!麦わらの一味を確保だ!」
「待て!」
一味に向けて戦闘態勢を取った海兵を、ガープが大声で制して止める。
「行け、ルフィ!」
「え!?」
「今回だけは特別に見逃す。早く追いかけるんじゃ!」
その有り得ない判断に、周りの海兵は彼の判断を咎めるかのようにその名を呼ぶが、責任は自分が取る、とガープはきっぱり言いきった。
「わしらも大至急出航だ!全艦、出航準備の号令を出せ!」
ガープは近くにいた海兵に命令を出すと、海兵は伝令、と叫びながら慌てて走っていく。
「あいつだけは、何をするかわからん!!」
そう言って背を向けたガープに、待って、と声をかけたのはロビンだった。
「手配書ではないということは、少なくとも彼は海賊ではないということ。
あなたほどの人間が追うということはよほどのこと。そして、あなたはこの人物を・・・知っているのではないかしら」
ガープが放ったその一言に隠された意味を、聡明な彼女は瞬時に理解したのだ。
「仲間が連れ去られたのだとしたら、私たちも無関係ではないわ。知っていることがあれば・・・教えてほしいの」
「・・・・・・・」
ガープは唇を噛んだ。
沈黙の中で脳裏に浮かぶ、悪夢のような絵。
崩れゆく島。
崩壊する国。
燃え盛る炎。
人々の泣き叫ぶ声。
身体に刻まれた模様。
吐き捨てられた言葉。
黒煙の中ではためいた天使。
何年過ぎても決して消えることのない、あの光景。
それは、ガープが今まで誰にも語ることがなかった苦い記憶。
呪いのような悪夢が今、静かに蘇ろうとしていた。
楽しい風景には不釣り合いな緊張感を携えて、多くの海兵が島に降り立っていく。
たくさんの海兵を従え、その中心で指揮を取っていたのは、“英雄”と呼ばれた伝説の海兵、ガープだった。
その長年の経験からか、どんな状況でも焦ることもなく笑い飛ばす豪快な姿が印象的だが、そんな彼も今回ばかりはどこか苦い表情を浮かべていた。
「え、じいちゃん!?」
その姿を見て驚いたのはルフィだ。
思わぬ再会に、同時にガープも驚きの表情を浮かべた。
「ルフィ!?お前、こんなところにおったのか!」
その声を聞いて、ルフィはまるでいたずらをした子供のような表情に変わる。
あのルフィでさえ、ガープには敵わないのだ。
「じいちゃん、何でこんなところにいるんだよ!」
まさか自分たちを捕まえに来たのか、と警戒するルフィだったが、そうではないようだ。
「ちょっと探している人物がいてな。この島に来たとの連絡が入ってな。急いでやって来たんだが・・・こんな奴を見ておらんか?」
ガープが出したのは手配書ではなく、一枚のチラシだった。
写真を見る限りでは、まだ若い青年のようだ。
全員がチラシを見るが、誰にも見覚えはなかった。
その反応に一足遅かったか、とばつが悪そうな表情を浮かべた。
「海軍の軍艦が民間の島に砲撃した事件があっただろう。こいつはその重要参考人なんじゃ」
それは、まだ記憶に新しい。
麦わらの一味が、目の当たりにした光景だ。
あの事件の背景には、驚くべき事実があった。
ある日、巡回を行っていた軍艦が一隻、忽然と姿を消した。
乗っていた海兵も誰一人として行方がわからず、当初は海難事故ではないかと騒がれたが、船の残骸は一欠片も見つけることが出来なかった。
不可思議なこの出来事に困惑する中、時を同じくして、海軍の軍艦が島に砲撃をするという事件が起きた。
その事件を起こしたのは、行方不明になった軍艦だったのだ。
平和を守るための海軍が、民間人の安全を脅かす行為など言語道断。
決して許されないことだ。
この件を重く見た世界政府は、調査に中将以上の幹部を派遣。
勢力を上げて、この軍艦を探し回っていた。
「あっ・・・」
最後にチョッパーに渡されたチラシを覗き込んだ少女が、何かを思い出したように小さく声をあげた。
「さっきおねえちゃんとおはなししてたの、このおにいちゃんだよ」
「え?」
思わぬ情報に、一味はまた顔を見合わせる。
「本当か?本当に、なまえとこいつが話してたのか?」
念を押すように問いかけるルフィに、少女は本当だよ、と少し頬を膨らませる。
そもそも、この小さな目撃者が嘘をつく理由などないのだ。
「じいちゃん!もしかしたら・・・おれの仲間が、そいつに連れ去られたかもしれない」
「何じゃと!?」
まだ確定ではないが、海軍に追われている存在と、なまえが接触する必要などないはずだ。
「ガープ中将!やはり見つかりません!・・・って、麦わらの一味!?」
今やこの海に知らぬ者なし。
超大物海賊を前に、海兵は慌て出す。
「も、も、目標変更!麦わらの一味を確保だ!」
「待て!」
一味に向けて戦闘態勢を取った海兵を、ガープが大声で制して止める。
「行け、ルフィ!」
「え!?」
「今回だけは特別に見逃す。早く追いかけるんじゃ!」
その有り得ない判断に、周りの海兵は彼の判断を咎めるかのようにその名を呼ぶが、責任は自分が取る、とガープはきっぱり言いきった。
「わしらも大至急出航だ!全艦、出航準備の号令を出せ!」
ガープは近くにいた海兵に命令を出すと、海兵は伝令、と叫びながら慌てて走っていく。
「あいつだけは、何をするかわからん!!」
そう言って背を向けたガープに、待って、と声をかけたのはロビンだった。
「手配書ではないということは、少なくとも彼は海賊ではないということ。
あなたほどの人間が追うということはよほどのこと。そして、あなたはこの人物を・・・知っているのではないかしら」
ガープが放ったその一言に隠された意味を、聡明な彼女は瞬時に理解したのだ。
「仲間が連れ去られたのだとしたら、私たちも無関係ではないわ。知っていることがあれば・・・教えてほしいの」
「・・・・・・・」
ガープは唇を噛んだ。
沈黙の中で脳裏に浮かぶ、悪夢のような絵。
崩れゆく島。
崩壊する国。
燃え盛る炎。
人々の泣き叫ぶ声。
身体に刻まれた模様。
吐き捨てられた言葉。
黒煙の中ではためいた天使。
何年過ぎても決して消えることのない、あの光景。
それは、ガープが今まで誰にも語ることがなかった苦い記憶。
呪いのような悪夢が今、静かに蘇ろうとしていた。