ミスティーブルーのきらめき
Your name?
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「すっごく上手だね、君の歌!」
本当に、久しぶりに外で歌を歌った。
潮風を感じながら歌っている時が、やはり一番幸せだ。
ジュエル島での日々を懐かしく思い出す。
そんな時に急に声を掛けられて驚いたのもつかの間、
さらにその姿を見て、なまえは二重に驚くこととなる。
『えっ・・・・・』
声を掛けてきたのは、可愛らしい白熊だった。
白熊が二足歩行していて、しかも人間の言葉を話している。
驚いて言葉も出ないなまえの姿を見た白熊は、自分のせいで驚いているのだと理解し、熊ですいません、と勝手に謝り勝手に落ち込んだ。
そんな白熊の後ろには、青年たちが数人いた。
その見た目はあまり穏やかではない。
身構えたなまえに掛けた言葉は、意外なものだった。
「お前、・・・ノースブルーの人間か?」
『え?』
驚く彼女に、今のはノースブルーの歌だろ、と続けて問いかけた。
『私は違いますけど・・・父がノースブルーの出身だったんです』
なまえの父、メルカはノースブルーの出身だった。
幼い頃、ノースブルーの曲をなまえに歌ってはよく聞かせていた。
なまえにとっては、父との数少ない大切な思い出だ。
『お分かりになるって事は、あなたもノースブルーご出身の方ですか?』
なまえからの質問に、青年は一瞬言葉に詰まった。
自分の故郷は・・・
「あぁ・・そうだ」
もう、世界のどこにもない。
『そうでしたか。私・・・この曲好きなんです』
そんな事情を知るわけがないなまえは、そう言って優しい笑顔を向けた。
その笑顔は、ローは何とも言えない不思議な心境へと導いた。
「・・名前は」
『えっ?』
「お前、名前は?」
『なまえと申します。あなたは・・・』
初対面のはずだが、どこかで見たことがある顔だ。
「おれたち、ハートの海賊団なんだ!」
ローが名乗る前に、おれはベポ!とニコニコと嬉しそうに言った白熊に、後ろにいた青年ふたりが慌て出す。
海賊など、胸を張って言えたものではない。
世間では恐怖の対象、一般人を驚かせるだけだ。
『じゃあ、あなたは・・・』
「トラファルガー・ローだ」
最悪の世代と名高く、いまや有名となったロー。
まぁ、と驚いたなまえだったが、心底嫌がる様子はない。
この島に住んでいるのか、と聞くと、彼女は訳あって旅に出ていると言う。
「またどこかでお会い出来るといいですね。ローさん、ベポさん」
そろそろ失礼します、と頭を下げて走っていく後ろ姿を、ローはどこか遠い世界から見ているように見つめていた。