ミスティーブルーのきらめき
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「作戦成功ですね、マーサ様」
速度を上げてジュエル島から離れていく、何隻もの海軍の軍艦。
それを見ていたマーサは、海に向かって笑顔を向けた。
サンジの考えた策は、なまえを麦わらの一味の船に乗せ、ジュエル島から脱出するというものだった。
そして「なまえが海賊に拐われた」とマーサが海軍に助けを求めれば、なまえの誘拐が目的の相手は間違いなく、すぐに追ってくると睨んだのだ。
そうすれば、島に砲撃する時間を与えることなく、島を離れさせる事が出来る。
突然の決断を迫られることとなったが、迷っている時間はなかった。
これならば、なまえを奪われる事もなく、島民を守ることも出来る。
その作戦は見事に成功し、海軍はすぐにジュエル島を出航した。
外部に知られていないはずのセプトクルールの存在を知っていて、しかもこんな用意周到な計画まで練られて狙われてしまった以上、なまえはいつ狙われるかわからない。
彼女にとって、ジュエル島は安全な場所ではないということになる。
セプトクルールは、世界を動かす強大なもの。
しかし、それがなまえが傷つけられる理由となることを、誰も望んでいない。
セプトクルールによって、命を落とすという悲劇に巻き込まれてしまったふたりと、同じ運命を辿らせたくない。
それは、家族としての強い願いだった。
なまえの母ティナも、一族の生まれという理由でこの力を扱えるだけで、望んで引き継いだ訳ではない。
この力がなければ、自分の娘でなければ。
ふたりはまだ生きていられたのかもしれない。
そう思うと、その悲しみは何年過ぎても癒えることはなく、決して消えることはなかった。
「ルフィ殿、そして皆さん。老い先短い老人の後生の頼みです。なまえを・・・この島から逃がしていただきたい」
マーサにとって、たった一人の家族となってしまったなまえ。
彼女の存在は、マーサの生きる理由そのものだったのだ。
あの悲劇を、繰り返す訳にはいかない。
「心配すんな、必ず守る!」
忌まわしい記憶を吹き飛ばすようなルフィの力強い言葉に、仲間たちも頷いた。
そして改めてなまえの方に向き直ると、ルフィはまっすぐに彼女の目を見つめて言った。
「なまえ、おれたちと来い!」
その目が、その言葉が、強いと思った。
不安しかないこの状況で、
この目は、この手は、必ず光へと導いてくれる。
偶然出会ったばかりの存在だったけれど、確かにそう思ったのだ。
『はい!』
力強い返事を返したなまえに太陽のような笑顔を返すと、行くぞ!と言って一味はサニー号へと走り出す。
『おばあさま、行ってきます!』
そう言ったなまえの笑顔は、輝いていた。
“お母さん。私、いつかこの目で世界を見てみたいわ!”
目を輝かせてそう言っていた、愛娘の姿を思い出す。
悲劇によりその夢は叶わなかったが、代わりになまえが、その夢を叶えてくれるはず。
突然の旅立ちとなってしまったが、きっと大丈夫だ。
あの子は、ひとりじゃない。
新しい仲間と、多くの人の願いを乗せて、
サニー号は新しい冒険へと走り出した。