その頃、なまえは荷物をまとめていた。
あまりにも急な話で、何日保護されるのか、すぐに島に帰ってこれるのか、それすらもわからない。
そもそもなぜ保護されるのか、詳しい理由もわからないが、背くわけにもいかない。

出発までゆっくりしようと、マーサが淹れてくれたお茶を飲んでいると、ドアを派手に叩く音がした。
海兵との約束の時間にも、まだ早い。
こんな朝早くから一体誰かと思いながらもドアを開けると、麦わらの一味が立っていた。

なまえの姿を見るや、よかった、まだいたんだな、とルフィは安心したように言った。

ロビンが手短に、的確に状況を伝えた。
これは保護などではなく、誘拐の可能性が高いこと。
海軍は、島を攻撃するつもりでいること。

『そんな、まさか・・・！！』

話を聞いたなまえの顔は、青ざめていた。
本当に間違いないのか、と念押しをするマーサに、チョッパーとウソップが本当だ、ときっぱり言い切った。

「なまえを手に入れたら、島を吹き飛ばすとか、ばーさんを人質にするとか、とんでもない事言ってた」

「それに、セプト・・・なんとか？ってやつさえ手に入ればいいとか・・・」

「なんじゃと！？」

チョッパーの言葉に、今まで黙って話を聞いていたマーサが血相を変える。

『おばあさま、まさか・・・』

ふたりの表情は、明らかに変わった。

「それが本当ならば・・・10年前と同じじゃ。あの悪夢の日と・・・」



それはマーサにとっても、なまえにとっても、二度と思い出したくない出来事だった。