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わたし
ノボリさん、こんばんは。
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わたし
突然なんですけど、明日会いに行ってもいいですか?
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ノボリ
ええ、構いませんよ。
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ノボリ
しかし珍しいですね、どうかなさいましたか。
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わたし
ありがとうございます。
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わたし
少し、不安になっちゃって。
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ノボリ
いえ、とんでもない。
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ノボリ
さて、その不安とは?
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わたし
ううん、なんて言えばいいかわからないけど……
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ノボリ
ゆっくりで大丈夫ですよ。
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わたし
わたし、旅を続けたくて。
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ノボリ
ええ。
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ノボリ
それはもちろん、承知しております。
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わたし
でも、ノボリさんと離れちゃうの、寂しいなと思って。
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わたし
ずっと一緒にいたいって思っちゃって。
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わたし
わたし、わがままですか?
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ノボリ
いいえ、わがままだとは思いません。
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ノボリ
わたくしも、ナナシ様と離れるときは、とても寂しい気持ちになりますから。
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わたし
本当ですか?
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わたし
ノボリさん、表情とか全然変わらないから、わたしばっかり好きなのかなって。
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ノボリ
……もう少し、態度を改めなければなりませんね。
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ノボリ
わたくしがもっと感情表現をしていれば、ナナシ様を不安にさせることもございませんでしたのに。
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ノボリ
不安な気持ちを抱かせてしまい、申し訳ございません。
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わたし
そんな、謝らないでください。
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わたし
わたしがただ、子どもっぽいだけで……
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ノボリ
子どもじみていたのはわたくしの方でございます。
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ノボリ
ナナシ様の好意に甘えて、気持ちを伝える努力を怠っていたのですから。
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わたし
ノボリさん。
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ノボリ
はい。
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わたし
好きです。
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ノボリ
わたくしもです。
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ノボリ
ナナシ様のことをお慕い申しております。
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わたし
明日いっぱい、お話ししてください。
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ノボリ
ええ、伝えたいことが山ほどありますから。
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わたし
……それじゃあ、また明日。
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わたし
おやすみなさい。
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ノボリ
おやすみなさい。
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ノボリ
良い夢を。
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