16話
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「風邪とかは」
「引いたことないよ?」
それで今までよく風邪をひかないで生活が出来ていたものだ。もしかしたら異能で体を温めていた?
でもそうなれば異能があんな暴走を起こして家を燃やすほどなるのだろうか
「ちゃんと布団には入ってね」
「はーい」
布団に入ったのを確認してからお兄ちゃんに話さなければいけないことが増えてしまった
きっと、織田さんだってこんなことを訊いたら怒るだろう。あの孤児たちを大事にしていたくらいだ
「ただいまぁー」
「お帰りなさい」
「子供たちは?」
「布団に入ってる。お兄ちゃん」
「ん?」
「あの子たち、プリンを見るのも初めてだった」
「え?」
「冷蔵庫にあたしの好きなメーカーのプリンがあったのね」
「うん。茉白に買っておいたプリンだからね」
「あのプリンを見てみた事無いってそう言ったの。だからあたしが食べるよりもあの子たちに食べて貰いたくて残しちゃった」
「あんなもの位私がいつでも買ってあげるさ。茉白にだって」
「お兄ちゃん…」
「で?まだ何かあるのだろう?」
お兄ちゃんはきっともうあたしが言う事を分かって居るのだろう。其れだけの時間も過ごしてきているあたし達兄妹だから分かることで
「あのね…」
「うん」
「あの子たち、布団も用意されていなかったみたいで家にいた時には中にいるからって薄いのしかなかったらしいの」
「は?」
「だから、布団の暖かさもあの子たちは今日初めて知ったの」
「それはまた…」
「あたし達は津島と決別してる人間だから何とも思っていなかったけど
でもそれでもやっぱり、子供達には子供達らしい生活をして欲しい」
「そうだね。茉白はそういう優しい子だ」
「え?」
「明日、社長に掛け合ってあの子たちを探偵社員にしてもらおうか織田作と話して来た所だ」
確かに社長の異能である程度の制御をできるようになればそれは其れで良いのだけれど
「後は、夏目先生だ」
「お爺様?」
「あぁそうだよ。あの子たちに私たちと同じ太宰の姓を名乗らせるのか、それとも津島のままにしておくのか。其れを明日相談してくる」
「そっか」
「私よりも的確にいい判断をしてくださるだろう」
「そうだね。あたし達に太宰という素敵な苗字をくださったお爺様だもん」
寝室を覗くと子供たちはちゃんと布団にくるまって寝ていて
「明日。私と茉白を社長と乱歩さんが休みにしてくださっているんだ」
あ…だから明日社長に掛け合ってくれるのか
「茉白は子供たちと一緒に居てくれ給え」
「分かった」
なら明日は子供たちに必要なものを揃えに行かないと
ポートマフィアにいた頃に入っていたお金を使っていなくて良かったとつくづく思っている
探偵社でのお金でまかなえてしまっているのも事実としてあるわけで
「お休みなさい」
襖を閉めると
「茉白の小さい頃を思い出すよ」
「え?」
「あの家を出て直ぐ、あの子たちと同じ表情をしていたことが多くてね。森さんに拾われた時もあの子たちと同じ顔をしていた。
ポートマフィアで大佐をお爺さんと言っていた時には驚いたけど、姐さんも何も言わなかったところを見ると大佐が何かを言ったんだろうなって思ってた」
そうだね。あの時代は
「大佐に言われたんだよ。自分を幹部としてではなく、あたしとでは爺さんと孫位の存在だと。だからお爺ちゃんと呼んでいいとそう言ってくれたの。あの時は紅葉さんも其れを訊いていてね。紅葉さんが何も言わなかったのも言わないのも直接聞いてくれていたから」
「そうかい」
