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「第一、なんでてめぇみてぇな女が」
「マフィアに在籍している俺と一緒に居て助けを求めて話せるのかって?
この間見せた奴もいるばかりだってのにまだ分かんねぇ馬鹿がいたとはな」
「素敵帽子君。きっとそれを言った所でこの人たちは信じやしないよ。茉白の過去の経歴は真っ白なままだ。探偵社に入社する前のはね。茉白の経歴を消したところで最初に見抜いたのは僕だ。というよりも4年も前から知って居たことだ」
「流石ですよ。乱歩さんは」
だから織田さんを救ってくれて今もあたしは織田さんと一緒にいることができる。ポートマフィアという闇の中でしか生きた事の無かったあたしが織田さんの言葉1つで抜け出して探偵社に着てしまったんだから
「シシシ。それって俺達にも言えない過去があるって事じゃんか」
「そうですよ?貴方方に云うつもりもないですけど」
ナイフを取り出した男に
「そいつは使わねぇ方が身の為だぜ?」
「どういう」
ナイフを持った男の影を利用して目の前に作り出すと
「何だ?」
「あなたの目の前に居るのはあなた自身ですよ?貴方が攻撃をすれば、その攻撃も貴方に返って来る。当然あたし達は無傷で済みますけどね」
「シシシ、マジかよ」
「益々ほしくなった」
「渡さねぇよ」
中也君があたし達の方を見て
“早く行け”の合図をしてくれたおかげで、乱歩さんと一緒に男の人達から抜け出すと
駅のホームは人でごった返していて
「茉白一寸止まって」
「何です?」
あたしの洋服の裾を掴むと
「全くこんな物をつけられても気づかない位気が抜けているとほんと僕も太宰も心配なんだけど」
そう見せてくれたのは小型の盗聴器で
「何時の間に」
「腕を掴まれたときだろうね」
下に落とすと足で踏みつぶした乱歩さんは
「さて、駄菓子買って帰ろ」
「はい」
乱歩さんと駅から歩いて駄菓子屋に行くと、いつも通りの量よりも多く買い込んでて
「今日はまた随分と」
「余計に頭を使ったからな」
「そうですね。あたしも今日は疲れました」
「だろうな」
探偵社に戻ると賢治君が電話を取って居て
「谷崎さん。今日社長は?」
「大事な用時とかで出かけてるよ。夜まで戻らないって」
「この探偵社で2番目に偉いのって誰ですか?」
「え?」
「軍警さんに社長の不在時の代表者を訊かれたんですけど」
「そう言われてもねぇ。いつもこういう時茉白ちゃんが電話を取っていたからねぇ」
「ただいま戻りました」
そう言って入ったあたしと乱歩さん。すぐに乱歩さんは自分の席に戻っているけど
「あ、いい所に」
「何です?」
「軍警さんから」
軍警?何だろう?
「社長に連絡をと来たんですけど」
「あぁ成程そういう事ですか。待ってください。すぐに出ますね」
「はい」
電話を受け取ると
「お電話変わりました」
電話の対応をすると
「申し訳ありません。社長は用事があって夜まで。社長代理も別件の仕事で外に出ておりまして…」
話を聞きながら連絡を受け取ると
「はい。承知いたしました。失礼いたします」
電話を切ると
「凄いですね。僕たちはどうしていいか分からなかったのに」
「2番目に偉い人ってやっぱり乱歩さんかなぁ」
「乱歩さんは電話応対なんかしないですよ。寧ろ嫌がる」
「え?」
「でも経歴も成績も1番だし」
「僕は違うぞ」
「ん?」
直ぐに否定した乱歩さんはお菓子を食べながらゲームを始めていて
「茉白が言っただろ。偉いとか指揮なんてアリンコほどにも興味ないからな」
クスクス笑っていると
「え?茉白ちゃんは知ってたんだ?」
「勿論。言ったでしょう?“社長代理が不在”だと」
「確かに」
「んー。だったら…太宰さんかなぁ。茉白ちゃんはまだ学生だし、この探偵社の社長は」
「絶対にありえないですね」
「ねぇ、太宰さん」
訊いている谷崎君の言葉はムシをしていてもお兄ちゃんは国木田さんを悩ませる方法しか考えていない様子で
「どうすれば国木田君を血を吐く程苦悩させられるんだ」
「相変わらず、人で遊ぶのが好きだね。お兄ちゃんは」
「面白いじゃないか」
面白がってるんだ?
「織田作なら今日は休んでるよ」
「知ってる」
「しっかし、何であの帽子置き場の匂いが付いているんだい?乱歩さんと一緒に居ながら密会なんて出来るはずがないだろう?どこかで遭遇したんだね」
「さすがお兄ちゃん」
「茉白の過去の経歴が真っ白な事を良い事に相変わらずな馬鹿たちが狙ってるんだよ」
「へぇ。其れはまた」
「でも茉白ちゃんも知って居るんですよね?先ほどの電話で話している所を見ると」
「えぇ。知って居ますよ」
きっと探偵社の次期社長が誰なのか。知って居るのは既に言われている本人とあたし達兄妹。そして乱歩さんだけだ
「武装探偵社の次期社長は誰か…実はねもう決まって居るのだよ」
そうけろっと言ったお兄ちゃんに驚いている探偵社の3人。
「太宰ー。僕はもう帰るぞ。茉白も狙われないように早めに帰るんだぞー」
そう言って興味なさそうに帰って行った乱歩さんを見送ると乱歩さんの机の周りを片付け始めたあたし
「え?」
「知らなかった」
「誰なんです?」
「茉白ヒントを出してあげたら?」
「彼は“旗を掲げるもの”揺るがず、翻らず、弱気を知る。人の上に立つ器。ただし、頭が固すぎるのが玉に傷ですけど」
「え?」
「そう次期社長は国木田君しかいない」