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探偵社の皆が鏡花ちゃんの入社のお祝いをしている中あたしとお兄ちゃんはある美術館に来ていた
「ねぇ、お兄ちゃん」
「何だい」
「あの時なんで紅葉さんをずっと探偵社に置いていたの?紅葉さんみたいに幹部クラスで有れば探偵社からの脱出なんて簡単だと言うのに」
「知りたいのかい?流石だねぇ」
そう出してくれたのはボイスレコーダー
「何?」
「訊いてみたらわかるよ」
レコーダーにイヤホンを指すと
「姐さん。大人の取り引きをしよう。鏡花ちゃんを助ける計画がある。
当然茉白も巻き込むことになってしまうけど」
「何?鏡花を助けるのに茉白まで傷つけるというのか」
「成功すれば、彼女の命と夢を同時に守れる唯一の方法だ。その為にはどうしても茉白の力が必要だ」
「ならば仕方なかろう。じゃが茉白をあの時のように泣かせるでないぞ。茉白とてわっちの大事な娘じゃ」
!?
紅葉さん、あたしをそう思っていてくれていたの?
お兄ちゃんの妹だから優しくしてくれていたんじゃなくて、ちゃんとにあたしをあたしとして見て接してくれていたんだ
「無論。同じことを中也も考え動くぞ」
「だろうね。中也と私と同じ年の男が探偵社にはいる。でも茉白はその男には懐かず、心も開かないよ。其れはこれから先も変わらない」
「そうかえ。あの子の心は繊細じゃからのぉ。鏡花だけじゃなく茉白の一大事にはわっちも駆けつけようぞ」
「そうしてくれると兄としても安心ですよ」
そう途切れたボイスレコーダー
「お兄ちゃん…」
「姐さんの本音も訊けただろう」
「うん。ちゃんと見てくれているんだね、紅葉さんって。幹部だからこそ他の人った位と同じようにお兄ちゃんの妹だからって理由で見ているんだって心のどこかで思っていたのに」
「何を言っているんだい?お茶や所作。色々と教えてくれているのは茉白だけだよ。鏡花ちゃんには教えてすらいない」
美術館にはいると風景画の前に座ったお兄ちゃん
「変な絵だねぇ。此れなら私にも描けそうだ」
お兄ちゃんの隣の椅子に座った人物を見ると
「広津さん。例の件助かったよ」
「あの程度で良かったのかね。私は白鯨潜入を樋口君に漏らしただけだよ」
「彼女が知れば芥川君に伝わる。芥川君が知れば必ず単独で乗り込んでくる。予想通りだ」
「流石だねぇお兄ちゃん」
「何だ君も」
「広津さん。今回の件で少なからず芥川君は茉白をただのお飾りの私の妹とは見なくなりそうだよ」
「ほう。然しそうまでして芥川君と虎の少年を引き合わせた理由は何かね」
「確かめたかった。まもなく来る
「奴?」
「嘗て私が会ったあの魔神。ヤツとの戦いは避けられないだろうからね
芥川君は単独でも十分破壊的だけど、本来は後衛で真価を発揮する異能力者だ」
「敦君のような速度とタフネスを持つ前衛を補助すれば、凄まじい戦力になるから?」
「あの魔神と戦うには、これまで以上に強い力がいる」
「でもそれは双黒には及ばないでしょう?」
「その双黒を超える新しい力。それがあの2人です」
「太宰君。君がそれほどまでにこの横浜を大切に思っているのは矢張り」
「えぇ。友人に言われたんです。どうせなら人を救う側になれ。茉白には光の下が似合う。こんな闇の世界よりも。その方が幾分か素敵だと。そう友人が言ってくれなければ今でもポートマフィアに私も茉白もいたのかもしれないですしね」
「!?」
「天衣無縫か」
「えぇ。茉白に異能力がなければ譲渡する心算だったみたいですしね」
「え?」
織田さんはそんな事を考えてくれていたの?
「広津さん。何故貴方のような人が茉白を毛嫌いするのか私には分からなかった。
茉白を嫌っていても茉白が心を開かないほどの人材ではない。寧ろ大佐や姐さん、中也と言った幹部には心を開いたのに何故その部下には心を開かなかったのか」
「恐怖だろう。確かに太宰君の妹にしては少しどころではない。かなり抜けている所が多く見て取れている。其れは幹部殿に懐いていたあの時からも見て取れている。だからこそ、本当に太宰君の妹なのかと疑いもしたくなったのだ」
そうだったんだ
「きっと茉白は其れを恐怖だと思ってしまった。だからポートマフィアで見方が誰もいなかった。そう言ったんだろう」
「そうだったのか。だが今はマフィアの幹部の妹じゃない。探偵社の人間。そうみてくれているからこそ茉白が自由で安心できてポートマフィアにいた頃よりも少しでも安心できている生活がある。だけど茉白が組合に狙われた理由が分からない」
「
「成程ね。津島ね…」
「ヤダよ…あんな家…」
「大丈夫。帰らせるはずがないだろう。帰らせる手筈ならとっくにあの家に戻しているさ」
あ…
「まぁ津島の家の事はおいおい考えよう。じゃあ、広津さんまた」
「あぁ。君たちも体調には気を付けるのだぞ」
「はい」