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「鏡花ちゃん。君が望むなら殺しで生きる道を用意してやってもいい」
「んっ…」
「けど、君は躊躇している。君によく似た女の子を私は知って居る」
「え?」
そう言った鏡花ちゃんの声は戸惑いを隠せていないようで
「そして今その女の子は私の隣にいる。話を聞いてくれるそうだよ」
お兄ちゃんがあたしに目配せをして、自分のインカムを外したお兄ちゃん
「初めまして」
実際会ったのはあの1回だけ。そして話すのもほぼ初めましてに等しい
「あの時の」
「覚えているようですね。あたしの名前をポートマフィアで訊いたことは歩かないかはわかりませんが、太宰茉白と言います」
「姐さん…から訊いた」
「そう。紅葉さんから訊いているのね。鏡花ちゃん」
「私の名前」
「覚えているわ」
「6カ月で35人殺した。だから」
「軍警に捕まった?」
「!?」
「でもね鏡花ちゃん。お兄ちゃんは確かに今さっき殺しで生きる道をくれるとも言った。
でも今あなたは6カ月で35人殺したことを悩んで、後悔しているのならばそれは殺しで生きていくなんて向いてない。暗殺者としても、ポートマフィアの人間としても向いていないわ。
それに昔、殺しをしていた男の人がいたわ」
「え?」
「でもその人はある人に出会って、ある本に出合って、殺しを辞めた」
「その人は」
「生きているわよ。ちゃんとに。あたし達と一緒に組織を抜けた人間。貴方はどことなくその人の思想に似ているもの。
けどね鏡花ちゃん。今あなたの思っている苦悩は貴方だけの者じゃないという事。
なりたいものと向いている者が違う時、人はどうすればいいと思う?」
「わからない」
「それでいいの。判らなくていい。生き方の正解を知りたくて誰もが戦ってる。貴方だけじゃない。あたしも同じよ。
何を求め闘うのか。どうやって生きるのか。答えは誰も教えてくれないわ。紅葉さんも、お兄ちゃんも。織田さんだって、乱歩さんだって。社長だって教えてはくれない」
「んっ」
「あたし達人間にあるのは迷う権利だけなの」
「ドブ底を行く
そう言ってくれたお兄ちゃんはいつの間にかインカムを着けていて。きっとあたしの話を邪魔だけはしないようにしてくれていたのだろう
「苦しめる過去の言葉と行動は確かに鏡花ちゃんなのかもしれない。でも今は違う。貴方みたいな優しい子はその苦しめられた過去の言葉と行動の分だけの優しさを持ってる。苦しいなら誰かに話してくれればいい。紅葉さんだって、探偵社の皆だって鏡花ちゃんを蔑ろにすることはないわ。それはあたしも同じことよ」
「ぁ」
「敦君だって元は指定災害猛獣。でも今は探偵社でこの街と鏡花ちゃんを救うために戦っているわ。後は貴方が決める事よ。生きるも死ぬも貴方が決めればいい。でもこれだけは忘れないで
貴方が死んでしまえば悲しむ人がいると言うことを」
インカムを切ると
「よく頑張ったじゃないか茉白。真逆、織田作の話を持ち出すなんて想像は私でもしなかったよ」
「そうかも知れない。あたしも織田さんの話までするつもりは無かったし。でも鏡花ちゃんの状況は織田さんの訊いていた話と少しだけ似ていたような気がしたの」
「そうかい」
「あたしは、鏡花ちゃんが生きてくれていたら嬉しい。妹が出来たような感じって言うのはこういう事なんだと思う」
「其れは良かった。茉白も鏡花ちゃんも優しい子だからね」
落下する。そう焦った声が聞こえて来たあたしたち
「遠隔操作…」
でも一体どこからなんて考えるのはやめだ
「鏡花ちゃん。今から言う通りにすればいい」
「でも」
「大丈夫。お兄ちゃんの言う通りにね。その代わりお兄ちゃんの指示だと言わない条件で」
「どういう」
これが鏡花ちゃんの入社試験だという事は内緒だ
お兄ちゃんの指示で鏡花ちゃんを動き出させた
「恐らく白鯨の再浮上は不可能だ。遠隔操作している人間が別にいる。その軍警の小型ヘリを大質量で無理矢理叩き落すんだ。そうすれば街に届く前に墜落させられる。そして鏡花ちゃんはその隙に君の異能力で鎖を切って脱出してくるんだ」
それだけ言うと本当にインカムを切ったお兄ちゃんとあたしは管制室を出て織田さんのいる場所まで歩いて向かう
「織田さん」
「茉白か。思ったよりも早かったな」
「うん。お兄ちゃんは社長の所に行ってるからあたしはこっちに来ちゃった」
「そうか」