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6 ボーンとハンゾウとデーモンシード

 そこにいたのは、ハンゾウだった。
 いつの間に、背後に近付いていたものか。
 彼の更に背後に、5つの影。

「ハンゾウ……お前?」

 ボーンは彼の肩に手を置いたままのハンゾウを怪訝そうに見返した。

「ボーン。お前の考えもあるだろうが、ここは俺たちに任せてくれ」

 ハンゾウはボーンの目をまっすぐ見つめながら、正面切って頼み込んできた。

「俺たちが行く。新軍団のデビュー戦にちょうどいい」

 ハンゾウの言葉の後を継いだのは、ケビンマスクだった。

「それじゃ、こいつらがハンゾウが入ったっていう新軍団なのかあ?」

 フォークが居並ぶ5つの影を見回す。

 そこにいるのは、ハンゾウにケビンマスク、加えてスカーフェイス、イリューヒン、バリアフリーマン。

「そういうことだ。悪いがお二人さんの出番はないぜ」

 スカーフェイスが、不敵ににやりと笑う。

「ボーン・コールド。あんたがミートに思い入れがあるのは理解しているつもりだ」

 イリューヒンが静かにボーンに語りかける。

「だが、それは俺も同じだ」

「若いの二人、こういう時は年寄りを立てるもんじゃぞい!!」

 バリアフリーマンが気の抜けるような声で笑う。

「どうする? ボーン」

 フォークが困惑気味に問う。
 ボーンは葉巻の煙を吸い込んだ。
 視界の端には、万太郎の戦う姿を映し出した巨大スクリーンがある。
 万太郎はデーモンシードを名乗る超人、コンステレーションに押されている。

「……いいだろう。好きにしな」

 葉巻の煙と共に、ボーンは答えを吐き出した。

「行くぞ、お前ら!!」

 ケビンマスクが号令する。

 彼らは一気に高台の斜面を駆け下りる。
 あれよという間に、5人がゲートバリアを通過し、遺跡内部に侵入する。

 巨大スクリーンには、コンステレーションを破った万太郎が、突然の闖入者たちに目を白黒させる様子が映し出されていた。

 スカーフェイスのアイディアで、ハンゾウたち5人がアイドル超人を名乗ることになるや、ボーンとフォークは一斉に噴き出した。

「ぶははは! アイドルだってよ~!!」

 腹を抱えるフォーク。

「ムチャ嬉しそうだぞ、ハンゾウの野郎」

 ボーンが肩を震わせて笑い転げた。

 万太郎が遺跡から気絶しているバッファローマンを連れて脱出し、バッファローマンはそのまま病院に搬送されていく。

 巨大スクリーンには、それぞれデーモンシードに引きずり込まれたアイドル超人たちが、日本各地に姿を現したジェネラル・パラストに転送された様が見て取れた。
 ニュージェネレーションが、それぞれ一人ずつ巻き込まれている。

「グロロ~ッ、ハンゾウはどうなった?」

「あいつ、どこかの島に飛ばされたみてえだな……」

 ちょうど、ハンゾウが海上に設置されたリングに姿を現すのがスクリーンに映し出される。
 一緒に飛ばされたのはセイウチン。
 そして、ハンゾウに相対するデーモンシードは。

「何だありゃあ……半魚人ってヤツか?」

 フォークが呆気に取られたのもむべなるかな、魚のような突き出た流線型の顔に、右腕が特大の銃器のようになっている奇妙な超人が、リングに姿を現した。
 自らをゲッパーランドと名乗る。

「どうやら水棲系の超人だな。戦場は海の上で、水中戦に持ち込む気満々か。ハンゾウには、かなり不利になるな……」

 ボーンは葉巻をくわえたまま分析する。

「でもよーっ、ハンゾウには忍術があるぜーっ!? 水中戦にも対応できるんじゃねえかあ!?」

 フォークが反論する。
 ハンゾウが水中戦に近いことをこなしたのは、見たことがあるのだ。

「確かにな。少なくとも、ハンゾウがあの5人の中じゃ一番適役だったのは確かだ。それがどう転ぶかはやってみなくちゃ分からねえ。デーモンシードとかいう連中の超人強度は、かなりのものみてえだしな」

 ボーンの言葉に、フォークはむう、と唸って考え込んだ。

 情け容赦なくゴングが打ち鳴らされる。
 ハンゾウvs.ゲッパーランドの戦いの火蓋が、切って落とされた。
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