ラスボスはつらいよ

「勇者たちがまた来たって!?」
「ええ」
「あれ? セーラちゃん、勇者は?」
「お帰りいただきましたよ」
「確か、君を助けに来たんだよね……?」
「はい。ですから不要です、と」
「応対したの!?」
「聞き分けが悪いので、多少手荒になってしまいましたが……」
「い、嫌な予感……」
「だいたい私を助けに来たなどと、仲間を引き連れても私より弱い男が言えたことではありません。私はか弱い姫ですのに」
「まだ言い張るんだ、それ……じゃなくて、勇者倒しちゃったの!?」
「鬱陶しくてつい」
「つい、じゃないよ!」
「勇者みたいなお子様より、やはり落ち着いた大人の男性が魅力的ですよね……ヴィクトー様みたいな」
「えっ何ものすごい悪寒。ていうか、いつの間にか勇者“様”じゃなくなってるし」
「帰り際もうるさかったんですよ? ギャンギャン騒いで」
「ど……どんな風に?」
「やれ『姫まで操って手先にするとは!』だの『おのれ魔王、どこまでも卑劣な……!』だのと」
「あらぬ誤解が生まれてるー!」
「自分の弱さを棚に上げて『囚われの姫がこんなに強いはずがない! きっと魔王に操られているんだ!』なんて言うんですよ!」
「あっごめんそれは誤解されても仕方ないと思う」
「また来るようなことを言っていたので、次はもっとこてんぱんにして、来てもムダだと思い知らせてあげようと思います!」
「そ、そこまでしなくても……」
「おじさまとのスイーツタイムを邪魔する人は敵です!」
「お……お手柔らかに、ね?」
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