ラスボスはつらいよ

「そうだセーラちゃん」
「セ、セーラちゃん!?」
「あっいやほら姫って呼ぶとあれだし、ワシのこともヴィクトーって呼んでほしいし……」
「なんですか魔王は心臓への直接攻撃もできるんですか?」
「えーと、嫌だったらやめるけど」
「いいえ是非おねがいしますヴィクトー様!」
「そ、そう?」
「それで何か?」
「よく考えたら君が囚われていた牢は地下にあって、ここの玉座の間は最上階にある訳なんだけど」
「はい」
「そこまでの道のりには勇者撃退用に側近が作らせた……正直危なくてワシも通りたくない罠やら何やらいっぱいあったよね? マグマとかギロチンとか」
「あっ、あのアトラクションのことですか?」
「アトラクション」
「楽しく体を動かせて悪くはないのですが、後半が少々ワンパターンに感じられました」
「やっぱアレ乗り越えて来たのか……」
「スイーツを食べたら運動しなければなりませんからね!」
「食後の運動レベル」
「もうちょっと工夫すれば『風雲魔王城!』とかなんとか言ってアトラクションバラエティとして売り出せるのでは?」
「あのね、あれ普通の人間は割と死ぬから」
「まあ、運動不足な方が多いのですね!」
「いや運動不足とかそういう問題じゃ……危ないから裏口通ってね?」
「裏口があるのですか?」
「みんなそこ通ってるよ」
「毎日の運動にちょうどいいのに……」
「毎日通ってるの!?」
「裏口など通らず、ヴィクトー様もいかがですか? 楽しく汗をかいた後のスイーツは格別ですよ!」
「そんなフィットネス感覚で……いや待って、それもう一回食べてない?」
「運動したらお腹が空いちゃって……」
「エンドレス!」
「やだ、私ったら……食べたらまた動きませんと!」
「こうして戦闘民族が出来上がるんだな……」
「何か?」
「い、いえ!」
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