ふしぎなくすり騒動記
マージェス王子特製魔法薬により外見中身共に子供化したマオルーグは自分を魔王だと言いながら俺が勇者だということはわからなかった。
まあ、見た目五歳児くらいの子に目の前の美少女がかつて自分を倒した宿敵で中身はオッサンですとか言ったらいろいろショックだよな、と黙っていることに。
「ところでスカルグ、お前なんか妙に懐かれてんな」
「はあ、どうやら私といると落ち着くらしく……」
それはスカルグ本人の穏やかさからか、それとも前世の部下だったからなのか。
どっちにしろ、まあなんかわかる気がした。
「幸い今日は非番ですので、マオルーグ殿のお相手は私が」
「それじゃお前休めないだろ。せっかくの休日なのに」
「恩人、ですから」
少しも苦ではなさそうに微笑むスカルグが眩しい。
前世を辿れば確かにただ強者と戦えればいい、武人として以外の欲がなさそうな奴だったけど、平和な世界に転生したからか欲のなさに穏やかさが加わって聖人感がやばい……
「それに幼子の相手は慣れていますし」
「え?」
「歳の離れた弟妹がいるんですよ。子供の頃はそれなりにお世話もしました」
へぇ、そうなのか……部下たちや弟子のファイに対しての面倒見の良さはその辺もあるのかな?
「おい、ほかのやつのはなしをするな!」
「えっ?」
ちびルーグが不満をあらわにしてスカルグの服を引っ張った。
ほほう、ヤキモチ焼きとは可愛いとこあるじゃねーの。
「失礼いたしました、魔王様」
「うむ、それでよい!」
恭しく跪いて優しげに微笑みかけるスカルグはもともと騎士だからなのか様になっている。
そして満足そうなマオルーグの方はこれは前世の記憶は充分には戻ってなくて自分が魔王だと思ってる子供、くらいの感じなんだろうか……
「スカルグ、ここはどこだ。ちちうえとははうえはどこにいる?」
「あ、そっか。当時の感覚ならそりゃ親御さんと一緒に暮らしてるよなあ」
マオたんだって今世は人間……普通にご両親のもとで生まれてきてるんだ。
しかしまあその親も子供が突然自分は魔王だとか言い出したらびっくりするわな。
「……ご両親は遠くに出かけています。私は貴方のお父上から、今日一日貴方のお世話をするよう頼まれました」
「ふむ、そうか。ならばしかたないな」
馬鹿にせず、子供扱いもせず……内容は嘘だけど、きちんとそう説明すればマオルーグは納得して深く突っ込むことはしない。
「我が相手をしてやろう、スカルグ。そこの女もだ」
「おんっ……!?」
く、口が悪ぃなコイツ……いきなり偉そうだし。
「魔王様、この方は“女”ではなくユーシア姫……この国のお姫様ですよ」
「なに、姫だと?」
途端にじろじろと不躾な視線を送ってくるちびルーグ。
これは完全に疑ってる目だな……などと思っていたら、
「……こんな気品のない、おっさんみたいなやつがか?」
「よしマオたん、おねえちゃんとお外であそぼうか!」
「姫様、握りこぶしはおやめください!」
事実だけどなんかムカつく!
反射的に大人気ない実力行使に出ようとした俺を、スカルグが必死に止めた。
まあ、見た目五歳児くらいの子に目の前の美少女がかつて自分を倒した宿敵で中身はオッサンですとか言ったらいろいろショックだよな、と黙っていることに。
「ところでスカルグ、お前なんか妙に懐かれてんな」
「はあ、どうやら私といると落ち着くらしく……」
それはスカルグ本人の穏やかさからか、それとも前世の部下だったからなのか。
どっちにしろ、まあなんかわかる気がした。
「幸い今日は非番ですので、マオルーグ殿のお相手は私が」
「それじゃお前休めないだろ。せっかくの休日なのに」
「恩人、ですから」
少しも苦ではなさそうに微笑むスカルグが眩しい。
前世を辿れば確かにただ強者と戦えればいい、武人として以外の欲がなさそうな奴だったけど、平和な世界に転生したからか欲のなさに穏やかさが加わって聖人感がやばい……
「それに幼子の相手は慣れていますし」
「え?」
「歳の離れた弟妹がいるんですよ。子供の頃はそれなりにお世話もしました」
へぇ、そうなのか……部下たちや弟子のファイに対しての面倒見の良さはその辺もあるのかな?
「おい、ほかのやつのはなしをするな!」
「えっ?」
ちびルーグが不満をあらわにしてスカルグの服を引っ張った。
ほほう、ヤキモチ焼きとは可愛いとこあるじゃねーの。
「失礼いたしました、魔王様」
「うむ、それでよい!」
恭しく跪いて優しげに微笑みかけるスカルグはもともと騎士だからなのか様になっている。
そして満足そうなマオルーグの方はこれは前世の記憶は充分には戻ってなくて自分が魔王だと思ってる子供、くらいの感じなんだろうか……
「スカルグ、ここはどこだ。ちちうえとははうえはどこにいる?」
「あ、そっか。当時の感覚ならそりゃ親御さんと一緒に暮らしてるよなあ」
マオたんだって今世は人間……普通にご両親のもとで生まれてきてるんだ。
しかしまあその親も子供が突然自分は魔王だとか言い出したらびっくりするわな。
「……ご両親は遠くに出かけています。私は貴方のお父上から、今日一日貴方のお世話をするよう頼まれました」
「ふむ、そうか。ならばしかたないな」
馬鹿にせず、子供扱いもせず……内容は嘘だけど、きちんとそう説明すればマオルーグは納得して深く突っ込むことはしない。
「我が相手をしてやろう、スカルグ。そこの女もだ」
「おんっ……!?」
く、口が悪ぃなコイツ……いきなり偉そうだし。
「魔王様、この方は“女”ではなくユーシア姫……この国のお姫様ですよ」
「なに、姫だと?」
途端にじろじろと不躾な視線を送ってくるちびルーグ。
これは完全に疑ってる目だな……などと思っていたら、
「……こんな気品のない、おっさんみたいなやつがか?」
「よしマオたん、おねえちゃんとお外であそぼうか!」
「姫様、握りこぶしはおやめください!」
事実だけどなんかムカつく!
反射的に大人気ない実力行使に出ようとした俺を、スカルグが必死に止めた。