おいでませリンネ観光ツアー
歴史のお勉強もそこそこに公園をあとにして、俺たちはまた歩き出した。
「今度はどこに行くんだ? まさか武器屋とか言うんじゃないだろうな」
「すみません、つい熱くなって……ですが、リンネの成り立ちを考えたら外せない場所だったのですよ」
ホーリスがじろりと睨むがスカルグが言うことも一理ある。
今でこそそれほど目立っていないみたいだけど、聖剣塚はかつてのカナイ村がこのリンネに生まれ変わる、はじまりの一歩だったのではないだろうか……たぶん。
「御大層な観光スポットとか行かなくても、城下町を回るだけでも立派な観光だと思うけどな。武器屋の隣にあるカフェはデザートのチョコバナナサンデーが絶品だとか」
「観光案内でも食い気か貴様」
「ふふ。姫様の好きなリンネは、そういった日常に散りばめられたものなのでしょうね」
そうそう、何気ない日常のしあわせってやつ?
リンネの食い物屋情報なら任せろと言わんばかりに割といろいろ制覇してるんだぜ、俺。
「甘味もいいけど酒場のおつまみ盛り合わせとか最高でなー」
「おい未成年」
「あと姫だろ一応。なんだそのオッサンみたいなチョイスは」
マオルーグとホーリスから次々にツッコミが入る。
お前らちょっと遠慮なさすぎじゃね?
「好きな場所を紹介するのも立派な観光案内ですよ、姫様」
「お前はいつでも優しいなあ、スカルグ」
「貴様のオッサンぶりに慣れただけだ」
あたたかい言葉にじーんときている俺に、マオルーグが身もフタもない一言を投げかける。
浸らせろよ、この染み渡るような優しさに!
「けどスカルグが好きな場所って、やっぱ騎士団の稽古場とか?」
「はは、さすがにそこには案内しませんよ。まず観光向きではありませんからね」
好きな場所うんぬんは否定しないの、こいつらしいな。
騎士団は基本的に汗臭い男の園だから、案内されても困るだろうな……俺は落ち着くけど。
「リンネにはもうひとつ、有名な場所があるんですよ。姫様もよくご存知でしょう?」
「もうひとつの有名な場所……?」
歩きながら頭の中を検索していると、次第に答えの方から見えてくる。
木々に囲まれた大きな建物、それは……
「リンネが誇る図書館です。世界でも有数の規模ですよ」
「ああ、そういや有名だっけなぁ」
他国からわざわざ本を読み尽くしに来た王子様がいるくらいだもんな。
そう呟くと背後で「げっ」という声が聴こえ、振り向く。
「ホーリス?」
「図書館、本好きの王子……まさか、」
「おや、どなたかと思えば……」
思いっきり苦々しい顔をして後ずさるホーリスに、図書館の出入り口からちょうど現れたのは件の本好きの王子様。
女性と見まごう中性的でたおやかな雰囲気の美人は、友好国カノドのマージェス王子だ。
「マージェス……!」
「ホーリスじゃありませんか。貴方もリンネに来ていたのですね」
え、なに、知り合い?
どちらも美形だがタイプも異なり、接点のなさそうなふたりの邂逅に俺とマオルーグか驚いていると、
「スカルグとかいったな。アンタ、気づいてたな……?」
「やはりマージェス王子の弟ぎみでしたか。ホーリス・セイン・カノーディア王子」
スカルグにより更なる驚きがもたらされて。
「「な、なんだってー!?」」
まるで似てねえ!
あまりのことに、俺たちはただただポカンとするほかなかった。
「今度はどこに行くんだ? まさか武器屋とか言うんじゃないだろうな」
「すみません、つい熱くなって……ですが、リンネの成り立ちを考えたら外せない場所だったのですよ」
ホーリスがじろりと睨むがスカルグが言うことも一理ある。
今でこそそれほど目立っていないみたいだけど、聖剣塚はかつてのカナイ村がこのリンネに生まれ変わる、はじまりの一歩だったのではないだろうか……たぶん。
「御大層な観光スポットとか行かなくても、城下町を回るだけでも立派な観光だと思うけどな。武器屋の隣にあるカフェはデザートのチョコバナナサンデーが絶品だとか」
「観光案内でも食い気か貴様」
「ふふ。姫様の好きなリンネは、そういった日常に散りばめられたものなのでしょうね」
そうそう、何気ない日常のしあわせってやつ?
リンネの食い物屋情報なら任せろと言わんばかりに割といろいろ制覇してるんだぜ、俺。
「甘味もいいけど酒場のおつまみ盛り合わせとか最高でなー」
「おい未成年」
「あと姫だろ一応。なんだそのオッサンみたいなチョイスは」
マオルーグとホーリスから次々にツッコミが入る。
お前らちょっと遠慮なさすぎじゃね?
「好きな場所を紹介するのも立派な観光案内ですよ、姫様」
「お前はいつでも優しいなあ、スカルグ」
「貴様のオッサンぶりに慣れただけだ」
あたたかい言葉にじーんときている俺に、マオルーグが身もフタもない一言を投げかける。
浸らせろよ、この染み渡るような優しさに!
「けどスカルグが好きな場所って、やっぱ騎士団の稽古場とか?」
「はは、さすがにそこには案内しませんよ。まず観光向きではありませんからね」
好きな場所うんぬんは否定しないの、こいつらしいな。
騎士団は基本的に汗臭い男の園だから、案内されても困るだろうな……俺は落ち着くけど。
「リンネにはもうひとつ、有名な場所があるんですよ。姫様もよくご存知でしょう?」
「もうひとつの有名な場所……?」
歩きながら頭の中を検索していると、次第に答えの方から見えてくる。
木々に囲まれた大きな建物、それは……
「リンネが誇る図書館です。世界でも有数の規模ですよ」
「ああ、そういや有名だっけなぁ」
他国からわざわざ本を読み尽くしに来た王子様がいるくらいだもんな。
そう呟くと背後で「げっ」という声が聴こえ、振り向く。
「ホーリス?」
「図書館、本好きの王子……まさか、」
「おや、どなたかと思えば……」
思いっきり苦々しい顔をして後ずさるホーリスに、図書館の出入り口からちょうど現れたのは件の本好きの王子様。
女性と見まごう中性的でたおやかな雰囲気の美人は、友好国カノドのマージェス王子だ。
「マージェス……!」
「ホーリスじゃありませんか。貴方もリンネに来ていたのですね」
え、なに、知り合い?
どちらも美形だがタイプも異なり、接点のなさそうなふたりの邂逅に俺とマオルーグか驚いていると、
「スカルグとかいったな。アンタ、気づいてたな……?」
「やはりマージェス王子の弟ぎみでしたか。ホーリス・セイン・カノーディア王子」
スカルグにより更なる驚きがもたらされて。
「「な、なんだってー!?」」
まるで似てねえ!
あまりのことに、俺たちはただただポカンとするほかなかった。