ラグード王子の魔物退治?
泣きながら語るドラゴンによると、こいつはうっかり足を踏み外し崖から落ちて怪我をしてしまって迷惑にならないような場所で静かに傷を癒して休んでいただけらしい。
けれどもこの図体、痛みに唸るだけでも近くの魔物は逃げ出し村人を怯えさせてしまう。
うーむ、これはまた……
「とろくさい奴だな」
「マオたん、しっ!」
けどまあ、いろいろと大変そうだ。
『私はただ、傷が癒えるまで休ませて貰えたらそれでいいんです……』
「いいんじゃないのか? すっかり静かになってちょうどいいし」
「そうだね。村の人達には俺から説明しておくよ」
『ラグードさま……!』
村はリオナットの領内だからね、と爽やかに微笑むラグード王子を、ドラゴンがうっとりと見つめている。
そういえば、今は違うけど一応ドラゴン同士か……王子の爽やかスマイルはドラゴンにも効くらしい。
「けど、傷が癒えたらどこに行くんだい?」
「あー……ドジっ子ちゃんみたいだし、また怪我したら大変だよな」
俺がそう言うと、ドラゴンは目を思いっきり潤ませて……わ、悪かったよ!
「そ、そうだ! だったらいっそ、村の人たちと共存するのは?」
「勇者……チサナ村にこんなデカい竜を住まわせる広さはないぞ」
「いや、アリかもしれない……君、人型に化けることはできるかい?」
『え? あっ』
ドラゴンはぽんと手を打つと、みるみる小さくなってファイと変わらないぐらいの背丈の女性に姿を変えた。
肩までのサラサラした金髪と紫のタレ目、おっとりした雰囲気だが……立派なツノと尻尾はドラゴンのそれだ。
「えーと……微妙に人間になりきれてないみたいですけど……」
『す、すみません、あまり得意ではなくて……!』
「でも、いいんじゃないか? その姿で王子と一緒に事情を説明しに行けば、対話ができる相手だってわかってもらえるし」
それにちょっと喋るだけで人のよさ……この場合ドラゴンのよさとか言うんだろうか……がポロポロ出てくるし、可愛いし。
なあマオたん、と俺は視線でマオルーグに促した。
「ま、まあ、ダメ元で話だけしてみれば良いのではないか?」
『はい、そうします。ありがとうございます……!』
ふふふ、マオたんもおっとり美女の前じゃ形無しだな。
なんて思っていたら彼女に握手を求められた。
「リンネの王女、ユーシアだ。うまくいくといいな」
『ゴールドドラゴンのメフィオマーサです。メフィオとお呼びください』
笑顔を交わして、互いの手が重なる……その刹那。
――――目に映ったのは、暗い洞窟内。
汚れたドレスを纏ったお姫様が、安堵の笑顔をこちらに向ける。
『ああ、勇者様……助けてくださりありがとうございます』
涙を流す彼女の後ろには、勇者の剣に倒れた魔物。
『この御恩はきっと忘れません……!』
ようやく城に帰れる。
勇者の手を強く握る彼女は、小さく震えていた……――――
「んなっ!?」
『どうしました?』
「い、いや……なんでもない」
このドラゴン……メフィオは、どうやら旅の途中で助けたお姫様の生まれ変わりらしい……マジかよと驚きつつ、妙に納得。
前世でも感謝はされてもおっさん相手だからかフラグは立たなかったが、今世もどうやらそういう縁はなさそうだ。
けれどもこの図体、痛みに唸るだけでも近くの魔物は逃げ出し村人を怯えさせてしまう。
うーむ、これはまた……
「とろくさい奴だな」
「マオたん、しっ!」
けどまあ、いろいろと大変そうだ。
『私はただ、傷が癒えるまで休ませて貰えたらそれでいいんです……』
「いいんじゃないのか? すっかり静かになってちょうどいいし」
「そうだね。村の人達には俺から説明しておくよ」
『ラグードさま……!』
村はリオナットの領内だからね、と爽やかに微笑むラグード王子を、ドラゴンがうっとりと見つめている。
そういえば、今は違うけど一応ドラゴン同士か……王子の爽やかスマイルはドラゴンにも効くらしい。
「けど、傷が癒えたらどこに行くんだい?」
「あー……ドジっ子ちゃんみたいだし、また怪我したら大変だよな」
俺がそう言うと、ドラゴンは目を思いっきり潤ませて……わ、悪かったよ!
「そ、そうだ! だったらいっそ、村の人たちと共存するのは?」
「勇者……チサナ村にこんなデカい竜を住まわせる広さはないぞ」
「いや、アリかもしれない……君、人型に化けることはできるかい?」
『え? あっ』
ドラゴンはぽんと手を打つと、みるみる小さくなってファイと変わらないぐらいの背丈の女性に姿を変えた。
肩までのサラサラした金髪と紫のタレ目、おっとりした雰囲気だが……立派なツノと尻尾はドラゴンのそれだ。
「えーと……微妙に人間になりきれてないみたいですけど……」
『す、すみません、あまり得意ではなくて……!』
「でも、いいんじゃないか? その姿で王子と一緒に事情を説明しに行けば、対話ができる相手だってわかってもらえるし」
それにちょっと喋るだけで人のよさ……この場合ドラゴンのよさとか言うんだろうか……がポロポロ出てくるし、可愛いし。
なあマオたん、と俺は視線でマオルーグに促した。
「ま、まあ、ダメ元で話だけしてみれば良いのではないか?」
『はい、そうします。ありがとうございます……!』
ふふふ、マオたんもおっとり美女の前じゃ形無しだな。
なんて思っていたら彼女に握手を求められた。
「リンネの王女、ユーシアだ。うまくいくといいな」
『ゴールドドラゴンのメフィオマーサです。メフィオとお呼びください』
笑顔を交わして、互いの手が重なる……その刹那。
――――目に映ったのは、暗い洞窟内。
汚れたドレスを纏ったお姫様が、安堵の笑顔をこちらに向ける。
『ああ、勇者様……助けてくださりありがとうございます』
涙を流す彼女の後ろには、勇者の剣に倒れた魔物。
『この御恩はきっと忘れません……!』
ようやく城に帰れる。
勇者の手を強く握る彼女は、小さく震えていた……――――
「んなっ!?」
『どうしました?』
「い、いや……なんでもない」
このドラゴン……メフィオは、どうやら旅の途中で助けたお姫様の生まれ変わりらしい……マジかよと驚きつつ、妙に納得。
前世でも感謝はされてもおっさん相手だからかフラグは立たなかったが、今世もどうやらそういう縁はなさそうだ。