ラグード王子の魔物退治?
「で、三人で何を話していたん……ですの?」
いつもの砕けた口調になりかけて無理矢理軌道修正をしたら、マオルーグがそっぽを向いて肩を震わせていた。
わ、悪かったなあ、似合わなくて!
「ユーシア様にはちょっと……」
「話をするだけなら問題ないんじゃないか? ここまで聞いて仲間はずれは彼女がかわいそうだよ、ファイ」
さすが、爽やかイケメン王子は優しくて話がわかるな。
眩しい笑顔で「ね?」と言われて俺はこくこくと頷いて見せた。
「そういう訳で話すけど、リンネとリオナットのちょうど国境くらいの位置に洞窟があるのは知っているかい?」
「あ、ええ。ですがこれといって何かあるという話は聞きませんね……近くに小さな村があるくらいで」
勉強はからっきしだけど、勇者として旅をしていた名残で地図の覚えは良い。
その地の特色を覚えておけば冒険に役立つしな。
「その近くの村……チサナ村で、最近洞窟から不気味な声がすると噂になっているんだ」
「えっ、まさかオバケ?」
俺そういう剣で斬れない系はちょっと……と引きかけたが、ラグード王子の話は違う方向にいった。
「それが洞窟に棲みついた魔物じゃないかって話なんだよ」
「しかも声の様子からして大型の、だ」
ああ、それで魔物退治につながるわけね。
「村人も不安だろうし、俺が様子を見に行って必要ならば退治も、って話していたところさ」
隣国のラグード・リムソ・リオナットといえば、武勇の誉れ高い若き王子で通っている。
強くて爽やかで物腰柔らかく容姿も整っていれば、女子からの黄色い声援も日常茶飯事だ。
おっさん勇者とかないわーなんて言われた俺なんかとは全然違……う、うらやましくなんかねーぞ!
でも……
「いいなぁ……」
ポロッと出た本音は、黄色い声援に関してじゃない。
同じ王族でもラグード王子は民のために剣を振るえて、俺は安全なところでおとなしくしてろと言われることだ。
と、
「「言うと思った……」」
俺の背後で盛大な溜息がハモる。
「いいなぁ、って?」
「……ユーシア様にそういう話を聞かせると絶対羨ましがるし自分も行きたがるんですよ、王子」
やれやれと言わんばかりのファイの顔はちょっと前世の姿と重なって見えた。
「ユーシア姫、もしかして結構おてんばさんなのかい?」
「結構も何も……」
おいマオ、今の間に何を含めた。
仕方ない、こうなったら必殺技だ。
「生まれてこの方城や城下町から出られぬわたくしは、冒険小説を読んでは外の世界に憧れて思いを馳せるばかり……わたくしだって、心ときめく冒険がしてみたいですわ!」
両手を顔の前で組み、お願いのポーズで潤んだ瞳の上目遣いをくらえ!
「ユーシア姫……」
幸いラグード王子には効いたようだが、後ろでどっかの元魔王が盛大に噴き出したのが聞こえたので、あいつは後でひっぱたくことにした。
いつもの砕けた口調になりかけて無理矢理軌道修正をしたら、マオルーグがそっぽを向いて肩を震わせていた。
わ、悪かったなあ、似合わなくて!
「ユーシア様にはちょっと……」
「話をするだけなら問題ないんじゃないか? ここまで聞いて仲間はずれは彼女がかわいそうだよ、ファイ」
さすが、爽やかイケメン王子は優しくて話がわかるな。
眩しい笑顔で「ね?」と言われて俺はこくこくと頷いて見せた。
「そういう訳で話すけど、リンネとリオナットのちょうど国境くらいの位置に洞窟があるのは知っているかい?」
「あ、ええ。ですがこれといって何かあるという話は聞きませんね……近くに小さな村があるくらいで」
勉強はからっきしだけど、勇者として旅をしていた名残で地図の覚えは良い。
その地の特色を覚えておけば冒険に役立つしな。
「その近くの村……チサナ村で、最近洞窟から不気味な声がすると噂になっているんだ」
「えっ、まさかオバケ?」
俺そういう剣で斬れない系はちょっと……と引きかけたが、ラグード王子の話は違う方向にいった。
「それが洞窟に棲みついた魔物じゃないかって話なんだよ」
「しかも声の様子からして大型の、だ」
ああ、それで魔物退治につながるわけね。
「村人も不安だろうし、俺が様子を見に行って必要ならば退治も、って話していたところさ」
隣国のラグード・リムソ・リオナットといえば、武勇の誉れ高い若き王子で通っている。
強くて爽やかで物腰柔らかく容姿も整っていれば、女子からの黄色い声援も日常茶飯事だ。
おっさん勇者とかないわーなんて言われた俺なんかとは全然違……う、うらやましくなんかねーぞ!
でも……
「いいなぁ……」
ポロッと出た本音は、黄色い声援に関してじゃない。
同じ王族でもラグード王子は民のために剣を振るえて、俺は安全なところでおとなしくしてろと言われることだ。
と、
「「言うと思った……」」
俺の背後で盛大な溜息がハモる。
「いいなぁ、って?」
「……ユーシア様にそういう話を聞かせると絶対羨ましがるし自分も行きたがるんですよ、王子」
やれやれと言わんばかりのファイの顔はちょっと前世の姿と重なって見えた。
「ユーシア姫、もしかして結構おてんばさんなのかい?」
「結構も何も……」
おいマオ、今の間に何を含めた。
仕方ない、こうなったら必殺技だ。
「生まれてこの方城や城下町から出られぬわたくしは、冒険小説を読んでは外の世界に憧れて思いを馳せるばかり……わたくしだって、心ときめく冒険がしてみたいですわ!」
両手を顔の前で組み、お願いのポーズで潤んだ瞳の上目遣いをくらえ!
「ユーシア姫……」
幸いラグード王子には効いたようだが、後ろでどっかの元魔王が盛大に噴き出したのが聞こえたので、あいつは後でひっぱたくことにした。