その他SS

 長く尾を引く光を纏って、小さなマシンが空を飛ぶ。
 あちこちにヘコみや傷が目立ち、古びて時代遅れにも見えるそのボディは、いくつもの異なる世界を駆けてきた。
 機体に飾られた三つ星が煌めく時、マシンはぐるりと回転し、光に包まれて消える。

 昨日は地底の宝石界、今日は天上に文明広がる雲の星。

「宝石界、綺麗だったなぁー。あのお姫様、きっとタビさんにホの字でしたよ!」
「ホの字っておめえどこでそんな言葉……あの姫さんは俺にゃ眩しすぎらあ。まるで釣り合わねえよ」
「おーおー、女泣かせの悪い猫だねタビさんよォ」
「焼き鳥にすンぞ、トリ目野郎!」

 数多の世界を旅する彼らは、ひとつところに留まらない。
 編み目のような軌跡を残して、また何処かへと去っていく。

「さぁてポンコツ、次はどこへ連れてってくれんだぁ?」

 空を編むトライスター号、ひとは彼らをそう呼んだ。
 明日はどこを飛ぶのだろうか、その行く先は誰にも知れない。
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