転生勇姫・SS
足音が聴こえる。
ある者にとっては救い、自分にとっては破滅を告げる音だ。
人間達の中に『勇者』と呼ばれる者が現れ、剣を手に仲間を連れてこちらに向かっているらしい話を聞いたのはいつのことだったか……
送り込んだ幹部も次々に倒し、支配した町や村を解放し、成長していく姿は遠見の水晶で時折覗き見していた。
湧いたのは怒りでも恐怖でもなく、興味だった。
『あの男と戦ってみたいです。なにものにも邪魔をされず、全力で』
そう言っていた骸骨騎士も死闘の末に敗れ、満足げに散っていった。
勇者は何故か仲間に手出しはさせず、自分ひとりで骸骨騎士と戦ったそうだ。
(足音が聴こえる……もはや、我ひとりか)
ぞくり、背を駆け上がるのは悪寒か、それとも……
「いいだろう、来い……!」
発した声は、我知らず高揚に満ちていた。
――この戦いの果てのさらに向こうに待ち受けるものなど、今はまだ知る由もない。
終わりを告げる邂逅は、奇妙な縁のほんの始まりに過ぎなかった、などと。
ある者にとっては救い、自分にとっては破滅を告げる音だ。
人間達の中に『勇者』と呼ばれる者が現れ、剣を手に仲間を連れてこちらに向かっているらしい話を聞いたのはいつのことだったか……
送り込んだ幹部も次々に倒し、支配した町や村を解放し、成長していく姿は遠見の水晶で時折覗き見していた。
湧いたのは怒りでも恐怖でもなく、興味だった。
『あの男と戦ってみたいです。なにものにも邪魔をされず、全力で』
そう言っていた骸骨騎士も死闘の末に敗れ、満足げに散っていった。
勇者は何故か仲間に手出しはさせず、自分ひとりで骸骨騎士と戦ったそうだ。
(足音が聴こえる……もはや、我ひとりか)
ぞくり、背を駆け上がるのは悪寒か、それとも……
「いいだろう、来い……!」
発した声は、我知らず高揚に満ちていた。
――この戦いの果てのさらに向こうに待ち受けるものなど、今はまだ知る由もない。
終わりを告げる邂逅は、奇妙な縁のほんの始まりに過ぎなかった、などと。