ジェノワーズとシュゼット

 最近、妙に視線を感じる。

 孤児院にやたらやんちゃな子供がいて、周りが手を焼いていると聞いた。
 ありがたーいお説教をしてやった、と言っていた同僚の騎士が次の日巡回中にすっ転ばされたらしく、ちょっとその子に興味が湧いた。

 そこにいたのは、どこか寂しげな目をした男の子。

 めいっぱい威嚇して睨む子供に、あたしは「かかってこい」と構えた。
 難しいこと考えるより、拳で語ったほうが早いよねって。

 なるべく怪我をさせないように相手をしたら、それから彼の標的はあたしに変わった。
 毎日のように勝負を挑んでくるんだけど、その代わり周りを困らせる悪さをしなくなったのは良いことだ。

 そして一生懸命追いかけてきたその子は、いつの間にか騎士になっていた。

 凛々しく逞しく、結構なイケメンに成長した若者にあっと言う間に背丈を抜かされて……嬉しいような、ちょっと悔しいような。

 ギラギラした目は相変わらずだけど、最近顔つきが変わってきたのは、騎士として守るものができたからかな?

 覚悟しとけよなんて言って、いつかあたしに勝つ気らしくて……いやはや、おばちゃんは将来が楽しみだわ!
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