18~頼れる仲間~
メリーゼも復調し、気を取り直して遺跡を奥へと進んでいくと、地面にぽっかりと開いた穴……マナが噴き出る泉を見付けた。
「これがマナスポット……」
魔術を唱えている訳でもないのにところどころ可視化するほどのマナが漂っていて、素人目にもマナが濃いのがわかる。
「ここまで来たものの、どうすればいいんだ?」
『まずはメリーゼさんの腰の短剣……霊晶石をマナスポットの光にあててください』
この世界では稀少な、精霊や術の助けになるという霊晶石は今は力を使い果たしたランシッドがその中で眠っている。
メリーゼは清き風花に言われるまま、日頃は抜かれることのないお守りの短剣を取り出し、地の底から湧き出る光に柄の石をかざした。
『そうしたら石にマナを集めるようにイメージして、念じてください』
「待った! メリーゼは消耗してるだろ。オレがかわりに……」
カカオの申し出に、メリーゼは静かに首を横に振る。
「大丈夫です。それに、わたしがやらなきゃ……」
『そうですね、属性の相性を考えてもメリーゼさんが最適です』
「けどっ……わかった」
返事に反して近寄って来たカカオを不思議に思うメリーゼだったが、柄を握る両手に後ろからカカオのそれが重ねられ、びくんと肩が跳ねた。
「「へっ?」」
必然的に包み込んで抱き締めるような体勢になるこれには傍観していた仲間達も声を揃え、目を見張る。
「えっ……カ、カカオ君!?」
「お前、一度やるって言ったら聞かねえから……こうすりゃ負担もはんぶんこだろ」
どうやらというかやはりというか、深い意味あっての行動ではなく、単純に補助をするためだったらしい。
メリーゼも一度は驚いたものの、意図を汲み取ると「ありがとう」と頷いた。
(いやここまでやって下心も何もないんかーい!)
(静かに。始まるぞ)
どうしても黙っていられなかったモカが小声でつっこむも、同じく小声のクローテにたしなめられる。
そうこうしているうちにふよふよと浮かんでいた光の粒がカカオとメリーゼの持つ短剣に集まり始め……
「見て、光の形が……!」
霊晶石から飛び出した光がそれらと合わさり、灰桜の髪に茜色の瞳をした長身の青年……時の調律者、ランシッドの姿を形作る。
「よっしゃ!」
「おとうさ、ま……」
ふら、とよろめくメリーゼを抱き留め、やっぱり無茶してたじゃねーかとカカオが眉をひそめた。
『ここは……』
「セルクル遺跡のマナスポットです、お父様」
『ああそうか、俺は力を使い果たして……世話をかけたようだね。それに、いろいろあったみたいだ』
辺りを見回したランシッドはアングレーズとガレの姿を見ると目を細めるが、
『それよりも!』
「「えっ」」
カカオとメリーゼに視線を戻すと途端に険しい顔になり、
『どうしてカカオがうちのメリーゼにそんなに親しげに密着してるのか、そこから答えて貰おうか!?』
「し、親しげにって……?」
ずっと眠っていたランシッドが目覚めて最初に見た光景は、愛娘を後ろから抱き締めているようにも思える男。
そんな状況にランシッドが黙っていられる訳もなく、話を本筋に戻せたのはだいぶ後になってからだったという。
「これがマナスポット……」
魔術を唱えている訳でもないのにところどころ可視化するほどのマナが漂っていて、素人目にもマナが濃いのがわかる。
「ここまで来たものの、どうすればいいんだ?」
『まずはメリーゼさんの腰の短剣……霊晶石をマナスポットの光にあててください』
この世界では稀少な、精霊や術の助けになるという霊晶石は今は力を使い果たしたランシッドがその中で眠っている。
メリーゼは清き風花に言われるまま、日頃は抜かれることのないお守りの短剣を取り出し、地の底から湧き出る光に柄の石をかざした。
『そうしたら石にマナを集めるようにイメージして、念じてください』
「待った! メリーゼは消耗してるだろ。オレがかわりに……」
カカオの申し出に、メリーゼは静かに首を横に振る。
「大丈夫です。それに、わたしがやらなきゃ……」
『そうですね、属性の相性を考えてもメリーゼさんが最適です』
「けどっ……わかった」
返事に反して近寄って来たカカオを不思議に思うメリーゼだったが、柄を握る両手に後ろからカカオのそれが重ねられ、びくんと肩が跳ねた。
「「へっ?」」
必然的に包み込んで抱き締めるような体勢になるこれには傍観していた仲間達も声を揃え、目を見張る。
「えっ……カ、カカオ君!?」
「お前、一度やるって言ったら聞かねえから……こうすりゃ負担もはんぶんこだろ」
どうやらというかやはりというか、深い意味あっての行動ではなく、単純に補助をするためだったらしい。
メリーゼも一度は驚いたものの、意図を汲み取ると「ありがとう」と頷いた。
(いやここまでやって下心も何もないんかーい!)
(静かに。始まるぞ)
どうしても黙っていられなかったモカが小声でつっこむも、同じく小声のクローテにたしなめられる。
そうこうしているうちにふよふよと浮かんでいた光の粒がカカオとメリーゼの持つ短剣に集まり始め……
「見て、光の形が……!」
霊晶石から飛び出した光がそれらと合わさり、灰桜の髪に茜色の瞳をした長身の青年……時の調律者、ランシッドの姿を形作る。
「よっしゃ!」
「おとうさ、ま……」
ふら、とよろめくメリーゼを抱き留め、やっぱり無茶してたじゃねーかとカカオが眉をひそめた。
『ここは……』
「セルクル遺跡のマナスポットです、お父様」
『ああそうか、俺は力を使い果たして……世話をかけたようだね。それに、いろいろあったみたいだ』
辺りを見回したランシッドはアングレーズとガレの姿を見ると目を細めるが、
『それよりも!』
「「えっ」」
カカオとメリーゼに視線を戻すと途端に険しい顔になり、
『どうしてカカオがうちのメリーゼにそんなに親しげに密着してるのか、そこから答えて貰おうか!?』
「し、親しげにって……?」
ずっと眠っていたランシッドが目覚めて最初に見た光景は、愛娘を後ろから抱き締めているようにも思える男。
そんな状況にランシッドが黙っていられる訳もなく、話を本筋に戻せたのはだいぶ後になってからだったという。