18~頼れる仲間~

 空間を閉じるため力を使い果たし、眠ってしまった時空の精霊でありメリーゼの父、ランシッド。
 彼の目覚めを早めるには消耗したマナを回復させる必要があり、それが可能なのがマナスポット……マナが濃いとされる場所のあるセルクル遺跡だった。

 しかしセルクル遺跡の内部を進む途中、カカオ達は老朽化した天井の崩落によって分断されてしまい……

「何があるかわからないのが現実だが……ここ最近でいろいろ起き過ぎだろ」
「本当ですね……」

 周囲を警戒しながらぼやくブオルに、メリーゼも同意する。

「カカオ君達、大丈夫かしら?」
「ねぇメリーゼちゃん、カカオ君とはどういう感じなの?」

 アングレーズがふと口を開くと、少女騎士の左右色違いの目がぱちくりと瞬いた。

「どう、って?」
「モカちゃんからの手紙でもある程度は聞いてるけど……幼馴染み、だけなのかしらって」

 大胆に踏み込むアングレーズに今までのカカオとメリーゼを見てきたブオルは固唾を呑んで成り行きを見守った。

 そして、彼女の返答は……

「幼馴染みだけじゃない……はい。大事な仲間、です」
「仲間……」

 そうじゃないんだけど、と内心でふたりの声がハモる中、メリーゼの言葉は続く。

「カカオ君は強くて、ひたむきで、大きくて……安心して背中を預けられて、わたしが迷った時に手を引いてくれる、信頼できる仲間です」
「……そう」

 そこに恋慕の情ははっきりとは見えないけれども、彼女らしい、心からの信頼を寄せているのがわかる言葉。

(愛だの恋だのはお嬢ちゃんにはまだ早い。それに、余計なお世話かもな)
(うふふ、そうみたいね)

 などと口に出しはしなかったが、互いの目配せで何となく通じあう傍観者ふたり。

「なあなあ、俺は?」
「もちろんブオルさんもですよ」
「あらぁ、いいわね。あたしもまぜて♪」

 ふたりに挟まれてようやく笑顔を見せ始めたメリーゼに、

(お嬢ちゃん、ちょっとは肩の力が抜けたか……アングレーズに感謝しないとな)

 ブオルはそっと安堵して、優しく微笑み返すのであった。
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