17~セルクル遺跡の岐路~

―おまけスキット―



~砂海の悪魔~

カカオ「砂の中に潜って獲物が通ったら襲いかかる、か……砂海にゃおっかねー魔物がいたもんだぜ」
メリーゼ「砂漠慣れしていないわたし達が襲われたら、ひとたまりもなかったかもしれませんね」
ブオル「散り散りにされて仲間の無事を知る事もできずにぱくり、か……」
クローテ「或いは、最初の一瞬で終わっていたかもしれない」
モカ「シャレになんないじゃん……パパ達どうやってやっつけたんだろ」
アングレーズ「どうにか合流できてみんなで倒したらしいわよ」
ブオル「たぶん、そりゃ運が良かったんだな」
ガレ「運を引き寄せるのも実力のうちでござろう」
アングレーズ「そうね……」
カカオ「ま、それ抜きにしたって砂海の横断はきついけどな」
モカ「同感~」


~はなればなれ~

ガレ「せっかく一緒に行動できるようになったのに、早々にはなればなれでござるかぁ……」
モカ「ボク達からしてみたら、ずっと一緒にいてこういうのは初めてなんだよね」
クローテ「あの三人なら大丈夫だと思うが……」
カカオ「寂しいもんだなぁ」
クローテ「お前がそう言うのは珍しいな」
カカオ「だってほら、いつも後ろにいたブオルのおっさんのでっかい影がないんだぞ?」
モカ「えっ、そっち!?」
カカオ「大柄な体格に穏和な笑顔でいつも見守ってくれて、おっさんがいるあの安心感ったらないぞ?」
モカ「ああ……でも、わかる……」
クローテ「……確かに」
ガレ「ぬうぅ……それがしも安心感を与えられるよう頑張るでござる!」
クローテ「どうしてそこで対抗心を燃やすんだ」
カカオ「ははは……けど、ありがとな」


~過去を視る眼~

メリーゼ「さっきの映像……」
ブオル「仮の未来だけでなく、過去まで視えるようになったなんてなあ」
アングレーズ「気のせいって言うには、ここで起きた事と内容が一致してるのよねぇ」
メリーゼ「まだそんなに年月が経っていなさそうな壁のヒビを見付けて、なんだろうって触れたら……」
ブオル「もしかしたら、興味をもって触れたものから過去を読み取れるのかもな」
アングレーズ「あら、それならいいじゃない。触ったものから何でもかんでも過去を見せられたら大変よ?」
メリーゼ「何でもかんでも……?」
アングレーズ「たとえば、触れたものにまつわる誰かの恥ずかし~い過去とか」
ブオル「あー……学校とかそういうのいっぱいありそうだなあ」
アングレーズ「そうそう。青春が暴走してやらかしちゃった過去とかね」
メリーゼ「き、気を付けます……!」


~第二の機能~

モカ「どうだ見たか! びっくりどっきりボックスの新機能!」
クローテ「ボールをばらまいただけじゃないか」
モカ「ただのボールじゃないし、手で投げるより効率的じゃん!」
ガレ「ほー、モカどのは変わった武器を使うのでござるなぁ」
カカオ「なかなかおもしれーだろ?」
クローテ「調子に乗るからやめろ」
モカ「いいじゃん、けちー」
カカオ「けどボールにマナをこめるのはモカがやるんだよな?」
モカ「宿屋で事前にやっといたよ」
ガレ「放った玉はどうするのでござる?」
モカ「勿体ないからあとで回収するよー」
カカオ「戦闘終わってからなんかあちこち行ってしゃがんでたのそれかよ!?」
クローテ「こ、効率的、か……?」
ガレ「なんだかんだほぼ手動でござるなあ……」


~ガレのブレス~

モカ「さっきのカミナリ、すごかったね。口からバチバチ~って!」
ガレ「いやぁ、にゃはは……照れるでござる」
カカオ「それが、お前なりの強さってヤツなんだな」
ガレ「引き出してくれたのは父上やししょーでござったが……」
カカオ「そんでも、モノにしたのはガレだろ」
ガレ「カカオどのぉ……」
カカオ「うわ、泣くなよ!」
モカ「ガレっち、けっこう涙もろいんだね」
クローテ「というか、少年時代より随分表情豊かになったというか……」
ガレ「それもオトナになったってことでござる!」
モカ「そーゆーものなの?」
クローテ「それにしても、ブレスか……聖依獣の血が濃いと、そんな事もできるんだな」
ガレ「ちなみに体内のマナをブレスとして吐き出すための呼吸は気功術の応用だったりするのでござる」
カカオ「イシェルナさんに教わった気功術と、聖依獣の血……それじゃあホントにガレならではの技なんだな」
ガレ「えっへん!」


~意識させたい~

モカ「むー」
クローテ「まださっきのカカオのことか?」
ガレ「なになに、なんでござるか?」
モカ「聞いてよガレっち、カカオ兄ったらメリーゼ姉のこと全然意識してなくってさぁ」
クローテ「だからそれは状況が……」
モカ「全く脈がないならわかるけどあれお互いに絶対ちょっとは気ぃあるじゃん!」
クローテ「そ、それは……」
ガレ「なるほど、モカどのはカカオどのとメリーゼどのをくっつけたいと」
モカ「お似合いだと思うんだよー」
ガレ「こればっかりは、なるようにしかならぬでござるからなあ……カカオどのだし」
モカ「うっわ、ガレっちまでそう言っちゃう?」
ガレ「下手に周りが引っ掻き回すより、自然の成り行きを待つ……あのふたりには、それが一番でござろう」
クローテ「……なんか、急に大人だな」
ガレ「大人でござるよ!?」
モカ「その自然の成り行きが超やきもきするんだってばー!」
クローテ「いい加減諦めろ」
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