67~激昂の刃~
「ちっ、なんだこの鬱陶しい羽根は!」
「この術は、クローテ君の……」
戦場全体にひらひらと舞う羽根は、クローテが発動させた治癒術の結晶だった。
メリーゼの体に再び立ち上がる力をくれるそれがテラの肌に触れると、じゅっ、と音を立てて煙を上げた。
「ぐっ……!」
ランダムに降る儚くも清らかな浄化の光はテラにとって迂闊に触れる訳にはいかないもので、しばらく動きを止めることに成功する。
その間に仲間たちはすかさずメリーゼのもとに駆けつけた。
「囮のような真似をさせてすまない、メリーゼ」
「君がテラの気をそらしてくれたお陰でみんなすっかり回復できたよ。しばらく後方で休んでいてくれたまえ」
「クローテ君、シー君……ありがとう」
クローテに手を引かれ、メリーゼはふらつきながら後方へ下がる。
「ふたりはそれがしが守るでござるよ」と二人の護衛にはガレが買って出た。
「……虫ケラが、見上げた生命力ね」
「アンタの遊びに素直に滅ぼされてやるワケにはいかないからね」
トンファーを構えたパンキッドが、ぎろりとテラを睨めつける。
野生的な金眼は、より一層のぎらつきを増して。
「面白くねえ、面白くねえ展開だ……」
「思う通りに物語を動かしたいなら、ひとの世界なんかつついてないで、紙とペンで好きなだけ書けば良いじゃない」
「世の中には苦ーいエンドのお話もあるよ。けど、自分の好みがそうだからって、他人の物語を改変してムリヤリ押しつけるのは違うっしょ」
アングレーズとモカの言葉に、音がしそうなくらい歯ぎしりをするテラ。
下に見ていた者たちがいくら捻じ伏せても向かってくるどころか、形勢逆転しようとしてくるのだから、優位を気取っていた者からすれば不愉快だろう。
「返してもらうぞ、彼らの物語を……俺たちの物語を!」
「今度こそオレたちがお前を止める!」
ブオルとカカオ、一行の前衛担当がそれぞれ斧と鎚を手に進み出る。
「いくぜ! 反撃開始だッ!」
激しい闘気を纏い、カカオが吼える。
歪められた歴史を修正し未来を取り戻すため……文字通りの最終決戦が今、幕を開けるのだった。
「この術は、クローテ君の……」
戦場全体にひらひらと舞う羽根は、クローテが発動させた治癒術の結晶だった。
メリーゼの体に再び立ち上がる力をくれるそれがテラの肌に触れると、じゅっ、と音を立てて煙を上げた。
「ぐっ……!」
ランダムに降る儚くも清らかな浄化の光はテラにとって迂闊に触れる訳にはいかないもので、しばらく動きを止めることに成功する。
その間に仲間たちはすかさずメリーゼのもとに駆けつけた。
「囮のような真似をさせてすまない、メリーゼ」
「君がテラの気をそらしてくれたお陰でみんなすっかり回復できたよ。しばらく後方で休んでいてくれたまえ」
「クローテ君、シー君……ありがとう」
クローテに手を引かれ、メリーゼはふらつきながら後方へ下がる。
「ふたりはそれがしが守るでござるよ」と二人の護衛にはガレが買って出た。
「……虫ケラが、見上げた生命力ね」
「アンタの遊びに素直に滅ぼされてやるワケにはいかないからね」
トンファーを構えたパンキッドが、ぎろりとテラを睨めつける。
野生的な金眼は、より一層のぎらつきを増して。
「面白くねえ、面白くねえ展開だ……」
「思う通りに物語を動かしたいなら、ひとの世界なんかつついてないで、紙とペンで好きなだけ書けば良いじゃない」
「世の中には苦ーいエンドのお話もあるよ。けど、自分の好みがそうだからって、他人の物語を改変してムリヤリ押しつけるのは違うっしょ」
アングレーズとモカの言葉に、音がしそうなくらい歯ぎしりをするテラ。
下に見ていた者たちがいくら捻じ伏せても向かってくるどころか、形勢逆転しようとしてくるのだから、優位を気取っていた者からすれば不愉快だろう。
「返してもらうぞ、彼らの物語を……俺たちの物語を!」
「今度こそオレたちがお前を止める!」
ブオルとカカオ、一行の前衛担当がそれぞれ斧と鎚を手に進み出る。
「いくぜ! 反撃開始だッ!」
激しい闘気を纏い、カカオが吼える。
歪められた歴史を修正し未来を取り戻すため……文字通りの最終決戦が今、幕を開けるのだった。