64~剣と鞘と~
~悪夢のあとに~
メリーゼ「あの夢は……」
カカオ「大丈夫か、メリーゼ?」
メリーゼ「え、ええ」
カカオ「うなされていたようだけど、もしかしてまた何か……」
ランシッド『前にもあったね。干渉先の歪められた結末だったり、触れた物の過去だったり……俺と一緒にいる時間が長いせいか、メリーゼは不思議な感覚に目覚めつつあるみたいだ』
カカオ「ひとりで背負い込むなよ。オレたちで良ければ話聞くからな」
メリーゼ「ありがとう」
ランシッド『大丈夫、俺がついてるよ。頼れるパパの俺がね!』
メリーゼ「は、はい」
カカオ「なんで最後強調したんだ……?」
~手~
カカオ「メリーゼ、少しは落ち着いたか?」
メリーゼ「起き抜けでちょっとふらついてたけど今は大丈夫よ」
カカオ「そっか、良かった」
ランシッド『んっん、エフンエフン、ウォッホンヌ!』
メリーゼ「お、お父様?」
カカオ「なんだ今の咳払い」
ランシッド『メリーゼも大丈夫そうだし、そろそろうちの娘の手を放してくれませんかねカカオ君!』
メリーゼ「あ」
カカオ「あ」
ランシッド『ナチュラルに握ってて油断もスキもないわねこの子!』
カカオ「あー、その……」
メリーゼ「気にしないで。おかげで不安が和らいだわ」
カカオ「……なら、良かった」
ランシッド『キィィー!』
メリーゼ「お父様……うるさい」
ランシッド『ヒィン!?』
メリーゼ「まったくもう……カカオ君とは子供の頃からこんな感じでしょ」
カカオ「ガキの頃、か……」
メリーゼ「え?」
ランシッド『んんっ?』
カカオ「なんでもねえ!」
~光明の標~
ランシッド『光に火に雷……うん、何人かの無事は確認できたね』
カカオ「あー……クローテはちゃんと誰かと合流してるかな」
ランシッド『ん? なんでクローテ?』
メリーゼ「クローテ君の適性は水と風と闇……他のみんなと違って、強い光は出せませんからね」
ランシッド『ああ、そういう』
カカオ「でもまあ、あいつは身軽だし頭も耳もいいからな。うまくやってんだろ」
メリーゼ「それにガレ君もいますし」
カカオ「きっとみんな大丈夫……そんな気がする」
ランシッド『まさにこれは希望の光だね』
メリーゼ「はい。希望の光の道標です」
カカオ「だな」
~よろしく、女神様~
時の女神『ようやくテラのもとから離れられた……これからよろしくお願いしますね』
メリーゼ「はい、こちらこそ!」
カカオ「けどなんで剣の姿に? それにメリーゼが振り回すにはちょっとデカいような……」
メリーゼ「大きいけど見た目よりずっと軽いの。ただ武器と言うには装飾が……王家の宝剣に少し似ていますね」
カカオ「アレはちょっとゴテゴテしすぎだけどな」
時の女神『戦うためのものではありませんが、剣を扱う者にはこの方が力の使い方がイメージしやすいかと思いまして』
メリーゼ「なるほど、確かにそうですね」
時の女神『力を使う時だけこの姿になって現れますから、収納もらくらくですよ』
メリーゼ「しゅ、収納……?」
カカオ「途端になんかアレだな……」
時の女神『さあ、共に行きましょう』
カカオ「何はともあれ、予想外の強力な仲間が増えたな」
メリーゼ「ええ、本当に」
~異世界と魔術~
カカオ「そういや、ここはアラカルティアじゃないんだよな? 魔術ってマナがなくても使えるのか?」
時の女神『……この空間に存在する物、あなたがたが歩いてきた足場を形づくっているのは、テラに滅ぼされた世界の残骸です』
メリーゼ「えっ……」
時の女神『もしアラカルティアの魔術が使えるとしたら、それはきっとここに残った異世界の物質から擬似的に魔術を構成するマナを抽出しているのでしょう』
カカオ「えーと、つまり……?」
メリーゼ「テラに滅ぼされた世界が、わたしたちを助けてくれている……なんて、都合の良い解釈でしょうか」
時の女神『いいえ。彼らもきっと、ここまで辿り着いたあなたがたを助けたいでしょうから』
カカオ「……負けられねーな」
メリーゼ「はい……!」
~さっきの続き?~
メリーゼ「ねえ、カカオ君」
カカオ「どうした?」
メリーゼ「さっき言ってたことって『オレはお前が……』の続きですか?」
カカオ「っ!」
メリーゼ「あの……」
カカオ「……そうだよ。いつも思ってることだけど、改まって言うとちょっと照れ臭いな」
メリーゼ「わたしも……」
カカオ「ん?」
メリーゼ「……やっぱり、わたしも全部終わってから言います」
カカオ「はは、なんだよそれ」
メリーゼ「その時が来たらお互いに、ね?」
カカオ「そうだな。その時が来たら、か」
時の女神『これは……なんでしょう、むずむずします』
カカオ「えっ、大丈夫か!?」
メリーゼ「女神様……?」
時の女神『自然と口角が上がるようなこの感覚……これは一体……に、によによします!』
カカオ「によによ」
メリーゼ「によによ?」
時の女神『によによ……』
メリーゼ「あの夢は……」
カカオ「大丈夫か、メリーゼ?」
メリーゼ「え、ええ」
カカオ「うなされていたようだけど、もしかしてまた何か……」
ランシッド『前にもあったね。干渉先の歪められた結末だったり、触れた物の過去だったり……俺と一緒にいる時間が長いせいか、メリーゼは不思議な感覚に目覚めつつあるみたいだ』
カカオ「ひとりで背負い込むなよ。オレたちで良ければ話聞くからな」
メリーゼ「ありがとう」
ランシッド『大丈夫、俺がついてるよ。頼れるパパの俺がね!』
メリーゼ「は、はい」
カカオ「なんで最後強調したんだ……?」
~手~
カカオ「メリーゼ、少しは落ち着いたか?」
メリーゼ「起き抜けでちょっとふらついてたけど今は大丈夫よ」
カカオ「そっか、良かった」
ランシッド『んっん、エフンエフン、ウォッホンヌ!』
メリーゼ「お、お父様?」
カカオ「なんだ今の咳払い」
ランシッド『メリーゼも大丈夫そうだし、そろそろうちの娘の手を放してくれませんかねカカオ君!』
メリーゼ「あ」
カカオ「あ」
ランシッド『ナチュラルに握ってて油断もスキもないわねこの子!』
カカオ「あー、その……」
メリーゼ「気にしないで。おかげで不安が和らいだわ」
カカオ「……なら、良かった」
ランシッド『キィィー!』
メリーゼ「お父様……うるさい」
ランシッド『ヒィン!?』
メリーゼ「まったくもう……カカオ君とは子供の頃からこんな感じでしょ」
カカオ「ガキの頃、か……」
メリーゼ「え?」
ランシッド『んんっ?』
カカオ「なんでもねえ!」
~光明の標~
ランシッド『光に火に雷……うん、何人かの無事は確認できたね』
カカオ「あー……クローテはちゃんと誰かと合流してるかな」
ランシッド『ん? なんでクローテ?』
メリーゼ「クローテ君の適性は水と風と闇……他のみんなと違って、強い光は出せませんからね」
ランシッド『ああ、そういう』
カカオ「でもまあ、あいつは身軽だし頭も耳もいいからな。うまくやってんだろ」
メリーゼ「それにガレ君もいますし」
カカオ「きっとみんな大丈夫……そんな気がする」
ランシッド『まさにこれは希望の光だね』
メリーゼ「はい。希望の光の道標です」
カカオ「だな」
~よろしく、女神様~
時の女神『ようやくテラのもとから離れられた……これからよろしくお願いしますね』
メリーゼ「はい、こちらこそ!」
カカオ「けどなんで剣の姿に? それにメリーゼが振り回すにはちょっとデカいような……」
メリーゼ「大きいけど見た目よりずっと軽いの。ただ武器と言うには装飾が……王家の宝剣に少し似ていますね」
カカオ「アレはちょっとゴテゴテしすぎだけどな」
時の女神『戦うためのものではありませんが、剣を扱う者にはこの方が力の使い方がイメージしやすいかと思いまして』
メリーゼ「なるほど、確かにそうですね」
時の女神『力を使う時だけこの姿になって現れますから、収納もらくらくですよ』
メリーゼ「しゅ、収納……?」
カカオ「途端になんかアレだな……」
時の女神『さあ、共に行きましょう』
カカオ「何はともあれ、予想外の強力な仲間が増えたな」
メリーゼ「ええ、本当に」
~異世界と魔術~
カカオ「そういや、ここはアラカルティアじゃないんだよな? 魔術ってマナがなくても使えるのか?」
時の女神『……この空間に存在する物、あなたがたが歩いてきた足場を形づくっているのは、テラに滅ぼされた世界の残骸です』
メリーゼ「えっ……」
時の女神『もしアラカルティアの魔術が使えるとしたら、それはきっとここに残った異世界の物質から擬似的に魔術を構成するマナを抽出しているのでしょう』
カカオ「えーと、つまり……?」
メリーゼ「テラに滅ぼされた世界が、わたしたちを助けてくれている……なんて、都合の良い解釈でしょうか」
時の女神『いいえ。彼らもきっと、ここまで辿り着いたあなたがたを助けたいでしょうから』
カカオ「……負けられねーな」
メリーゼ「はい……!」
~さっきの続き?~
メリーゼ「ねえ、カカオ君」
カカオ「どうした?」
メリーゼ「さっき言ってたことって『オレはお前が……』の続きですか?」
カカオ「っ!」
メリーゼ「あの……」
カカオ「……そうだよ。いつも思ってることだけど、改まって言うとちょっと照れ臭いな」
メリーゼ「わたしも……」
カカオ「ん?」
メリーゼ「……やっぱり、わたしも全部終わってから言います」
カカオ「はは、なんだよそれ」
メリーゼ「その時が来たらお互いに、ね?」
カカオ「そうだな。その時が来たら、か」
時の女神『これは……なんでしょう、むずむずします』
カカオ「えっ、大丈夫か!?」
メリーゼ「女神様……?」
時の女神『自然と口角が上がるようなこの感覚……これは一体……に、によによします!』
カカオ「によによ」
メリーゼ「によによ?」
時の女神『によによ……』