４９～眠れない夜に～
～忘れるしあわせ～
ブオル「知ってはいけない未来を知っちまったから、記憶を消す……最初は一方的で寂しいことだと思ったけど、俺を守るためでもあるんですよね」
ランシッド『そう。まさしく今回みたいなことが、未来では起こり得るからね。こんな形でなくても、たとえば記録で没年を見てしまったとか』
ブオル「まさか、死んだ俺自身が来るとは思いませんでしたけど」
ランシッド『いや、俺もそこは予想しておくべきだった。テラのやり口がどれだけえげつないか、嫌という程知っていたのに……』
ブオル「ランシッド様が気に病む必要ありませんよ。奴が予想以上だっただけで」
ランシッド『ブオル……』
ブオル「俺はもう少し、いろいろ覚えたままでいきます……いいでしょう？」
ランシッド『……辛い戦いになるよ』
ブオル「わかって、います」
～誰も知らない戦い～
カカオ「歴史が修正されたら、みんななかったことになる……か」
モカ「そうなんじゃないかとは思ってたけどねー」
ガレ「改めて言葉にされると、寂しいでござるな」
クローテ「……ああ」
メリーゼ「本当に何も、残らないのでしょうか？」
ランシッド『…………』
パンキッド「アタシなんてそもそもみんなと接点ないに近いからねぇ……出会わなかったことになっちまうのか」
シーフォン「そういえば、僕の闘技場制覇もなかったことになるのか……」
パンキッド「お城の坊ちゃんがあんなとこそうそう来ないだろうしねぇ。ま、来たとしてもこの旅がなかったら、闘技場にいるアタシがアンタをブッ倒すからチャンピオンにはなれないさ」
シーフォン「むっ、そんなことはないぞ！」
アングレーズ「そうなると、やっぱり寂しいわ。みんなあんなに頑張って、きっとすごく成長したのに」
クローテ「……歴史が修正され、平穏な生活が送れることこそが、私達の頑張りの証だろう」
ガレ「クローテどのはそれでいいのでござるか？」
クローテ「…………」
ランシッド『はは……やっぱり、寂しいよね』
～精霊として～
ランシッド『どうか覚えていてほしい、か……』
ブオル「俺達にとってこの旅は、もう世界を救うってだけじゃない。泣いて、笑って、怒って、力をあわせて先に進んで……かけがえのない時間になっていったんです」
ランシッド『そんなこと……俺だってわかってるさ』
ブオル「そうだと嬉しいですね」
ランシッド『俺にだって、もうとっくに……』
ブオル「ランシッド様？」
ランシッド『……俺、精霊向いてないのかもね』
ブオル「そんな精霊がいたって、別にいいんじゃないですか？」
ランシッド『そうもいかないよ。きっちりするべきところはしなきゃ』
ブオル「そういうもんですかねえ」
ランシッド『はー……やっぱ俺には厳しい補佐が必要なのかもねえ』
ブオル「甘えちゃだめですよ。そこは自分で締めないと」
ランシッド『はは……君もなかなか、手厳しいねえ』
ブオル「長年誰かさんの補佐してましたからね」
～みんなで挑もう～
カカオ「おっさんの負担を減らすためにも、どうにかしてあいつの攻略法を考えよう！」
ブオル「つってもなあ……自分で言うのもなんだけど、ありゃ化け物だぞ」
モカ「ちょっとやそっとの攻撃じゃ怯まなかったし、隙を作るのも難しそう……」
メリーゼ「きっとどこかに突破口はあるはずです！」
カカオ「ちなみにおっさんの弱点って何だ？」
ブオル「えっ？ えーと……やっぱホイップかなあ」
モカ「はい却下ー！」
ブオル「……ダメ？」
クローテ「流れるように惚気けないでください」
ランシッド『……モラセスを連れてくるとか』
ブオル「そ、それはいろんな意味でやめた方が……」
パンキッド「冗談は置いといて、地道に攻撃を当てていくしかないのかねえ？」
シーフォン「僕達の攻撃には浄化の力が宿っている。なんだかんだそれが一番有効だろうね」
クローテ「問題はその攻撃を当てていくのが一苦労なんだが……長期戦も覚悟した方がいいかもな」
ブオル「すまんね、みんな」
カカオ「謝んなよ、おっさん」
～だいすき～
ブオル「なんだか、みんなに元気と勇気をもらっちまったなあ」
カカオ「おっさんがいつもオレ達にくれたものだからな」
ガレ「それから安心感もでござるな」
メリーゼ「みんなのお父さん、ですね」
ブオル「おう、随分子沢山になったな！」
ランシッド『メメメメリーゼのパパの座はっ、わわ渡さないから！』
パンキッド「大人げないなあ、精霊サマ」
ランシッド『……まあ、わかるんだけどさ』
シーフォン「ひいお祖父様が父のように慕っていた人物……間近で見ると、温かみが伝わってくるな」
カカオ「優しくてあったけーんだぜ、おっさんは」
ブオル「物理的にもあったかいですよ。王子もどうです？ おじさんの胸に飛び込んでみては？」
シーフォン「胸？」
アングレーズ「もうみんな一度は飛び込んだことあるのよ」
シーフォン「メリーゼもか!?」
モカ「病みつきになる包容力なんだよねえ」
シーフォン「メリーゼと間接ハグ……メリーゼと間接ハグ……」
ブオル「お、おーい？」
クローテ「間接ハグ、とは……？」
～お気に入りの服～
ブオル「おっと、服の端が破けちまってる」
メリーゼ「直しましょうか？」
ブオル「このくらいなら自分でやれるよ。ありがとな」
メリーゼ「その衣装……すっかりブオルさんに馴染みましたね」
ブオル「ん？ ああ、まあな。騎士団じゃかっちりした服ばっかだったけど、こういうゆったりしたのも動きやすくていいもんだ」
クローテ「それだけですか？」
ブオル「はは、もちろんそれだけじゃない。愛しのホイップが用意してくれた服だ。あいつの愛情を纏っているみたいで、身につけているだけで幸せになれるぞ」
アングレーズ「あらあら、ごちそうさま」
ブオル「ほんとは着て帰りたいぐらい気に入っているんだが……まあ、この服があるのも時空干渉の結果だからな」
ランシッド『残念だけど、お持ち帰りは禁止だよ』
ブオル「ですよねー……」
アングレーズ「こんなに似合って素敵なのに、ねぇ？」
ランシッド『俺もそう思うよ』
ブオル「へへへ」
ブオル「知ってはいけない未来を知っちまったから、記憶を消す……最初は一方的で寂しいことだと思ったけど、俺を守るためでもあるんですよね」
ランシッド『そう。まさしく今回みたいなことが、未来では起こり得るからね。こんな形でなくても、たとえば記録で没年を見てしまったとか』
ブオル「まさか、死んだ俺自身が来るとは思いませんでしたけど」
ランシッド『いや、俺もそこは予想しておくべきだった。テラのやり口がどれだけえげつないか、嫌という程知っていたのに……』
ブオル「ランシッド様が気に病む必要ありませんよ。奴が予想以上だっただけで」
ランシッド『ブオル……』
ブオル「俺はもう少し、いろいろ覚えたままでいきます……いいでしょう？」
ランシッド『……辛い戦いになるよ』
ブオル「わかって、います」
～誰も知らない戦い～
カカオ「歴史が修正されたら、みんななかったことになる……か」
モカ「そうなんじゃないかとは思ってたけどねー」
ガレ「改めて言葉にされると、寂しいでござるな」
クローテ「……ああ」
メリーゼ「本当に何も、残らないのでしょうか？」
ランシッド『…………』
パンキッド「アタシなんてそもそもみんなと接点ないに近いからねぇ……出会わなかったことになっちまうのか」
シーフォン「そういえば、僕の闘技場制覇もなかったことになるのか……」
パンキッド「お城の坊ちゃんがあんなとこそうそう来ないだろうしねぇ。ま、来たとしてもこの旅がなかったら、闘技場にいるアタシがアンタをブッ倒すからチャンピオンにはなれないさ」
シーフォン「むっ、そんなことはないぞ！」
アングレーズ「そうなると、やっぱり寂しいわ。みんなあんなに頑張って、きっとすごく成長したのに」
クローテ「……歴史が修正され、平穏な生活が送れることこそが、私達の頑張りの証だろう」
ガレ「クローテどのはそれでいいのでござるか？」
クローテ「…………」
ランシッド『はは……やっぱり、寂しいよね』
～精霊として～
ランシッド『どうか覚えていてほしい、か……』
ブオル「俺達にとってこの旅は、もう世界を救うってだけじゃない。泣いて、笑って、怒って、力をあわせて先に進んで……かけがえのない時間になっていったんです」
ランシッド『そんなこと……俺だってわかってるさ』
ブオル「そうだと嬉しいですね」
ランシッド『俺にだって、もうとっくに……』
ブオル「ランシッド様？」
ランシッド『……俺、精霊向いてないのかもね』
ブオル「そんな精霊がいたって、別にいいんじゃないですか？」
ランシッド『そうもいかないよ。きっちりするべきところはしなきゃ』
ブオル「そういうもんですかねえ」
ランシッド『はー……やっぱ俺には厳しい補佐が必要なのかもねえ』
ブオル「甘えちゃだめですよ。そこは自分で締めないと」
ランシッド『はは……君もなかなか、手厳しいねえ』
ブオル「長年誰かさんの補佐してましたからね」
～みんなで挑もう～
カカオ「おっさんの負担を減らすためにも、どうにかしてあいつの攻略法を考えよう！」
ブオル「つってもなあ……自分で言うのもなんだけど、ありゃ化け物だぞ」
モカ「ちょっとやそっとの攻撃じゃ怯まなかったし、隙を作るのも難しそう……」
メリーゼ「きっとどこかに突破口はあるはずです！」
カカオ「ちなみにおっさんの弱点って何だ？」
ブオル「えっ？ えーと……やっぱホイップかなあ」
モカ「はい却下ー！」
ブオル「……ダメ？」
クローテ「流れるように惚気けないでください」
ランシッド『……モラセスを連れてくるとか』
ブオル「そ、それはいろんな意味でやめた方が……」
パンキッド「冗談は置いといて、地道に攻撃を当てていくしかないのかねえ？」
シーフォン「僕達の攻撃には浄化の力が宿っている。なんだかんだそれが一番有効だろうね」
クローテ「問題はその攻撃を当てていくのが一苦労なんだが……長期戦も覚悟した方がいいかもな」
ブオル「すまんね、みんな」
カカオ「謝んなよ、おっさん」
～だいすき～
ブオル「なんだか、みんなに元気と勇気をもらっちまったなあ」
カカオ「おっさんがいつもオレ達にくれたものだからな」
ガレ「それから安心感もでござるな」
メリーゼ「みんなのお父さん、ですね」
ブオル「おう、随分子沢山になったな！」
ランシッド『メメメメリーゼのパパの座はっ、わわ渡さないから！』
パンキッド「大人げないなあ、精霊サマ」
ランシッド『……まあ、わかるんだけどさ』
シーフォン「ひいお祖父様が父のように慕っていた人物……間近で見ると、温かみが伝わってくるな」
カカオ「優しくてあったけーんだぜ、おっさんは」
ブオル「物理的にもあったかいですよ。王子もどうです？ おじさんの胸に飛び込んでみては？」
シーフォン「胸？」
アングレーズ「もうみんな一度は飛び込んだことあるのよ」
シーフォン「メリーゼもか!?」
モカ「病みつきになる包容力なんだよねえ」
シーフォン「メリーゼと間接ハグ……メリーゼと間接ハグ……」
ブオル「お、おーい？」
クローテ「間接ハグ、とは……？」
～お気に入りの服～
ブオル「おっと、服の端が破けちまってる」
メリーゼ「直しましょうか？」
ブオル「このくらいなら自分でやれるよ。ありがとな」
メリーゼ「その衣装……すっかりブオルさんに馴染みましたね」
ブオル「ん？ ああ、まあな。騎士団じゃかっちりした服ばっかだったけど、こういうゆったりしたのも動きやすくていいもんだ」
クローテ「それだけですか？」
ブオル「はは、もちろんそれだけじゃない。愛しのホイップが用意してくれた服だ。あいつの愛情を纏っているみたいで、身につけているだけで幸せになれるぞ」
アングレーズ「あらあら、ごちそうさま」
ブオル「ほんとは着て帰りたいぐらい気に入っているんだが……まあ、この服があるのも時空干渉の結果だからな」
ランシッド『残念だけど、お持ち帰りは禁止だよ』
ブオル「ですよねー……」
アングレーズ「こんなに似合って素敵なのに、ねぇ？」
ランシッド『俺もそう思うよ』
ブオル「へへへ」
