48~亡霊~
聖依獣の隠れ里に現れた、黒い鎧の不気味な人物。
幸い住民は迅速に避難を済ませていたため、被害といえばその常人では持ち上げることすら難しそうな大きさの斧槍による周辺の破壊ぐらいだろうか。
カカオ達ごと異空間に隔離された今は、もうその心配もなさそうだが……
「あんなもの軽々と振り回して、ガレっちとパン姐を一撃で吹っ飛ばして、見るからにやばやばじゃん……」
「ああ、たぶん単純な腕力や総合的な戦闘力ならこの場の誰よりも上だろうな……なんとなく、デュランダルが眷属に取り憑かれていた時を思い出す。規格外のバケモンだ、ありゃ」
全身を覆う黒い鎧に、人間離れした力。
モカの父で二十年前の英雄であるデュランダル……デューが時空干渉により魔物に取り憑かれた姿と、今対峙している相手の特徴はよく似ていた。
体格的に中身は別人だろうが、同じような状態にされた“誰か”なのだろう。
となると、浄化して元に戻してやらなければならない。
「真っ向からやりあったら厳しい相手だね……」
「それなら変化球でいくかい? 僕に考えがある」
「……とりあえず、聞こうじゃないか」
パンキッドが耳を寄せるとシーフォンはこそこそとその考えを打ち明ける。
二人の様子を、ブオルが視界の端に捉えていた。
「よし! そんじゃおじさんも張り切って体を張るかね!」
「そうだね、おじさんには決め手を頼むよ!」
「りょーかいっ!」
ニッ、と歯を見せて勝ち気な笑みを見せるパンキッドに、同様にして応えるブオル。
「シーフォン、何か作戦があるんだな? オレ達はどうすればいい?」
「そうだね、合図をするまでは普段通りで頼むよ。なるべく僕から気を逸らすように」
「そしてこちらは一撃が命取りですから、深入りはしないように、ですね」
「その通りだ、メリーゼ。無茶はしないでくれたまえ」
簡潔なやりとりを済ませると、それぞれが定位置に散る。
「さぁて、暴れてやろうじゃないかい!」
ぱしんと拳を打ち合わせたパンキッドの体から、まるで彼女の気合いを表したように激しい稲妻が迸った。
幸い住民は迅速に避難を済ませていたため、被害といえばその常人では持ち上げることすら難しそうな大きさの斧槍による周辺の破壊ぐらいだろうか。
カカオ達ごと異空間に隔離された今は、もうその心配もなさそうだが……
「あんなもの軽々と振り回して、ガレっちとパン姐を一撃で吹っ飛ばして、見るからにやばやばじゃん……」
「ああ、たぶん単純な腕力や総合的な戦闘力ならこの場の誰よりも上だろうな……なんとなく、デュランダルが眷属に取り憑かれていた時を思い出す。規格外のバケモンだ、ありゃ」
全身を覆う黒い鎧に、人間離れした力。
モカの父で二十年前の英雄であるデュランダル……デューが時空干渉により魔物に取り憑かれた姿と、今対峙している相手の特徴はよく似ていた。
体格的に中身は別人だろうが、同じような状態にされた“誰か”なのだろう。
となると、浄化して元に戻してやらなければならない。
「真っ向からやりあったら厳しい相手だね……」
「それなら変化球でいくかい? 僕に考えがある」
「……とりあえず、聞こうじゃないか」
パンキッドが耳を寄せるとシーフォンはこそこそとその考えを打ち明ける。
二人の様子を、ブオルが視界の端に捉えていた。
「よし! そんじゃおじさんも張り切って体を張るかね!」
「そうだね、おじさんには決め手を頼むよ!」
「りょーかいっ!」
ニッ、と歯を見せて勝ち気な笑みを見せるパンキッドに、同様にして応えるブオル。
「シーフォン、何か作戦があるんだな? オレ達はどうすればいい?」
「そうだね、合図をするまでは普段通りで頼むよ。なるべく僕から気を逸らすように」
「そしてこちらは一撃が命取りですから、深入りはしないように、ですね」
「その通りだ、メリーゼ。無茶はしないでくれたまえ」
簡潔なやりとりを済ませると、それぞれが定位置に散る。
「さぁて、暴れてやろうじゃないかい!」
ぱしんと拳を打ち合わせたパンキッドの体から、まるで彼女の気合いを表したように激しい稲妻が迸った。