４３～祈りよ、届け～
～操られたガレ～
モカ「ガレっち、強かったね……もともと強いけど、それがこっちに向くととんでもなかった」
ブオル「本人も無意識に抑えてる部分とかあっただろうしな……操られて、それが引き出されていた」
パンキッド「皮肉なもんだね……」
カカオ「どんなに強くても、あんな辛そうな姿で戦うガレなんて見たくねえよ」
メリーゼ「そう、ですね。あんな風に弄ばれて……なんてひどい……」
クローテ「あいつはモノじゃない……許さないぞ、テラ……！」
アングレーズ「悪趣味なお人形遊びの代償は高くつくわよ」
カカオ「ああ、必ずアイツをブッ飛ばす！」
～仲間を頼って～
クローテ「さっきは咄嗟に送った指示によく合わせてくれたな、アングレーズ」
アングレーズ「あら、あたしだってそれなりに長く一緒に戦っているつもりよ。ガレ君の動きを止めたくて、あなたがわざわざ前衛に出て、極めつけは『あたしにしかできないこと』……あれでだいたいわかったわ」
クローテ「そうか」
アングレーズ「あなたがあたしを頼ってくれて嬉しいわ」
クローテ「え？」
アングレーズ「だって、そうそう人を頼らないイメージあったもの」
クローテ「そう、だろうか？」
アングレーズ「あら、自覚ないならちょっと危ないわね」
カカオ「なかなか弱音とか見せない強がりさんだからな、クローテは」
メリーゼ「もっと頼ってくれて、いいんですよ」
クローテ「う……わかった、努力する……」
アングレーズ「素直ね、意外だわ」
クローテ「どこかの誰かの素直さにあてられたせいだな」
カカオ「けど、耳が赤いな」
クローテ「う、うるさい！」
～クローテの激情～
シーフォン「さっきのクローテは……」
メリーゼ「どうかしましたか？」
シーフォン「いや、僕の知るクローテはいつも冷静だったしよそよそしいというか……僕のことを王子として扱うから、少し驚いてね」
カカオ「それだけ必死だったんだよ、あいつも」
アングレーズ「大事な仲間を助けようとしたのに、横から入ってきたひとに目の前でその仲間を斬られてしまったら……ねぇ？」
シーフォン「うぐっ……」
カカオ「それにガレはこの旅でクローテを変えた、あいつの中で大きな存在だと思う。やっと心を許した矢先にあんな事になっちまったけどな」
メリーゼ「でも、大丈夫です。ちゃんと帰ってきましたから」
アングレーズ「ガレ君が起きたら挨拶してあげてね。きっとお礼を言われると思うけど」
シーフォン「お礼……」
カカオ「あの戦いの最中に突っ込んでくるのは大変だったろうしな。それでガレを助けたんだから、ヒーローだよ、お前は」
シーフォン「！」
カカオ「ああ、でもクローテにはあんまあの時のこと突っ込まない方がいいぜ？ すっげえ睨まれるから」
シーフォン「……いや、良い話を聞いたな」
ブオル「うわ、悪巧みする顔が若い頃のモラセス様そっくり……」
カカオ「何するつもりか知らねーけど、やめとけよー……？」
～とんだ再会～
デュー「よう」
ミレニア「おお、久しぶりじゃの」
デュー「近くに来たから顔でも見に、と思ったんだが……とんだ再会になっちまったな」
ミレニア「そうじゃのう」
デュー「ああそうだ、土産も買ってきたんだぜ。王都にパスティヤージュにサラマンドルで」
ミレニア「うほー、盛りだくさんじゃのー！」
モカ「待ってパパ、その土産袋持ちながら旅してたの……？」
デュー「そうだが？ あ、ちゃんと保存状態とか古くなってないかとか気にしてるぞ？ 移動は九頭竜の路がほとんどだったしな」
モカ「いや、魔物とかと戦闘にならなかったのかなって」
ミレニア「大丈夫じゃよ、モカ。デューならそこらの魔物に襲われても曲芸しながら戦えるわい」
デュー「そういうこった」
モカ「ええー……」
～合わない二人？～
パンキッド「父さんや母さんの友達の子供、ねぇ？」
シーフォン「な、なんだ、じろじろと」
パンキッド「いや、やっぱなんか弱そうな奴だなーって」
シーフォン「なんだと!? 確かに僕は弱かったが、ここまで来るのに鍛錬をしながら戦ってきたんだ！ あのサラマンドルの闘技場にも出たんだぞ！」
パンキッド「ふぅん？」
シーフォン「なっ、こ、こら触るな！」
パンキッド「……ひょろっちいかと思ったら確かに、しっかり筋肉ついてるんだねぇ。ただの坊ちゃんじゃないんだ」
シーフォン「当然だ！」
パンキッド「それに闘技場、か……面白いじゃない。アタシはパンキッド。よろしくな、シーフォン！」
シーフォン「よくわからんが、よろしくされたらしてやらんこともない！」
パンキッド「はは、なんだいそりゃ」
カカオ「なんか変わった組み合わせだなあ」
メリーゼ「そうですね。良いお友達になれそうです」
万物の王『面白くなってきたな』
水辺の乙女『面白くなってきましたね』
デュー「さぁて、どう転ぶかな？」
ランシッド『こ、こいつら……』
～精霊王、登場～
万物の王『異界の術式も万物を司る力でズンバラリと叩き斬る！ 偉大なる精霊王、満を持して華麗に登場だ！』
ブオル「すごい。今の一言でだいたいめんどくささが伝わってきた」
万物の王『そうかそうか。もっと褒め称え崇め奉っても良いのだぞ？』
ブオル「うわ、このグイグイくる強引な感じ、モラセス様を思い出す！」
ランシッド『精霊王は今はトランシュと契約してるけど、生前の俺の契約精霊でもあったんだよ。それに良き友だった』
万物の王『よく相談に乗ってやったものだ。主に恋愛面でな』
メリーゼ「恋愛面？」
万物の王『ランシッドは誰に何と言われようとひとりの女を一途に想い続けた。お前の母親をな』
ランシッド『まあ相談したところで『いいからとっとと押し倒せ！』ばっかりだったけどね。できる訳ないじゃんいろんな意味で！』
ブオル「なんで相談したんスか」
ランシッド『答えが欲しいというよりも、とりあえず誰かに聞いてほしかったっていうかー……』
ブオル「……」
メリーゼ「な、仲良しですね……」
万物の王『ああ、ズッ友だからな！』
モカ「ガレっち、強かったね……もともと強いけど、それがこっちに向くととんでもなかった」
ブオル「本人も無意識に抑えてる部分とかあっただろうしな……操られて、それが引き出されていた」
パンキッド「皮肉なもんだね……」
カカオ「どんなに強くても、あんな辛そうな姿で戦うガレなんて見たくねえよ」
メリーゼ「そう、ですね。あんな風に弄ばれて……なんてひどい……」
クローテ「あいつはモノじゃない……許さないぞ、テラ……！」
アングレーズ「悪趣味なお人形遊びの代償は高くつくわよ」
カカオ「ああ、必ずアイツをブッ飛ばす！」
～仲間を頼って～
クローテ「さっきは咄嗟に送った指示によく合わせてくれたな、アングレーズ」
アングレーズ「あら、あたしだってそれなりに長く一緒に戦っているつもりよ。ガレ君の動きを止めたくて、あなたがわざわざ前衛に出て、極めつけは『あたしにしかできないこと』……あれでだいたいわかったわ」
クローテ「そうか」
アングレーズ「あなたがあたしを頼ってくれて嬉しいわ」
クローテ「え？」
アングレーズ「だって、そうそう人を頼らないイメージあったもの」
クローテ「そう、だろうか？」
アングレーズ「あら、自覚ないならちょっと危ないわね」
カカオ「なかなか弱音とか見せない強がりさんだからな、クローテは」
メリーゼ「もっと頼ってくれて、いいんですよ」
クローテ「う……わかった、努力する……」
アングレーズ「素直ね、意外だわ」
クローテ「どこかの誰かの素直さにあてられたせいだな」
カカオ「けど、耳が赤いな」
クローテ「う、うるさい！」
～クローテの激情～
シーフォン「さっきのクローテは……」
メリーゼ「どうかしましたか？」
シーフォン「いや、僕の知るクローテはいつも冷静だったしよそよそしいというか……僕のことを王子として扱うから、少し驚いてね」
カカオ「それだけ必死だったんだよ、あいつも」
アングレーズ「大事な仲間を助けようとしたのに、横から入ってきたひとに目の前でその仲間を斬られてしまったら……ねぇ？」
シーフォン「うぐっ……」
カカオ「それにガレはこの旅でクローテを変えた、あいつの中で大きな存在だと思う。やっと心を許した矢先にあんな事になっちまったけどな」
メリーゼ「でも、大丈夫です。ちゃんと帰ってきましたから」
アングレーズ「ガレ君が起きたら挨拶してあげてね。きっとお礼を言われると思うけど」
シーフォン「お礼……」
カカオ「あの戦いの最中に突っ込んでくるのは大変だったろうしな。それでガレを助けたんだから、ヒーローだよ、お前は」
シーフォン「！」
カカオ「ああ、でもクローテにはあんまあの時のこと突っ込まない方がいいぜ？ すっげえ睨まれるから」
シーフォン「……いや、良い話を聞いたな」
ブオル「うわ、悪巧みする顔が若い頃のモラセス様そっくり……」
カカオ「何するつもりか知らねーけど、やめとけよー……？」
～とんだ再会～
デュー「よう」
ミレニア「おお、久しぶりじゃの」
デュー「近くに来たから顔でも見に、と思ったんだが……とんだ再会になっちまったな」
ミレニア「そうじゃのう」
デュー「ああそうだ、土産も買ってきたんだぜ。王都にパスティヤージュにサラマンドルで」
ミレニア「うほー、盛りだくさんじゃのー！」
モカ「待ってパパ、その土産袋持ちながら旅してたの……？」
デュー「そうだが？ あ、ちゃんと保存状態とか古くなってないかとか気にしてるぞ？ 移動は九頭竜の路がほとんどだったしな」
モカ「いや、魔物とかと戦闘にならなかったのかなって」
ミレニア「大丈夫じゃよ、モカ。デューならそこらの魔物に襲われても曲芸しながら戦えるわい」
デュー「そういうこった」
モカ「ええー……」
～合わない二人？～
パンキッド「父さんや母さんの友達の子供、ねぇ？」
シーフォン「な、なんだ、じろじろと」
パンキッド「いや、やっぱなんか弱そうな奴だなーって」
シーフォン「なんだと!? 確かに僕は弱かったが、ここまで来るのに鍛錬をしながら戦ってきたんだ！ あのサラマンドルの闘技場にも出たんだぞ！」
パンキッド「ふぅん？」
シーフォン「なっ、こ、こら触るな！」
パンキッド「……ひょろっちいかと思ったら確かに、しっかり筋肉ついてるんだねぇ。ただの坊ちゃんじゃないんだ」
シーフォン「当然だ！」
パンキッド「それに闘技場、か……面白いじゃない。アタシはパンキッド。よろしくな、シーフォン！」
シーフォン「よくわからんが、よろしくされたらしてやらんこともない！」
パンキッド「はは、なんだいそりゃ」
カカオ「なんか変わった組み合わせだなあ」
メリーゼ「そうですね。良いお友達になれそうです」
万物の王『面白くなってきたな』
水辺の乙女『面白くなってきましたね』
デュー「さぁて、どう転ぶかな？」
ランシッド『こ、こいつら……』
～精霊王、登場～
万物の王『異界の術式も万物を司る力でズンバラリと叩き斬る！ 偉大なる精霊王、満を持して華麗に登場だ！』
ブオル「すごい。今の一言でだいたいめんどくささが伝わってきた」
万物の王『そうかそうか。もっと褒め称え崇め奉っても良いのだぞ？』
ブオル「うわ、このグイグイくる強引な感じ、モラセス様を思い出す！」
ランシッド『精霊王は今はトランシュと契約してるけど、生前の俺の契約精霊でもあったんだよ。それに良き友だった』
万物の王『よく相談に乗ってやったものだ。主に恋愛面でな』
メリーゼ「恋愛面？」
万物の王『ランシッドは誰に何と言われようとひとりの女を一途に想い続けた。お前の母親をな』
ランシッド『まあ相談したところで『いいからとっとと押し倒せ！』ばっかりだったけどね。できる訳ないじゃんいろんな意味で！』
ブオル「なんで相談したんスか」
ランシッド『答えが欲しいというよりも、とりあえず誰かに聞いてほしかったっていうかー……』
ブオル「……」
メリーゼ「な、仲良しですね……」
万物の王『ああ、ズッ友だからな！』
