37~信頼の合図~
リュナンが受けた時空干渉を阻止するためやってきたのは、辺りが見えないほどの濃霧の中。
そしていつの間にか離れ離れになっていたカカオ達は、それぞれテラの刺客の襲撃を受けていた。
「ちっ……みんな、どこにいるんだっ!」
巨大な三角定規のような化物の腕を戦鎚で払い、カカオが憔悴の声をあげる。
「ククク……そのみんなとやら、何人生き残れるかな?」
「なにっ」
「確かにお前たちは力をつけてきている……だがその力、頼れる仲間がいてこそのものではないのか?」
一度退いて体勢を立て直した化物は言葉と共に地を蹴って距離を詰める。
ギィン、と金属同士がぶつかるような音が響いた。
「実際のところ、その能力はバラバラ……欠点も弱点もある。それを補い合っているだけだ」
「なにが、言いたい……ッ」
華奢でアンバランスな見た目に反した力を押し返そうと、カカオの声が震える。
「その“仲間”がいなければ?」
のっぺらぼうの化物が一瞬ニヤリと笑ったような気がして、心が騒いだ。
「そしてこの状況に対処しきれないような奴も、いるかもしれんなあ?」
「!」
咄嗟に柄を握る手に力が入り、大振りの一撃を放つ。
関節の脆い部分に直撃を受けた人形はバラバラと崩れ落ちた。
「ククッ……見事だ。さて、ここは切り抜けられても、残りの仲間と生きて再会できるかな……?」
「……うるせえよ。消える間際にべらべらと。まるで……」
最初から捨て駒のつもりみたいに。
役割を演じるだけの人形はすぐに砂のように消えてしまい、あとにはカカオのみが立ち尽くす。
これだからこいつらと戦うのは嫌なんだ、とカカオは苦い顔をした。
「さて、どうやってみんなを探したものかな……」
戦いに勝っても、辺りは深く暗い靄が広がるばかり。
(この状況に対処しきれない……一対一が苦手ってことか……?)
化物が遺した呪いのような台詞に、青年は言いようのない不安に襲われた。
そしていつの間にか離れ離れになっていたカカオ達は、それぞれテラの刺客の襲撃を受けていた。
「ちっ……みんな、どこにいるんだっ!」
巨大な三角定規のような化物の腕を戦鎚で払い、カカオが憔悴の声をあげる。
「ククク……そのみんなとやら、何人生き残れるかな?」
「なにっ」
「確かにお前たちは力をつけてきている……だがその力、頼れる仲間がいてこそのものではないのか?」
一度退いて体勢を立て直した化物は言葉と共に地を蹴って距離を詰める。
ギィン、と金属同士がぶつかるような音が響いた。
「実際のところ、その能力はバラバラ……欠点も弱点もある。それを補い合っているだけだ」
「なにが、言いたい……ッ」
華奢でアンバランスな見た目に反した力を押し返そうと、カカオの声が震える。
「その“仲間”がいなければ?」
のっぺらぼうの化物が一瞬ニヤリと笑ったような気がして、心が騒いだ。
「そしてこの状況に対処しきれないような奴も、いるかもしれんなあ?」
「!」
咄嗟に柄を握る手に力が入り、大振りの一撃を放つ。
関節の脆い部分に直撃を受けた人形はバラバラと崩れ落ちた。
「ククッ……見事だ。さて、ここは切り抜けられても、残りの仲間と生きて再会できるかな……?」
「……うるせえよ。消える間際にべらべらと。まるで……」
最初から捨て駒のつもりみたいに。
役割を演じるだけの人形はすぐに砂のように消えてしまい、あとにはカカオのみが立ち尽くす。
これだからこいつらと戦うのは嫌なんだ、とカカオは苦い顔をした。
「さて、どうやってみんなを探したものかな……」
戦いに勝っても、辺りは深く暗い靄が広がるばかり。
(この状況に対処しきれない……一対一が苦手ってことか……?)
化物が遺した呪いのような台詞に、青年は言いようのない不安に襲われた。