３２～変えられない過去～
～似てない兄弟？～
ブオル「ほんと、なんか似てるようで似てない兄弟なんだな、あんたら」
オグマ「よく言われます」
グラッセ「ふん、こんなのんびり屋と俺が似ている訳がないだろう」
カカオ「兄弟なんて似てる方が珍しくないか？」
パンキッド「アタシはよくわかんないけど、周りにそういうのがいるのかい？」
カカオ「ガトーじいちゃんとトリフじいちゃん、兄弟だけど全然タイプ違うし」
オグマ「ああ、確かに……」
グラッセ「お前自身もそうだろう、カカオ」
カカオ「そう、だな」
グラッセ「ガトーの所で修行もいいが、たまには帰ってやれ。お前にとってもうひとつの“帰る場所”なんだからな」
カカオ「……あー、この旅が終わったら、な」
パンキッド「？」
～間接的に～
モカ「フローレットおばちゃんの時みたいに、本人を直接狙わないパターンできたね……」
パンキッド「どうにも気に入らないねえ。回りくどいことしないで直接殴り込みに来やがれってんだ！」
クローテ「テラが直接殴り込みに来たら今の我々で敵うかどうか……」
パンキッド「そういうこと言ってっと、気持ちで負けるよ」
クローテ「うっ」
ガレ「そうでござるな。パンキッドどのが言うことも一理あるでござるよ、クローテどの」
クローテ「……ああ」
カカオ「それよりも今は、狙われてるっていう女の人を探さないと！」
アングレーズ「ええ。不届き者はブッ飛ばしてあげましょう」
モカ「アンって、たまに過激だよね……」
～消えたグラッセ～
ブオル「お、おい、あのグラッセってやつ、どこにもいないぞ⁉」
オグマ「まさか彼らについて時空転移してしまったのだろうか……」
ブオル「意外と思い切ったことするな、あいつ」
オグマ「……いえ、思い切ったことをするのは昔からでした」
ブオル「そうなのか？」
オグマ「思い詰めた彼に決闘を申し込まれたこともありましたから」
ブオル「決闘!?」
蒼雪の舞姫『お前確かあいつに一度殺されかけてなかったか？』
オグマ「ああ、あったなそんなこと」
ブオル「いやそんなことって……」
オグマ「彼もいろいろ悩んでいたんです」
ブオル「それで済ませちまうの、やっぱのんびり屋だなお前さん……」
蒼雪の舞姫『正直、オグマはもう少し怒っていいと思うんだが……』
ブオル「心配が絶えないな、精霊さんも」
～グラッセは大胆？～
モカ「グラッセおじちゃん、ずいぶん大胆なコトするんだねえ」
グラッセ「悪かったな。転移していく奴にくっついていけば、巻き込まれて行けるかと思って」
アングレーズ「そうじゃなくて、メリーゼちゃんに抱きついたことよお」
モカ「完全にアウトな絵面だったよねえ」
グラッセ「は？」
ランシッド『いきなり後ろから抱きつくなんて……うちの娘になんてことしてくれたんだ……』
グラッセ「いや、別に妙な意図はないんだが」
カカオ「グラッセのおっさんがそんなことする訳ねーだろ！」
メリーゼ「そ、そうです！ ちょっとびっくりしましたけど……」
グラッセ「すまん」
メリーゼ「いいんです。屋内で敵もいない状況とはいえ、油断していたから防げなかったんですし。わたしもまだまだですね」
グラッセ「……」
クローテ「そういえば以前、メリーゼは後ろから襲ってきた暴漢を反射で返り討ち、病院送りにしたことがあったような……」
メリーゼ「あうう、恥ずかしい……クローテ君みたいにきちんと気配を察知して、相手を見極めた上で対処しないと……」
カカオ「これ、メリーゼが反応できてたらおっさんヤバかったんじゃ……」
グラッセ「わかった、もうしない」
ランシッド『そうでなくてもしないの！』
～亜麻色の髪の騎士～
グラッセ「亜麻色の髪の女性騎士……なぜ過去を知らないはずのメリーゼがそいつのことを口にしたんだ……」
ランシッド『メリーゼは時空の精霊である俺と長年いることで、何らかの力に目覚めているのかもしれない。そういう場面は前にも何度かあったけど……』
グラッセ「それが、危険な旅に娘を同行させている理由か」
ランシッド『……』
メリーゼ「あの、グラッセ隊長……リィムさんって、どういうひとだったんでしょうか……？」
グラッセ「……優しくて、気高くて、強く美しい。騎士であることに誇りをもっていた」
カカオ「なんか、メリーゼと似てる？」
グラッセ「メリーゼを見ていると、リィムを思い出す……たぶんそれは、オグマも同じだろうな」
メリーゼ「わたしが、リィムさんと……？」
グラッセ「情けない顔をしようものなら、よく叱られたものだ……俺ではなく、オグマがな」
カカオ「あのオグマさんが……」
メリーゼ「なんだか、ちょっと会ってみたいです」
グラッセ「お前とリィムが？ いや、これ以上手がつけられなくなるのはな……」
メリーゼ「どういう意味ですか、隊長!?」
カカオ「顔怖ぇよ、メリーゼ……」
グラッセ「そ……そういうところだぞ」
～残されたふたり～
オグマ「二人だけになってしまいましたね」
ブオル「ああ。まさかグラッセまで行っちまうなんてな……仕方ない、何か話でもしようか」
オグマ「スタード殿の話とか、でしょうか？」
ブオル「そうだなあ。お前さんの仲間達の話や、スタードがモラセス様とうまくやれているのか、とかな……まあ、そっちは今見た感じだと問題なさそうだけど」
オグマ「ふふ」
ブオル「他の連中も楽しそうな奴ばっかりだったなあ。俺も一緒に旅してみたかったぜ」
オグマ「そうですね。きっと素敵な旅になったと思います」
ブオル「まあ、楽しいばかりじゃないのはわかってるんだけどさ。いいなあ、仲間って」
オグマ「はい。あ、でも……」
ブオル「？」
オグマ「いろいろあって、モラセス様と直接戦うような場面もありましたけど……」
ブオル「や、やっぱいなくて良かった……！」
ブオル「ほんと、なんか似てるようで似てない兄弟なんだな、あんたら」
オグマ「よく言われます」
グラッセ「ふん、こんなのんびり屋と俺が似ている訳がないだろう」
カカオ「兄弟なんて似てる方が珍しくないか？」
パンキッド「アタシはよくわかんないけど、周りにそういうのがいるのかい？」
カカオ「ガトーじいちゃんとトリフじいちゃん、兄弟だけど全然タイプ違うし」
オグマ「ああ、確かに……」
グラッセ「お前自身もそうだろう、カカオ」
カカオ「そう、だな」
グラッセ「ガトーの所で修行もいいが、たまには帰ってやれ。お前にとってもうひとつの“帰る場所”なんだからな」
カカオ「……あー、この旅が終わったら、な」
パンキッド「？」
～間接的に～
モカ「フローレットおばちゃんの時みたいに、本人を直接狙わないパターンできたね……」
パンキッド「どうにも気に入らないねえ。回りくどいことしないで直接殴り込みに来やがれってんだ！」
クローテ「テラが直接殴り込みに来たら今の我々で敵うかどうか……」
パンキッド「そういうこと言ってっと、気持ちで負けるよ」
クローテ「うっ」
ガレ「そうでござるな。パンキッドどのが言うことも一理あるでござるよ、クローテどの」
クローテ「……ああ」
カカオ「それよりも今は、狙われてるっていう女の人を探さないと！」
アングレーズ「ええ。不届き者はブッ飛ばしてあげましょう」
モカ「アンって、たまに過激だよね……」
～消えたグラッセ～
ブオル「お、おい、あのグラッセってやつ、どこにもいないぞ⁉」
オグマ「まさか彼らについて時空転移してしまったのだろうか……」
ブオル「意外と思い切ったことするな、あいつ」
オグマ「……いえ、思い切ったことをするのは昔からでした」
ブオル「そうなのか？」
オグマ「思い詰めた彼に決闘を申し込まれたこともありましたから」
ブオル「決闘!?」
蒼雪の舞姫『お前確かあいつに一度殺されかけてなかったか？』
オグマ「ああ、あったなそんなこと」
ブオル「いやそんなことって……」
オグマ「彼もいろいろ悩んでいたんです」
ブオル「それで済ませちまうの、やっぱのんびり屋だなお前さん……」
蒼雪の舞姫『正直、オグマはもう少し怒っていいと思うんだが……』
ブオル「心配が絶えないな、精霊さんも」
～グラッセは大胆？～
モカ「グラッセおじちゃん、ずいぶん大胆なコトするんだねえ」
グラッセ「悪かったな。転移していく奴にくっついていけば、巻き込まれて行けるかと思って」
アングレーズ「そうじゃなくて、メリーゼちゃんに抱きついたことよお」
モカ「完全にアウトな絵面だったよねえ」
グラッセ「は？」
ランシッド『いきなり後ろから抱きつくなんて……うちの娘になんてことしてくれたんだ……』
グラッセ「いや、別に妙な意図はないんだが」
カカオ「グラッセのおっさんがそんなことする訳ねーだろ！」
メリーゼ「そ、そうです！ ちょっとびっくりしましたけど……」
グラッセ「すまん」
メリーゼ「いいんです。屋内で敵もいない状況とはいえ、油断していたから防げなかったんですし。わたしもまだまだですね」
グラッセ「……」
クローテ「そういえば以前、メリーゼは後ろから襲ってきた暴漢を反射で返り討ち、病院送りにしたことがあったような……」
メリーゼ「あうう、恥ずかしい……クローテ君みたいにきちんと気配を察知して、相手を見極めた上で対処しないと……」
カカオ「これ、メリーゼが反応できてたらおっさんヤバかったんじゃ……」
グラッセ「わかった、もうしない」
ランシッド『そうでなくてもしないの！』
～亜麻色の髪の騎士～
グラッセ「亜麻色の髪の女性騎士……なぜ過去を知らないはずのメリーゼがそいつのことを口にしたんだ……」
ランシッド『メリーゼは時空の精霊である俺と長年いることで、何らかの力に目覚めているのかもしれない。そういう場面は前にも何度かあったけど……』
グラッセ「それが、危険な旅に娘を同行させている理由か」
ランシッド『……』
メリーゼ「あの、グラッセ隊長……リィムさんって、どういうひとだったんでしょうか……？」
グラッセ「……優しくて、気高くて、強く美しい。騎士であることに誇りをもっていた」
カカオ「なんか、メリーゼと似てる？」
グラッセ「メリーゼを見ていると、リィムを思い出す……たぶんそれは、オグマも同じだろうな」
メリーゼ「わたしが、リィムさんと……？」
グラッセ「情けない顔をしようものなら、よく叱られたものだ……俺ではなく、オグマがな」
カカオ「あのオグマさんが……」
メリーゼ「なんだか、ちょっと会ってみたいです」
グラッセ「お前とリィムが？ いや、これ以上手がつけられなくなるのはな……」
メリーゼ「どういう意味ですか、隊長!?」
カカオ「顔怖ぇよ、メリーゼ……」
グラッセ「そ……そういうところだぞ」
～残されたふたり～
オグマ「二人だけになってしまいましたね」
ブオル「ああ。まさかグラッセまで行っちまうなんてな……仕方ない、何か話でもしようか」
オグマ「スタード殿の話とか、でしょうか？」
ブオル「そうだなあ。お前さんの仲間達の話や、スタードがモラセス様とうまくやれているのか、とかな……まあ、そっちは今見た感じだと問題なさそうだけど」
オグマ「ふふ」
ブオル「他の連中も楽しそうな奴ばっかりだったなあ。俺も一緒に旅してみたかったぜ」
オグマ「そうですね。きっと素敵な旅になったと思います」
ブオル「まあ、楽しいばかりじゃないのはわかってるんだけどさ。いいなあ、仲間って」
オグマ「はい。あ、でも……」
ブオル「？」
オグマ「いろいろあって、モラセス様と直接戦うような場面もありましたけど……」
ブオル「や、やっぱいなくて良かった……！」
