31〜蒼雪の使者〜
~荒れる銀峰~
カカオ「すげえ吹雪だ……確かに霊峰は厳しいとこだけど、ここまでのはなかなかないぞ」
モカ「地元民が言うんだから相当だよこれ……」
メリーゼ「火のバリアに守られていなかったら、あっという間に凍えちゃいますね」
アングレーズ「その後、彼らの行方を知る者は誰もいない……とかそんな話になっちゃうわ」
ガレ「しゃ、洒落にならないでござるよう!」
ブオル「強風が辛かったら俺の後ろに来な。少しはマシになるかもしれん」
モカ「確かに吹っ飛ばされちゃうかもね~」
クローテ「お前はその箱のせいもあるんじゃないのか……?」
~氷の芸術~
パンキッド「うわぁ……氷の花が咲いてる」
カカオ「氷晶の迷宮っていって、山の内部の洞窟が氷属性に片寄ったマナで自然にこうなったらしい」
アングレーズ「綺麗ね……」
ブオル「ただ、地面もところどころ氷結してるからな。景色に見惚れてるとうっかり転ぶかもしれない」
アングレーズ「ええ。けど、今は感動に水を差すおじゃま虫がいるからその心配はないわね」
ガレ「時空の裂け目から現れた魔物……“総てに餓えし者”の眷属でござるな」
モカ「そいつら片付けたら、上から一気に滑って遊べるかな」
クローテ「感動に水を差す奴がここにもいたな……」
アングレーズ「滑っていく途中でお花も二、三個壊しちゃいそうねえ」
~魔物も逃げ出す?~
ブオル「ここに来るまで、逃げてきたみたいな魔物とよく遭遇するな」
パンキッド「それも手負いっていうか、浄化されて消えかけみたいな奴ばっかりだよ」
ガレ「あの凶暴で凶悪な魔物が、どこか怯えた風でござったな」
ブオル「奥にいるカッセの仲間だっていう奴はどんだけ強くて恐ろしいんだろうなあ」
ランシッド『ぶっ』
カカオ「えっ、あ、それは……」
メリーゼ「ええと、強いことは強いんですけど……」
クローテ「なんというか、恐ろしいとはまた違うというか……」
カカオ「まあ、怖いっちゃ怖いよな……ニンジン残した時とか」
パンキッド「なんだそりゃ?」
ランシッド『は、はは……』
~オグマとグラッセ~
ランシッド『霊峰にいたのはやっぱりオグマだったんだねえ』
蒼雪の舞姫『アラザン霊峰……その内部にある氷晶の迷宮は我が住処。異変が起これば真っ先に察知しよう』
オグマ「お陰で被害が最小限に抑えられた」
蒼雪の舞姫『無粋な魔物め……涌いた場所が悪かったな』
ブオル「それで、もうひとりは兄弟か何かなのか? どことなく似てるような、似てないような……」
グラッセ「まあ、兄弟であり親子みたいなものだな」
パンキッド「へ?」
オグマ「い、いや、親子はちょっと……」
清き風花『生き別れの兄弟、って感じでしょうか?』
モカ「なんか、どっちもタイプの違うイケオジだよねぇ……まだちょっと渋さが足りないケド」
カカオ「厳しいな、おい」
クローテ「タイプが違うのは戦い方もだろう。魔術も使うが剣術が主で前線に斬り込むグラッセ隊長と、治癒術や後方支援が得意なオグマ隊長」
グラッセ「強いのは俺の方だがな」
オグマ「ふふ、そうかもな」
グラッセ「……張り合い甲斐のない奴め」
パンキッド「性格もだいぶ違う、と」
ランシッド『ほんと、兄弟みたいだ』
~変わりゆくもの~
メリーゼ「お父様、さっき“変わった”って……グラッセ隊長がですか?」
ランシッド『ん? ああ、メリーゼ達は昔の彼を知らないもんね』
オグマ「昔はちょっと近寄り難い雰囲気を漂わせていたな。仮面なんてつけたりして」
カカオ「仮面!?」
グラッセ「おい、余計なことを……!」
アングレーズ「あら、仮面の騎士様なんて物語チックでミステリアスじゃない」
グラッセ「……物語なんて、大層なもんじゃない。逃げていただけだ」
アングレーズ「逃げていた?」
オグマ「もう仮面はないんだったな。二十年前に村の子供にあげてしまったから」
グラッセ「だから余計なことは言うなと……」
オグマ「いいだろう。彼らにとっては仮面の騎士はヒーローなんだから」
グラッセ「……」
ランシッド『正確には“おめんマン”だっけ?』
グラッセ「やかましい!」
アングレーズ「やっぱり、素敵な物語があったんじゃないの」
~おっさん?~
グラッセ「カカオ……」
カカオ「なんだよ、グラッセのおっさん」
グラッセ「だからそのおっさんというのを撤回しろ!」
オグマ「グラッセもそういうのを気にするお年頃なんだな」
グラッセ「だいたいなんでコイツはおっさんじゃないんだ。俺より年上だぞ」
カカオ「んー、なんつーか……おっさんって呼ぶと違和感があるから?」
グラッセ「俺はないのか!?」
オグマ「やっぱり気になるんだな。だってまだ実際は二十七……」
ブオル「え?」
グラッセ「なんでもない。そして黙れ」
ランシッド『ていうか、もっと若々しい姿になれたりしないの?』
グラッセ「……俺は“人間”だからな」
ランシッド『ああ、そゆこと』
オグマ「自分で選んだなら、受け入れないとな」
カカオ「よくわかんねーけど……そうだな、グラッセのおっさん!」
グラッセ「それはやめろ!」
カカオ「すげえ吹雪だ……確かに霊峰は厳しいとこだけど、ここまでのはなかなかないぞ」
モカ「地元民が言うんだから相当だよこれ……」
メリーゼ「火のバリアに守られていなかったら、あっという間に凍えちゃいますね」
アングレーズ「その後、彼らの行方を知る者は誰もいない……とかそんな話になっちゃうわ」
ガレ「しゃ、洒落にならないでござるよう!」
ブオル「強風が辛かったら俺の後ろに来な。少しはマシになるかもしれん」
モカ「確かに吹っ飛ばされちゃうかもね~」
クローテ「お前はその箱のせいもあるんじゃないのか……?」
~氷の芸術~
パンキッド「うわぁ……氷の花が咲いてる」
カカオ「氷晶の迷宮っていって、山の内部の洞窟が氷属性に片寄ったマナで自然にこうなったらしい」
アングレーズ「綺麗ね……」
ブオル「ただ、地面もところどころ氷結してるからな。景色に見惚れてるとうっかり転ぶかもしれない」
アングレーズ「ええ。けど、今は感動に水を差すおじゃま虫がいるからその心配はないわね」
ガレ「時空の裂け目から現れた魔物……“総てに餓えし者”の眷属でござるな」
モカ「そいつら片付けたら、上から一気に滑って遊べるかな」
クローテ「感動に水を差す奴がここにもいたな……」
アングレーズ「滑っていく途中でお花も二、三個壊しちゃいそうねえ」
~魔物も逃げ出す?~
ブオル「ここに来るまで、逃げてきたみたいな魔物とよく遭遇するな」
パンキッド「それも手負いっていうか、浄化されて消えかけみたいな奴ばっかりだよ」
ガレ「あの凶暴で凶悪な魔物が、どこか怯えた風でござったな」
ブオル「奥にいるカッセの仲間だっていう奴はどんだけ強くて恐ろしいんだろうなあ」
ランシッド『ぶっ』
カカオ「えっ、あ、それは……」
メリーゼ「ええと、強いことは強いんですけど……」
クローテ「なんというか、恐ろしいとはまた違うというか……」
カカオ「まあ、怖いっちゃ怖いよな……ニンジン残した時とか」
パンキッド「なんだそりゃ?」
ランシッド『は、はは……』
~オグマとグラッセ~
ランシッド『霊峰にいたのはやっぱりオグマだったんだねえ』
蒼雪の舞姫『アラザン霊峰……その内部にある氷晶の迷宮は我が住処。異変が起これば真っ先に察知しよう』
オグマ「お陰で被害が最小限に抑えられた」
蒼雪の舞姫『無粋な魔物め……涌いた場所が悪かったな』
ブオル「それで、もうひとりは兄弟か何かなのか? どことなく似てるような、似てないような……」
グラッセ「まあ、兄弟であり親子みたいなものだな」
パンキッド「へ?」
オグマ「い、いや、親子はちょっと……」
清き風花『生き別れの兄弟、って感じでしょうか?』
モカ「なんか、どっちもタイプの違うイケオジだよねぇ……まだちょっと渋さが足りないケド」
カカオ「厳しいな、おい」
クローテ「タイプが違うのは戦い方もだろう。魔術も使うが剣術が主で前線に斬り込むグラッセ隊長と、治癒術や後方支援が得意なオグマ隊長」
グラッセ「強いのは俺の方だがな」
オグマ「ふふ、そうかもな」
グラッセ「……張り合い甲斐のない奴め」
パンキッド「性格もだいぶ違う、と」
ランシッド『ほんと、兄弟みたいだ』
~変わりゆくもの~
メリーゼ「お父様、さっき“変わった”って……グラッセ隊長がですか?」
ランシッド『ん? ああ、メリーゼ達は昔の彼を知らないもんね』
オグマ「昔はちょっと近寄り難い雰囲気を漂わせていたな。仮面なんてつけたりして」
カカオ「仮面!?」
グラッセ「おい、余計なことを……!」
アングレーズ「あら、仮面の騎士様なんて物語チックでミステリアスじゃない」
グラッセ「……物語なんて、大層なもんじゃない。逃げていただけだ」
アングレーズ「逃げていた?」
オグマ「もう仮面はないんだったな。二十年前に村の子供にあげてしまったから」
グラッセ「だから余計なことは言うなと……」
オグマ「いいだろう。彼らにとっては仮面の騎士はヒーローなんだから」
グラッセ「……」
ランシッド『正確には“おめんマン”だっけ?』
グラッセ「やかましい!」
アングレーズ「やっぱり、素敵な物語があったんじゃないの」
~おっさん?~
グラッセ「カカオ……」
カカオ「なんだよ、グラッセのおっさん」
グラッセ「だからそのおっさんというのを撤回しろ!」
オグマ「グラッセもそういうのを気にするお年頃なんだな」
グラッセ「だいたいなんでコイツはおっさんじゃないんだ。俺より年上だぞ」
カカオ「んー、なんつーか……おっさんって呼ぶと違和感があるから?」
グラッセ「俺はないのか!?」
オグマ「やっぱり気になるんだな。だってまだ実際は二十七……」
ブオル「え?」
グラッセ「なんでもない。そして黙れ」
ランシッド『ていうか、もっと若々しい姿になれたりしないの?』
グラッセ「……俺は“人間”だからな」
ランシッド『ああ、そゆこと』
オグマ「自分で選んだなら、受け入れないとな」
カカオ「よくわかんねーけど……そうだな、グラッセのおっさん!」
グラッセ「それはやめろ!」