29~もうひとつの冒険~
~王子と王の珍道中~
デュー「しっかし妙な取り合わせだよなあ。ドヤドヤ精霊王とキラキラ王子様のふたり旅なんて」
万物の王『どういう意味かはわからんがすごいだろう』
シーフォン「僕達が並べば王者たる威厳も気品も、相乗効果で二倍さ!」
万物の王『この俺がいるのだから二倍などとセコい事を言うな。百倍、千倍……いや、億千万倍だっ!』
デュー「あー……」
水辺の乙女『つっこめば確実に面倒なことになりますよ、デュー』
デュー「ああ……しかしまあ、よくここまで来られたもんだな」
万物の王『道中で鍛えているからな。よし息子、戦闘後は腹筋百回だ!』
シーフォン「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」
万物の王『次の戦闘後はスクワット百回だからな!』
シーフォン「ああ、わかっている! ふんふんふんふんふんふんふんぬぅ!」
デュー「なあ、こいつがメリーゼ達に追いつけないのって……」
水辺の乙女『時間、かかりそうですねぇ』
~可憐な英雄~
シーフォン「貴女もデュランダルと同じ二十年前の英雄……こんな可憐な女性が……」
フィノ「まあ、うふふ♪」
デュー「フィノは術師だからな。攻撃、治癒もこなすが得意なのはサポートだ」
シーフォン「なるほど」
デュー「そして接近されたら並の男では扱えない鈍器を軽々と振り回す!」
フィノ「儀式用の杖です!」
デュー「あと、そうだな……もふもふしたものを見た時の突進力は猪もびっくりなレベルだ。それから最大の禁句は……」
フィノ「デュー君?」
シーフォン「彼女の纏う気配が変わった……何かはわからないが言わなくていいぞデュランダル!」
デュー「ま、何にしたっていい女だよ」
フィノ「もう、そうやってすぐごまかすんですから!」
~強さの答え~
シーフォン「強さの答えはひとつじゃない、か……」
デュー「メリーゼのことばっか見てるから、焦っちまうんだよ」
フィノ「防御に撹乱、後方支援……役割はひとつじゃないんですよ」
デュー「むしろメリーゼと同じになっちまったら補い合えないだろ?」
シーフォン「はっ!? そうか、ということは彼女の隣に立つことができない!」
月光の女神『今頃気付いたの?』
水辺の乙女『役割が被ったらだいたい一人で済みますよね』
デュー「メリーゼは剣も魔術も純粋な攻撃型でスピードとテクニックを重視するタイプだ。まあ幸い、全部お前にはない要素だけどな」
シーフォン「遠回しにバカにしてないか?」
デュー「逆に言っちまえば、お前の持ち味もメリーゼにはない要素だ。その意味がわかるな?」
シーフォン「そうか! つまり二人は相性ばっちりと!」
デュー「いやそこまではまだ……」
シーフォン「そうと決まればメリーゼの隣に並び立つため、特訓あるのみだ! いくぞ精霊王ー!」
月光の女神『……激しい子ねぇ』
デュー「血筋、だな」
~かつての仲間達~
シーフォン「デュランダルには父上をはじめ、いろんな仲間がいたのだな」
デュー「ああ。ここにいるフィノや精霊達も含めてな」
フィノ「本当に、戦い方も性格もみんなバラバラでしたね」
万物の王『それらがうまく噛み合い、まざりあって生み出される“調和”の力……心地よいものであった』
シーフォン「噛み合ってまざりあう……」
フィノ「あの子達もきっとなれます。そんな仲間に」
デュー「ああ、そうだな」
シーフォン「そこに僕も飛び込む!」
フィノ「“仲間”になるつもりなら、メリーゼちゃんだけを見ていたらダメよ?」
シーフォン「うぐっ……」
デュー「当然だ。周りを見て連携して……ちゃんと協力して仲良くやらないと、メリーゼは守れねえぞ」
シーフォン「か……」
フィノ「か?」
シーフォン「彼らがどうしてもと言うなら、仲良くしてやっても良い!」
デュー「お前、むしろ頼む側だろ……」
~決意、新たに~
万物の王『人間よ……明らかに足りぬ実力で、絶望的な話を聞かされ、それでもまだ歩みを止めぬと言うのか』
シーフォン「なんだ、今更仰々しくして」
万物の王『こういう物言いをすればこの俺の威厳が割増しになるかと思ってな』
デュー「なんのこっちゃ……けど、ほんとに気持ちは変わらないんだな?」
フィノ「怖くはないのですか?」
シーフォン「ないと言えば嘘になるが……」
万物の王『ふむ』
シーフォン「颯爽と助けに入った人間が怖がっていては格好がつかないだろう?」
万物の王『ほう』
フィノ「そ、それは……」
デュー「そうだけど、なぁ……」
万物の王『うむ、気に入った。ならばその意志、通してみせよ!』
シーフォン「ああ!」
デュー「根拠もねえのによくもまあ……」
水辺の乙女『若いですねえ』
~悪寒、近付く?~
メリーゼ「!」
カカオ「どうした、メリーゼ!? またなんか視たのか?」
パンキッド「大丈夫かい? 顔色が悪いよ。風邪でも引いたんじゃ……」
メリーゼ「だ、大丈夫です。ありがとうございます」
ランシッド『時空の歪みも感じないね』
メリーゼ「本当になんでも……ただ、ちょっとした予感というか、悪寒というか」
カカオ「それ、こないだも言ってたな」
メリーゼ「何かが近付いてくるような、案外近くないような……?」
パンキッド「な、なんだいそりゃ?」
カカオ「まさか“テラ”の魔の手が迫ってるんじゃ……!?」
メリーゼ「う、うーん……違うような気がしますけど……」
カカオ「そうか? 何にせよ、無理はすんなよ」
パンキッド「アタシらと違ってデリケートそうだもんね、メリーゼは」
カカオ「今さらっとデリケートじゃない側にオレも加えたな、お前……」
デュー「しっかし妙な取り合わせだよなあ。ドヤドヤ精霊王とキラキラ王子様のふたり旅なんて」
万物の王『どういう意味かはわからんがすごいだろう』
シーフォン「僕達が並べば王者たる威厳も気品も、相乗効果で二倍さ!」
万物の王『この俺がいるのだから二倍などとセコい事を言うな。百倍、千倍……いや、億千万倍だっ!』
デュー「あー……」
水辺の乙女『つっこめば確実に面倒なことになりますよ、デュー』
デュー「ああ……しかしまあ、よくここまで来られたもんだな」
万物の王『道中で鍛えているからな。よし息子、戦闘後は腹筋百回だ!』
シーフォン「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」
万物の王『次の戦闘後はスクワット百回だからな!』
シーフォン「ああ、わかっている! ふんふんふんふんふんふんふんぬぅ!」
デュー「なあ、こいつがメリーゼ達に追いつけないのって……」
水辺の乙女『時間、かかりそうですねぇ』
~可憐な英雄~
シーフォン「貴女もデュランダルと同じ二十年前の英雄……こんな可憐な女性が……」
フィノ「まあ、うふふ♪」
デュー「フィノは術師だからな。攻撃、治癒もこなすが得意なのはサポートだ」
シーフォン「なるほど」
デュー「そして接近されたら並の男では扱えない鈍器を軽々と振り回す!」
フィノ「儀式用の杖です!」
デュー「あと、そうだな……もふもふしたものを見た時の突進力は猪もびっくりなレベルだ。それから最大の禁句は……」
フィノ「デュー君?」
シーフォン「彼女の纏う気配が変わった……何かはわからないが言わなくていいぞデュランダル!」
デュー「ま、何にしたっていい女だよ」
フィノ「もう、そうやってすぐごまかすんですから!」
~強さの答え~
シーフォン「強さの答えはひとつじゃない、か……」
デュー「メリーゼのことばっか見てるから、焦っちまうんだよ」
フィノ「防御に撹乱、後方支援……役割はひとつじゃないんですよ」
デュー「むしろメリーゼと同じになっちまったら補い合えないだろ?」
シーフォン「はっ!? そうか、ということは彼女の隣に立つことができない!」
月光の女神『今頃気付いたの?』
水辺の乙女『役割が被ったらだいたい一人で済みますよね』
デュー「メリーゼは剣も魔術も純粋な攻撃型でスピードとテクニックを重視するタイプだ。まあ幸い、全部お前にはない要素だけどな」
シーフォン「遠回しにバカにしてないか?」
デュー「逆に言っちまえば、お前の持ち味もメリーゼにはない要素だ。その意味がわかるな?」
シーフォン「そうか! つまり二人は相性ばっちりと!」
デュー「いやそこまではまだ……」
シーフォン「そうと決まればメリーゼの隣に並び立つため、特訓あるのみだ! いくぞ精霊王ー!」
月光の女神『……激しい子ねぇ』
デュー「血筋、だな」
~かつての仲間達~
シーフォン「デュランダルには父上をはじめ、いろんな仲間がいたのだな」
デュー「ああ。ここにいるフィノや精霊達も含めてな」
フィノ「本当に、戦い方も性格もみんなバラバラでしたね」
万物の王『それらがうまく噛み合い、まざりあって生み出される“調和”の力……心地よいものであった』
シーフォン「噛み合ってまざりあう……」
フィノ「あの子達もきっとなれます。そんな仲間に」
デュー「ああ、そうだな」
シーフォン「そこに僕も飛び込む!」
フィノ「“仲間”になるつもりなら、メリーゼちゃんだけを見ていたらダメよ?」
シーフォン「うぐっ……」
デュー「当然だ。周りを見て連携して……ちゃんと協力して仲良くやらないと、メリーゼは守れねえぞ」
シーフォン「か……」
フィノ「か?」
シーフォン「彼らがどうしてもと言うなら、仲良くしてやっても良い!」
デュー「お前、むしろ頼む側だろ……」
~決意、新たに~
万物の王『人間よ……明らかに足りぬ実力で、絶望的な話を聞かされ、それでもまだ歩みを止めぬと言うのか』
シーフォン「なんだ、今更仰々しくして」
万物の王『こういう物言いをすればこの俺の威厳が割増しになるかと思ってな』
デュー「なんのこっちゃ……けど、ほんとに気持ちは変わらないんだな?」
フィノ「怖くはないのですか?」
シーフォン「ないと言えば嘘になるが……」
万物の王『ふむ』
シーフォン「颯爽と助けに入った人間が怖がっていては格好がつかないだろう?」
万物の王『ほう』
フィノ「そ、それは……」
デュー「そうだけど、なぁ……」
万物の王『うむ、気に入った。ならばその意志、通してみせよ!』
シーフォン「ああ!」
デュー「根拠もねえのによくもまあ……」
水辺の乙女『若いですねえ』
~悪寒、近付く?~
メリーゼ「!」
カカオ「どうした、メリーゼ!? またなんか視たのか?」
パンキッド「大丈夫かい? 顔色が悪いよ。風邪でも引いたんじゃ……」
メリーゼ「だ、大丈夫です。ありがとうございます」
ランシッド『時空の歪みも感じないね』
メリーゼ「本当になんでも……ただ、ちょっとした予感というか、悪寒というか」
カカオ「それ、こないだも言ってたな」
メリーゼ「何かが近付いてくるような、案外近くないような……?」
パンキッド「な、なんだいそりゃ?」
カカオ「まさか“テラ”の魔の手が迫ってるんじゃ……!?」
メリーゼ「う、うーん……違うような気がしますけど……」
カカオ「そうか? 何にせよ、無理はすんなよ」
パンキッド「アタシらと違ってデリケートそうだもんね、メリーゼは」
カカオ「今さらっとデリケートじゃない側にオレも加えたな、お前……」