28~可能性の光~

~思い出すのは~

カカオ「じいちゃん、元気かなあ……」
パンキッド「この腕輪を作ったっていう職人か?」
カカオ「ああ。強くて真っ直ぐで、作品を愛してて……オレの憧れの職人で、大好きなじいちゃんだ」
パンキッド「なんだそれ、まんまお前みたいなじいさんだな」
カカオ「へっ!? い、いやいや、オレあんなすげえ職人じゃねーし……」
パンキッド「お前の腕は知らないけど、なんか性格とか性質は似てると思って」
カカオ「そう、かな……そうだといいな」
パンキッド「会ってみたいな……カカオが憧れるってことは、相当強いんだろ?」
カカオ「ま、待て! じいちゃんは普通の職人で戦える訳じゃねーぞ!」
パンキッド「なんだ、違うのか?」
カカオ「なんか、職人に対するあらぬ誤解が生まれてる気がする……」


~すたこらさっさ~

ランシッド『大会も終わったし、さっさと闘技場を離れるよ』
ブオル「混乱の勢いで誤魔化されてるけど、目立っちまいましたからね」
クローテ「眷属の出現は各地で確認されていますが、ガトー様の腕輪が優勝賞品なんて扱いを受けているようでは……」
ガレ「まだまだ情報が広まりきっていないようでござるな」
モカ「ま、それもあるけど……早急に離れなきゃいけない理由は他にもあるっしょ」
クローテ「他にも?」
アングレーズ「闘技場のアイドルちゃんがカカオ君に親しげにぴったりひっついたじゃない?」
クローテ「あ、ああ……一瞬あちこちから凄まじい殺気を感じたな」
ブオル「いろんな意味で、ほとぼりがさめるまで闘技場には近寄らない方が良さそうだな」
メリーゼ「そ、そうですね……」


~よろしく、パンキッド~

パンキッド「半ば強引に押し切る形になったけど、よろしくな。パンキッド・グラノーラだ」
モカ「強引に押し切った自覚はあるんだね……」
カカオ「まさかオーケーが出るとは思わなかったけどな」
ランシッド『まぁ……いろいろ思うところがあって、ね』
モカ「なんでもいいよ。女子が増えるのは嬉しいし」
ブオル「しかし、今までいなかったタイプだなあ」
モカ「健康的なワイルド系美少女だもんねぇ。うむ、眼福じゃ……」
パンキッド「なんかスケベなおっさんみたいなチビがいるな……」
クローテ「なんで誰よりもそれっぽいんだ……」
メリーゼ「よろしくお願いします、パンキッドさん」
パンキッド「おう、お前がメリーゼだな。カカオから聞いてるよ、よろしく」
メリーゼ「カカオ君から?」
パンキッド「だいたいなんでもブッ飛ばして解決する突撃娘だって。アタシと気が合いそうだな!」
メリーゼ「カ、カカオ君っ!」
カカオ「ひぇっ!? いきなり剣を振り回すなよ!」
ガレ「カカオどの、じごーじとくでござるよー」
ブオル「また一段とにぎやかになったな」
清き風花『ですねぇ』


~奇妙な縁~

モカ「まさかこんなところでフローレットおばちゃんの友達の娘に会うとは思わなかったよ」
クローテ「確かに、王都や中央大陸ならわかるがたまたま立ち寄った東大陸の闘技場都市ではな」
ブオル「そのラクレムとエクレアって、どんな人なんだ?」
清き風花『フローレット王妃がさらわれて閉じ込められた洞窟で、彼女を守るようにと言われて見張りをしていたそうです。性格は、なんというか……とても豪快で直線的な方でした』
パンキッド「微妙に言葉を選んだね……」
ブオル「そんな経緯で、今は友達なのか」
モカ「騙されて守ってただけだからね。退屈しないようにお話してくれたり、優しい人たちだって言ってたよ。今でもたまに来て、おばちゃんの部屋でおしゃべりしてる」
パンキッド「母さんがたまに美味しいお菓子をお土産に持って帰ってくるの、あれ王都のだったんだなー」
モカ「フローレットおばちゃんは滅多に王都を出ないから、外の話をいろいろ聞けるのが楽しいって言ってた」
ブオル「なんだかいいなあ、そういうの」
モカ「ボクも何度か一緒にお話聞いてたけど、楽しそうだったな。でも……」
クローテ「でも?」
モカ「ラクレムおじちゃん、いつ見ても半裸なのが気になって……よくお城に入れたなって」
カカオ「半裸……」
パンキッド「ちゃんとした場所に行くなら服をちゃんと着ろっていつも言ってるのに……」
クローテ「こ、個性的なんだな」
パンキッド「フォローありがとなちきしょー!」


~アンとパンで……~

モカ「アンとパン姐……略したらなんか響きが似てるねえ」
アングレーズ「あら本当。略してアンパンね」
メリーゼ「なんだか一気に可愛らしくておいしそうになりましたね」
パンキッド「緊張感はなくなったけどな……」
アングレーズ「いいじゃない。アンパンコンビでがんばりましょ、パンちゃん♪」
パンキッド「ア、アタシはそういうのいいから!」
アングレーズ「あら、そう?」
パンキッド「闘技場はむさい野郎ばっかりだったし、今までいないタイプでやりにくいなー」
ランシッド『見た目はパンキッドに比べたらおとなしめだけど、なんだかんだ強い子ばっかりだからねえ』
ブオル「はやく馴染めるといいな、パンキッド」
ガレ「ゆっくり慣れていけば良いのでござる」
パンキッド「うー、男連中といた方がまだ落ち着くよ……」


~さっそく……~

カカオ「あれ、メリーゼとパンキッドがいないな」
クローテ「あの二人だったら手合わせに行ったぞ」
カカオ「ああ……バトルマニア同士が出会っちまったからな……」
モカ「メリーゼ姉、闘技場でパン姐の試合見て目ぇ輝かせてたもんね。一度戦ってみたいって言ってた」
アングレーズ「おしとやかに見えて、メリーゼちゃんも結構激しいものねぇ」
ブオル「本質は戦士、か……ところどころうちのホイップを思い出すんだよな、お嬢ちゃん」
ランシッド『そしてダクワーズにそっくりなんだよ……普段のおっとりした感じは、違うんだけどねぇ』
パンキッド「ただいまー」
メリーゼ「あれ、皆さんどうしました?」
ブオル「お、噂をすれば」
カカオ「バトルマニアが帰ってきたぞ」
モカ「念願の手合わせ、どうだった?」
メリーゼ「えーと、今回は引き分け、でしょうか」
パンキッド「いやぁメリーゼもなかなか強いな! 騎士サマなんてガチガチな連中ばっかりだと思ってたけどあそこの連撃からさらに攻めてくるなんて……しびれたよ!」
メリーゼ「いえ、パンキッドさんこそ……咄嗟に回避の動作に織りまぜて反撃してきた時は、ぞくぞくして血が滾りました」
カカオ「笑顔で爽やかに語る内容か、これ……?」
アングレーズ「バトルマニア同士の会話ね……」
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