58:機械仕掛けの神
「カミサマ気取りだろうとなんだろうと、弱点はあいつらと同じ雷でしょ!」
先手必勝とばかりにプリエールがたたき込んだ魔法は、紫色の薄い膜のようなものに弾かれてしまう。
魔導機神は自慢げに六枚の翼をひろげ、目玉を光らせた。
「えっ?」
〈ククク……この神の名を冠する最高傑作が下々の人形と同じ弱点を有していると思うなよ〉
「それならこれだっ!」
指先でこめかみを数回叩いた後、モーアンが放ったのは、鋭い光線を放つ光の攻撃魔法。
今度は膜を突き破って内部まで届き、衝撃で魔導機神の巨体を揺らした。
〈ぐおぉっ!?〉
「……ビンゴ。無敵というわけじゃないね。こいつは弱点をずらしているだけだよ。恐らくその翼についてる玉が、各属性のバリアを作り出しているんだ」
モーアンが指し示した翼の内側にはそれぞれ赤、青、橙、緑、白、紫の玉が埋め込まれている。
六つの中で唯一、煌々と輝いていたのが紫。闇の魔力を連想させる色だった。
〈ふん、その通りだ。だが防御属性は次々に切り替わるぞ。そして悠長にしていれば、大魔法……貴様らが禁術と呼ぶ魔法により地上は滅びるだろう〉
「!」
〈ルクシアルの手前……今は“星見の丘”と呼ばれているのだったな。元は何の変哲もない平原だった。激しく隆起したあの地形を生み出したのは我が大魔法の力だ〉
大きく盛り上がり山のようになった箇所がいくつもあり、低地は迷路のように複雑に入り組んだ見通しの悪い“星見の丘”。
ルクシアルを目指す者がまず最初に受ける洗礼とも言われ、時間と資金に余裕があれば大きく避けた遠回りの道での馬車も選択肢に入るほどの場所だ。
ルクシアルで育ったモーアンはその成り立ちを大まかに聞かされてはいたが、当事者の口から改めて、となると実感の度合いも異なるというもの。
〈千年前は発動手前で小娘に止められ、あの一帯にしか及ばなかったが……この術が完成すれば空の星を呼び寄せ、世界中に雨あられと降り注ぐ!〉
「そんなことしたらどこもかしこもめちゃくちゃよ!」
平原をあんな姿に変えた隕石が世界中に降るとなれば、どれだけの犠牲者が出るか、想像もつかない。
思わず飛び出たプリエールの叫びに、モーアンも続く。
「大地は荒れ放題、人もいなくなったような不毛の世界の神になってもどうしようもないだろう?」
〈知れたこと。我は、我を認めず排したこの世界を滅ぼせればそれで良い。それが女神への復讐となるのだからなァ!〉
ケイオスがそう言い放つと、翼の宝玉が切り替わる。
紫色から赤に。玉の輝きと、全体を覆う半透明の膜がその色を変えた。
「こいつ、おかしいぜ。恨みや執着を積み上げ過ぎて……」
「断ち切ろう。ここで終わるわけにはいかないんだ」
「世界も、あたしたちもね!」
禁呪の魔法士ケイオス。己の才能に溺れ、世界に恨みを抱いた傲慢な男。
因縁の相手との、恐らく最後になるであろう戦い。その幕が今、上がったのだった。
先手必勝とばかりにプリエールがたたき込んだ魔法は、紫色の薄い膜のようなものに弾かれてしまう。
魔導機神は自慢げに六枚の翼をひろげ、目玉を光らせた。
「えっ?」
〈ククク……この神の名を冠する最高傑作が下々の人形と同じ弱点を有していると思うなよ〉
「それならこれだっ!」
指先でこめかみを数回叩いた後、モーアンが放ったのは、鋭い光線を放つ光の攻撃魔法。
今度は膜を突き破って内部まで届き、衝撃で魔導機神の巨体を揺らした。
〈ぐおぉっ!?〉
「……ビンゴ。無敵というわけじゃないね。こいつは弱点をずらしているだけだよ。恐らくその翼についてる玉が、各属性のバリアを作り出しているんだ」
モーアンが指し示した翼の内側にはそれぞれ赤、青、橙、緑、白、紫の玉が埋め込まれている。
六つの中で唯一、煌々と輝いていたのが紫。闇の魔力を連想させる色だった。
〈ふん、その通りだ。だが防御属性は次々に切り替わるぞ。そして悠長にしていれば、大魔法……貴様らが禁術と呼ぶ魔法により地上は滅びるだろう〉
「!」
〈ルクシアルの手前……今は“星見の丘”と呼ばれているのだったな。元は何の変哲もない平原だった。激しく隆起したあの地形を生み出したのは我が大魔法の力だ〉
大きく盛り上がり山のようになった箇所がいくつもあり、低地は迷路のように複雑に入り組んだ見通しの悪い“星見の丘”。
ルクシアルを目指す者がまず最初に受ける洗礼とも言われ、時間と資金に余裕があれば大きく避けた遠回りの道での馬車も選択肢に入るほどの場所だ。
ルクシアルで育ったモーアンはその成り立ちを大まかに聞かされてはいたが、当事者の口から改めて、となると実感の度合いも異なるというもの。
〈千年前は発動手前で小娘に止められ、あの一帯にしか及ばなかったが……この術が完成すれば空の星を呼び寄せ、世界中に雨あられと降り注ぐ!〉
「そんなことしたらどこもかしこもめちゃくちゃよ!」
平原をあんな姿に変えた隕石が世界中に降るとなれば、どれだけの犠牲者が出るか、想像もつかない。
思わず飛び出たプリエールの叫びに、モーアンも続く。
「大地は荒れ放題、人もいなくなったような不毛の世界の神になってもどうしようもないだろう?」
〈知れたこと。我は、我を認めず排したこの世界を滅ぼせればそれで良い。それが女神への復讐となるのだからなァ!〉
ケイオスがそう言い放つと、翼の宝玉が切り替わる。
紫色から赤に。玉の輝きと、全体を覆う半透明の膜がその色を変えた。
「こいつ、おかしいぜ。恨みや執着を積み上げ過ぎて……」
「断ち切ろう。ここで終わるわけにはいかないんだ」
「世界も、あたしたちもね!」
禁呪の魔法士ケイオス。己の才能に溺れ、世界に恨みを抱いた傲慢な男。
因縁の相手との、恐らく最後になるであろう戦い。その幕が今、上がったのだった。
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