58:機械仕掛けの神
辿り着いた最深部は当初の暗さからてっきりまた小さな部屋かと思われたが、見上げるほど天井が高く、周囲も広々としていた。
それだけ巨大な部屋には理由があったのだと、フォンドたちはすぐに知ることとなる。
〈魂の物体への定着……あの小娘は大いに役立ってくれた。やはりヒトの体には限界がある。その点、我が技術と知識の集合体である“これ”ならば……!〉
地の災禍と似た金属製の巨人から無骨さを取り去り、ルーチェの器となった人形の優美さを足した、なだらかな白いボディ。
どこか神々しい姿で、胸部に飾られたクリスタルがぼうっと緑色に発光している。
「もしかして、今まで人形ばっかりだったのって……」
〈そうだ。研究と試行を重ね、我が究極の器となるボディを造り上げるためだ! この体……“魔導機神デウス・エクス・マキナ”は強大な力をもち、そして朽ちぬ! もうその脆弱な肉体も必要ないッ!〉
「……大した技術だこと」
吐き捨てるようにプリエールが呟く。彼女は倒れたアルバトロスの胸が静かに上下していることを確認すると、ほっと息を吐いた。
「アルバトロスさんは……」
「大丈夫みたい。ただ、巻き込まないようにしないとね」
アルバトロスの周辺に頑丈な防御壁を作り、改めてケイオスに立ち向かう。
自分たちなど簡単に捻り潰してしまいそうな機械巨人・魔導機神を前に、目をそらすことなく真っ直ぐに。
〈なんだ? 我は我を排した女神をこの手で滅ぼし、新たな神になってやろうというのだ。邪魔をするのなら……〉
「御託はいいからかかってきなさいよ」
〈なに?〉
「あたし今、頭に来てるの。あんたの野望を叩き潰してあげるって言ってんのよ……この頭でっかちの自己中オヤジ!」
自分勝手な理由で呆気なく命を奪われたルーチェと、彼女への想いを利用されて弄ばれたノクス。
乗っ取られた体で好き放題悪事を働かれ、挙げ句用済みになったからと打ち捨てられたアルバトロス。
非道な行いを繰り返し、傲慢にも神に成り代わろうとする男を前に、プリエールの言葉から怒りが滲み出る。
〈言うじゃないか、凡人風情が……それなら望み通り、格の違いを見せつけてやろう!〉
「来るみたいだぜ。ふたりとも下がっててくれ!」
素早く身構えるフォンドの後ろに、術者ふたりが距離をとって控える。
兜のような形をした機神の頭部、顔にあたる空洞内を光球が動き回り、やがてフォンドに狙いを定めるように止まると不気味に輝いた。
〈この魔導機神に身一つで立ち向かうか。良かろう。まずは貴様からだッ!〉
力を誇示するように翼を展開した魔導機神はさらに巨大に、強大に見えたが、
「へっ、来やがれ!」
「やれやれ、すっかり神様気取りみたいだね」
「そのご立派な鼻、へし折ってあげるわ!」
フォンドも、モーアンも、プリエールも。
幾多の冒険を乗り越えてきた彼らは、今更そこで引き下がるような者たちではなかった。
それだけ巨大な部屋には理由があったのだと、フォンドたちはすぐに知ることとなる。
〈魂の物体への定着……あの小娘は大いに役立ってくれた。やはりヒトの体には限界がある。その点、我が技術と知識の集合体である“これ”ならば……!〉
地の災禍と似た金属製の巨人から無骨さを取り去り、ルーチェの器となった人形の優美さを足した、なだらかな白いボディ。
どこか神々しい姿で、胸部に飾られたクリスタルがぼうっと緑色に発光している。
「もしかして、今まで人形ばっかりだったのって……」
〈そうだ。研究と試行を重ね、我が究極の器となるボディを造り上げるためだ! この体……“魔導機神デウス・エクス・マキナ”は強大な力をもち、そして朽ちぬ! もうその脆弱な肉体も必要ないッ!〉
「……大した技術だこと」
吐き捨てるようにプリエールが呟く。彼女は倒れたアルバトロスの胸が静かに上下していることを確認すると、ほっと息を吐いた。
「アルバトロスさんは……」
「大丈夫みたい。ただ、巻き込まないようにしないとね」
アルバトロスの周辺に頑丈な防御壁を作り、改めてケイオスに立ち向かう。
自分たちなど簡単に捻り潰してしまいそうな機械巨人・魔導機神を前に、目をそらすことなく真っ直ぐに。
〈なんだ? 我は我を排した女神をこの手で滅ぼし、新たな神になってやろうというのだ。邪魔をするのなら……〉
「御託はいいからかかってきなさいよ」
〈なに?〉
「あたし今、頭に来てるの。あんたの野望を叩き潰してあげるって言ってんのよ……この頭でっかちの自己中オヤジ!」
自分勝手な理由で呆気なく命を奪われたルーチェと、彼女への想いを利用されて弄ばれたノクス。
乗っ取られた体で好き放題悪事を働かれ、挙げ句用済みになったからと打ち捨てられたアルバトロス。
非道な行いを繰り返し、傲慢にも神に成り代わろうとする男を前に、プリエールの言葉から怒りが滲み出る。
〈言うじゃないか、凡人風情が……それなら望み通り、格の違いを見せつけてやろう!〉
「来るみたいだぜ。ふたりとも下がっててくれ!」
素早く身構えるフォンドの後ろに、術者ふたりが距離をとって控える。
兜のような形をした機神の頭部、顔にあたる空洞内を光球が動き回り、やがてフォンドに狙いを定めるように止まると不気味に輝いた。
〈この魔導機神に身一つで立ち向かうか。良かろう。まずは貴様からだッ!〉
力を誇示するように翼を展開した魔導機神はさらに巨大に、強大に見えたが、
「へっ、来やがれ!」
「やれやれ、すっかり神様気取りみたいだね」
「そのご立派な鼻、へし折ってあげるわ!」
フォンドも、モーアンも、プリエールも。
幾多の冒険を乗り越えてきた彼らは、今更そこで引き下がるような者たちではなかった。
