57:哀しき人形
復活間近だった八体の災禍をどうにか倒したエイミたちは、敵を直接叩くべく、二手にわかれて行動していた。
モーアン、プリエール、それにフォンドの三人が向かった先は、南大陸の魔法都市マギカルーン近くにある地下遺跡。かつてプリエールが友人アルバトロスと共に探索し、禁呪の魔法士ケイオスの復活を目の当たりにした場所だ。
「まさか、また来ることになるなんてね……」
しみじみと感慨深く、それでいてうんざりした様子でプリエールが溜息を吐いた。
埃っぽくカビ臭い空気。壁の紋様ひとつとっても好奇心が刺激される、本来ならプリエールにとって心ときめく場所だが、何もできずに友人を奪われた苦渋の記憶が彼女の瞳に影を落とす。
「けど、見た感じ行き止まりだぜ?」
「ノクスが言っていたよ。ここにはまだ隠された仕掛けがあるって」
『うむ。それに人間にはわからんじゃろうが、ワシら精霊の目は誤魔化せんぞ!』
フォンドたちのやりとりを耳にしたプリエールは現実に引き戻され、彼らを振り返った。
「……この遺跡は千年ほど前のものとされているけれど、まだまだわかっていないことも多いわ。あたしとアルバが来た時も、新しく隠し部屋の存在が判明したって話だったの」
「確かそこにケイオスが封印されてたんだよね?」
「ええ。その隠し部屋にあった“禁断の書”にね。まずはその部屋に行ってみましょうか」
現状、もし手がかりがあるとすればその部屋が一番可能性が高い。
プリエールに案内された先は元は通路の突き当たりだった場所で、今は壁が崩れ、奥に小部屋があった。
「うわ、いかにも何かありそうな場所だね……」
中央に置かれた台座の上の水晶をまじまじと見つめ、モーアンが呟く。
「ここはもう仕掛けを解いた後で、ケイオスがいたのはその先なのよ」
『だがここにはもうひとつ隠し通路があるぜ。階段が続いてる』
と、飛び出してきたのは地精霊ガネット。現れるなり実体のない身で壁を軽く叩いてみせる。
プリエールが言う仕掛けは小部屋の奥の扉のことで、こちらはもう開いている。
ガネットが示した壁はまた別で、パッと見ではそこに扉があるようには思えなかったが……
「小さな部屋にわかりやすい扉の仕掛けがひとつあれば、こっちからは目をそらせるってことか」
「確かに、あたしもアルバを探しにもう一度来た時には気づかなかったわ……」
恐らくマギカルーンの学者たちもここに立ち入ったのだろうが、結果は見ての通りだ。
もしあの時この扉の存在に気づいていれば……そこまで考えて、プリエールは首を横に振った。
「きっと、あいつをぶっ飛ばせる今だから見つけられたのよね。よし、そう思うことにしましょ!」
落ち込むのは一瞬。次いで握る拳は力強く。
待ってなさいよ、と小さくこぼし、美貌の魔法学者は静かに闘志を燃やすのだった。
モーアン、プリエール、それにフォンドの三人が向かった先は、南大陸の魔法都市マギカルーン近くにある地下遺跡。かつてプリエールが友人アルバトロスと共に探索し、禁呪の魔法士ケイオスの復活を目の当たりにした場所だ。
「まさか、また来ることになるなんてね……」
しみじみと感慨深く、それでいてうんざりした様子でプリエールが溜息を吐いた。
埃っぽくカビ臭い空気。壁の紋様ひとつとっても好奇心が刺激される、本来ならプリエールにとって心ときめく場所だが、何もできずに友人を奪われた苦渋の記憶が彼女の瞳に影を落とす。
「けど、見た感じ行き止まりだぜ?」
「ノクスが言っていたよ。ここにはまだ隠された仕掛けがあるって」
『うむ。それに人間にはわからんじゃろうが、ワシら精霊の目は誤魔化せんぞ!』
フォンドたちのやりとりを耳にしたプリエールは現実に引き戻され、彼らを振り返った。
「……この遺跡は千年ほど前のものとされているけれど、まだまだわかっていないことも多いわ。あたしとアルバが来た時も、新しく隠し部屋の存在が判明したって話だったの」
「確かそこにケイオスが封印されてたんだよね?」
「ええ。その隠し部屋にあった“禁断の書”にね。まずはその部屋に行ってみましょうか」
現状、もし手がかりがあるとすればその部屋が一番可能性が高い。
プリエールに案内された先は元は通路の突き当たりだった場所で、今は壁が崩れ、奥に小部屋があった。
「うわ、いかにも何かありそうな場所だね……」
中央に置かれた台座の上の水晶をまじまじと見つめ、モーアンが呟く。
「ここはもう仕掛けを解いた後で、ケイオスがいたのはその先なのよ」
『だがここにはもうひとつ隠し通路があるぜ。階段が続いてる』
と、飛び出してきたのは地精霊ガネット。現れるなり実体のない身で壁を軽く叩いてみせる。
プリエールが言う仕掛けは小部屋の奥の扉のことで、こちらはもう開いている。
ガネットが示した壁はまた別で、パッと見ではそこに扉があるようには思えなかったが……
「小さな部屋にわかりやすい扉の仕掛けがひとつあれば、こっちからは目をそらせるってことか」
「確かに、あたしもアルバを探しにもう一度来た時には気づかなかったわ……」
恐らくマギカルーンの学者たちもここに立ち入ったのだろうが、結果は見ての通りだ。
もしあの時この扉の存在に気づいていれば……そこまで考えて、プリエールは首を横に振った。
「きっと、あいつをぶっ飛ばせる今だから見つけられたのよね。よし、そう思うことにしましょ!」
落ち込むのは一瞬。次いで握る拳は力強く。
待ってなさいよ、と小さくこぼし、美貌の魔法学者は静かに闘志を燃やすのだった。
