4:ルクシアルへ続く道
洞窟といってもルクシアルへ向かうだけなら少しばかり距離のあるトンネルみたいなもので、ほどなくして出口が見えてきた。
枝分かれしてる内部に迷い込むと結構大変なんだけどね、と説明するモーアンは、わかりやすく看板が立っているにもかかわらず好奇心で飛び込んで激しく後悔したことがあるのだとか。
ちなみに凶暴な魔物も増えるというその内部への入口には女神像があり、結界の力をもってトンネル部分との仕切りの役目を果たしているらしい。
「もしここの女神像の結界が弱まったら大変ですね……」
「……エイミ、それは思っても口に出さない方がいい。世の中には言霊というものがあるからね」
『よーするにフラグを建てるなってコトね』
かなり噛み砕いた物言いをする小竜に神官が苦笑いをする。
「おっ、外だぜ! ひゃっほー!」
出口から覗く大地の緑と、それを照らす陽の光。真っ先に飛び出したのは武器防具が身軽なぶん元気の有り余ったフォンドだった。
「あっ、待ってくださいフォンド!」
次いでエイミも槍を大事そうに抱えながら駆け出す。
ふたりとも暗い洞窟を抜けて安心したようで、笑顔が嬉しそうに輝いている。
「いやぁ、元気だねぇ。若いっていいねえ」
『さすがに老け込むのは早すぎない……?』
モーアンと出会ったのは洞窟を半分ほど過ぎたところでルクシアル寄り。移動距離で言ったらこの中の誰よりも短い。
崩落に巻き込まれて落ちそうになったといってもすぐに救出された上に戦闘はふたりに任せていたため、消耗は少ないはずだが……
そうこうしているうちに白い壁に囲まれたルクシアルの入口が近づくと、モーアンは前へと進み出る。
「さてさて、恩人である若人たちのため、ひと肌脱ぎますか!」
「モーアンさん?」
「僕はしばらく別行動をとるよ。杖を買うのと、神殿に謁見の手続きをするのと……そういうわけだから、夜に宿屋で落ち合おう」
ふたりを安心させるような優しげな微笑みを向けると、神官服の後ろ姿がルクシアルの町へと融けていく。
彼が話をつけてくれるなら、エイミたちはしばしの休息がとれそうだ。
「ついに来たな、ルクシアル」
「はい。これで、ようやく……」
エイミたちの当初の目的地、輝ける都ルクシアル。
整備された白い石畳。町中で暮らす人々の中に普通に神官の姿があるくらい、生活に溶け込んだ信仰都市だ。
町の中央では女神像の噴水の飛沫が、光を受けてきらきらと輝いている。
『浸るのは後よ。予約がいっぱいで門前払いだってありえるんだから』
「不吉なこと言うなって言われたろー?」
「ふふ。じゃあ、わたしたちも行きましょう!」
「おう!」
目指していた場所を前に、エイミたちの足取りが軽やかになる。
こうして、彼らはルクシアルへと辿り着いたのであった。
そこでどんな出来事が待ち受けているかなど、まだ何も知らずに――。
枝分かれしてる内部に迷い込むと結構大変なんだけどね、と説明するモーアンは、わかりやすく看板が立っているにもかかわらず好奇心で飛び込んで激しく後悔したことがあるのだとか。
ちなみに凶暴な魔物も増えるというその内部への入口には女神像があり、結界の力をもってトンネル部分との仕切りの役目を果たしているらしい。
「もしここの女神像の結界が弱まったら大変ですね……」
「……エイミ、それは思っても口に出さない方がいい。世の中には言霊というものがあるからね」
『よーするにフラグを建てるなってコトね』
かなり噛み砕いた物言いをする小竜に神官が苦笑いをする。
「おっ、外だぜ! ひゃっほー!」
出口から覗く大地の緑と、それを照らす陽の光。真っ先に飛び出したのは武器防具が身軽なぶん元気の有り余ったフォンドだった。
「あっ、待ってくださいフォンド!」
次いでエイミも槍を大事そうに抱えながら駆け出す。
ふたりとも暗い洞窟を抜けて安心したようで、笑顔が嬉しそうに輝いている。
「いやぁ、元気だねぇ。若いっていいねえ」
『さすがに老け込むのは早すぎない……?』
モーアンと出会ったのは洞窟を半分ほど過ぎたところでルクシアル寄り。移動距離で言ったらこの中の誰よりも短い。
崩落に巻き込まれて落ちそうになったといってもすぐに救出された上に戦闘はふたりに任せていたため、消耗は少ないはずだが……
そうこうしているうちに白い壁に囲まれたルクシアルの入口が近づくと、モーアンは前へと進み出る。
「さてさて、恩人である若人たちのため、ひと肌脱ぎますか!」
「モーアンさん?」
「僕はしばらく別行動をとるよ。杖を買うのと、神殿に謁見の手続きをするのと……そういうわけだから、夜に宿屋で落ち合おう」
ふたりを安心させるような優しげな微笑みを向けると、神官服の後ろ姿がルクシアルの町へと融けていく。
彼が話をつけてくれるなら、エイミたちはしばしの休息がとれそうだ。
「ついに来たな、ルクシアル」
「はい。これで、ようやく……」
エイミたちの当初の目的地、輝ける都ルクシアル。
整備された白い石畳。町中で暮らす人々の中に普通に神官の姿があるくらい、生活に溶け込んだ信仰都市だ。
町の中央では女神像の噴水の飛沫が、光を受けてきらきらと輝いている。
『浸るのは後よ。予約がいっぱいで門前払いだってありえるんだから』
「不吉なこと言うなって言われたろー?」
「ふふ。じゃあ、わたしたちも行きましょう!」
「おう!」
目指していた場所を前に、エイミたちの足取りが軽やかになる。
こうして、彼らはルクシアルへと辿り着いたのであった。
そこでどんな出来事が待ち受けているかなど、まだ何も知らずに――。