54:冷たき霊廟にて
エルフが暮らす島を覆うシルワの大樹海では、木の災禍が森の精力を吸い取っていたせいであれだけ生い茂っていた木々も力なく項垂れていた。
『ヨ、ヨウおめぇら、元気だったかい……?』
「元気ないのはミハルっちじゃん! しおしおだよ!?」
森の番人・ミハリソウのミハルも例外ではなかったが、エイミたちが事情を話すとフラフラしながらも災禍の封印場所へと案内してくれた。
そこで戦うことになった災禍は毒々しい巨大な妖花。茨の触手を縦横無尽に暴れさせ、毒や眠りの状態異常をばら撒く厄介な敵で、モーアンの回復魔法がこれでもかと活躍することに。
苦しい戦いの中やっとの思いで倒すと、森は元の活力を取り戻し、ミハルも見違えるほど元気になった。
『ヘイヘイ、オレっち復っ活ゥ! 絶好調だぜェ!』
「ごめんもう行くねー」
『ノォォウ!』
と、いつもの調子に戻ったミハルがくねくねとうねりながら軽快な言葉遊びを披露しようとしたが、余裕のない状況だからと先を急ぐことにして……
「災禍も残るは二体……ついにここまで来たね」
シルワ島からフリュエラに乗って飛び立ち、移動中。モーアンがしみじみと呟いた。
「闇と月かぁ……確かコクヨウが、ディフェットの霊廟が住処だって言っていたわね」
「王様たちのお墓だっけ?」
プリエールとサニーの会話が耳に入り、ぎくりと体を硬直させたのはフォンド。
錆びついた自動人形のようにガタついた動きで首をそちらへ向けるその顔は真っ青で。
「つ……ついに行くのか……」
「いつかは行かなきゃいけないんだろうが。嫌なら留守番してるか?」
オバケが怖いんだろ?
言外にそう含め、シグルスがフォンドを窺った。
「い、嫌だとか怖いとかないし! 闇の災禍か……ううう腕が鳴るぜ!」
「やれやれ、頼もしいことだな……おいフリュエラ、先にディフェットに降りてくれ」
フォンドの強がりを軽く流したシグルスは、上空から故郷を見下ろした。
城塞都市である騎士王国は塀に囲まれた城と町が特徴的で、遠くからでもすぐにわかる。
「ディフェットに何か用があるんですか?」
「霊廟の奥に入るには王の許可がいる。なるべく早く手続きを済ませてくるから、お前らは町で休んでいろ」
この世界に起こりつつある危機などまだ知らないかのように穏やかな街並みを一瞥すると、フリュエラは近くの平原へと降りていく。
「なあモーアンさん……手ぇ握っててくれる?」
「怖いとかないんじゃなかったのかい、フォンド……?」
密かに交わされたやりとりは、聖獣の羽ばたきによって周囲には聴こえることなく掻き消えた。
『ヨ、ヨウおめぇら、元気だったかい……?』
「元気ないのはミハルっちじゃん! しおしおだよ!?」
森の番人・ミハリソウのミハルも例外ではなかったが、エイミたちが事情を話すとフラフラしながらも災禍の封印場所へと案内してくれた。
そこで戦うことになった災禍は毒々しい巨大な妖花。茨の触手を縦横無尽に暴れさせ、毒や眠りの状態異常をばら撒く厄介な敵で、モーアンの回復魔法がこれでもかと活躍することに。
苦しい戦いの中やっとの思いで倒すと、森は元の活力を取り戻し、ミハルも見違えるほど元気になった。
『ヘイヘイ、オレっち復っ活ゥ! 絶好調だぜェ!』
「ごめんもう行くねー」
『ノォォウ!』
と、いつもの調子に戻ったミハルがくねくねとうねりながら軽快な言葉遊びを披露しようとしたが、余裕のない状況だからと先を急ぐことにして……
「災禍も残るは二体……ついにここまで来たね」
シルワ島からフリュエラに乗って飛び立ち、移動中。モーアンがしみじみと呟いた。
「闇と月かぁ……確かコクヨウが、ディフェットの霊廟が住処だって言っていたわね」
「王様たちのお墓だっけ?」
プリエールとサニーの会話が耳に入り、ぎくりと体を硬直させたのはフォンド。
錆びついた自動人形のようにガタついた動きで首をそちらへ向けるその顔は真っ青で。
「つ……ついに行くのか……」
「いつかは行かなきゃいけないんだろうが。嫌なら留守番してるか?」
オバケが怖いんだろ?
言外にそう含め、シグルスがフォンドを窺った。
「い、嫌だとか怖いとかないし! 闇の災禍か……ううう腕が鳴るぜ!」
「やれやれ、頼もしいことだな……おいフリュエラ、先にディフェットに降りてくれ」
フォンドの強がりを軽く流したシグルスは、上空から故郷を見下ろした。
城塞都市である騎士王国は塀に囲まれた城と町が特徴的で、遠くからでもすぐにわかる。
「ディフェットに何か用があるんですか?」
「霊廟の奥に入るには王の許可がいる。なるべく早く手続きを済ませてくるから、お前らは町で休んでいろ」
この世界に起こりつつある危機などまだ知らないかのように穏やかな街並みを一瞥すると、フリュエラは近くの平原へと降りていく。
「なあモーアンさん……手ぇ握っててくれる?」
「怖いとかないんじゃなかったのかい、フォンド……?」
密かに交わされたやりとりは、聖獣の羽ばたきによって周囲には聴こえることなく掻き消えた。
