52:二体目の災禍
やはりというべきか、封印の地は最奥部にあった。
道中の魔物を退けながら進んだ先には、地の災禍の時と同じく大広間の中心に白い石柱が。
柱に埋め込まれた石は光精霊ディアマントと同じ青白い色をしていて、ぼうっとした輝きが鼓動のように断続的に明滅している。
「前回もそうだったけど、封印の周りって他の魔物いねえな……」
辺りを見回して、そう呟くフォンド。
ここに来るまで幾度となく襲ってきた魔物たちも鳴りを潜め、大広間はしんと静まり返っている。
「そりゃあ地元の魔物からしても迷惑な存在だからでしょ。住処を脅かされるんだから」
『災禍には仲間と呼べるものはない。ただ破壊を振り撒くだけの存在じゃからのう』
生物の気を取り込み、周囲を破壊し尽くす災禍。
この世界、レレニティアに生きるどの生物にとっても天敵といえる、相容れない存在だ。
『あまりこちらの常識や感覚で考えんほうが良い。そうして奪われた命のことを考えるならのう』
「……うん。そうだね」
何のために存在して、破壊するのか――災禍には、もしかしたら意思と呼べるものもないのかもしれない。
一行は気持ちを切り替え、封印を破壊して災禍を呼び起こすことに。
「たあっ!」
エイミが槍を振り下ろすと石柱に埋め込まれた石が割れ落ち、砂となって消える。
地鳴りのような音が響き、足元が揺らぐ。ピシ、ピシッと石柱に亀裂が走り、そこから光が漏れ、周囲を満たす。
「うわっ!?」
光と揺れがおさまり、視界が回復するとそこに巨大な……タコのようなクラゲのような、無数の足を生やした軟体生物が現れた。
およそ自然界に存在するとは思えない蛍光イエローのボディ。頭部らしき部分にはつぶらな目っぽいふたつの点と、小さな口がひとつ。ちょうど顔のようになっているのだが……
「え、えーと……」
「シュヴィナーレの親戚?」
突然名前を出された海の聖獣がもしこの発言を聞いていれば、全力で否定してきただろう。
あの優美なドレスのような姿をしたシュヴィナーレと、不気味さとゆるさが混在した巨大軟体生物とでは決定的に何かが……それが何とはハッキリ言えないが、異なることは確かだ。
と、足元で騒ぐ人間たちに気づいた災禍が口に見える穴をずるりと開き、内部から大きな目玉を出現させた。
「うお!」
「ひぇ、そこが目だったの!?」
思わずそう驚くサニーめがけ、災禍が目玉から白い光を放つ。
広範囲を焼く光線はさすがの身軽な彼女も避けられないかと思われたが……
「魔鏡よ、襲い来る刃を反転し、己が力と変えよ!」
「っ!」
モーアンの声が響いたかと思えばサニーの前に薄く透明な板が現れ、災禍の攻撃を跳ね返す。
獲物を仕留め損ねた光線は真っ黒に染まると角度を変え、地面に落ちて爆発し、その箇所を大きく抉った。
「あ、ありがと、モーアン兄ちゃん」
「なあモーアンさん、その術……」
ふう、と額を腕で拭った神官は、驚く若者たちに微笑んでみせる。
「どうにか間に合ったね……この洞窟からヒントを得た、新しい魔法さ。敵の魔法を跳ね返し、ついでに属性も反転させるんだ」
こんなに早く活躍の場が来るとは思わなかったけど、なんて言いながら。
道中の魔物を退けながら進んだ先には、地の災禍の時と同じく大広間の中心に白い石柱が。
柱に埋め込まれた石は光精霊ディアマントと同じ青白い色をしていて、ぼうっとした輝きが鼓動のように断続的に明滅している。
「前回もそうだったけど、封印の周りって他の魔物いねえな……」
辺りを見回して、そう呟くフォンド。
ここに来るまで幾度となく襲ってきた魔物たちも鳴りを潜め、大広間はしんと静まり返っている。
「そりゃあ地元の魔物からしても迷惑な存在だからでしょ。住処を脅かされるんだから」
『災禍には仲間と呼べるものはない。ただ破壊を振り撒くだけの存在じゃからのう』
生物の気を取り込み、周囲を破壊し尽くす災禍。
この世界、レレニティアに生きるどの生物にとっても天敵といえる、相容れない存在だ。
『あまりこちらの常識や感覚で考えんほうが良い。そうして奪われた命のことを考えるならのう』
「……うん。そうだね」
何のために存在して、破壊するのか――災禍には、もしかしたら意思と呼べるものもないのかもしれない。
一行は気持ちを切り替え、封印を破壊して災禍を呼び起こすことに。
「たあっ!」
エイミが槍を振り下ろすと石柱に埋め込まれた石が割れ落ち、砂となって消える。
地鳴りのような音が響き、足元が揺らぐ。ピシ、ピシッと石柱に亀裂が走り、そこから光が漏れ、周囲を満たす。
「うわっ!?」
光と揺れがおさまり、視界が回復するとそこに巨大な……タコのようなクラゲのような、無数の足を生やした軟体生物が現れた。
およそ自然界に存在するとは思えない蛍光イエローのボディ。頭部らしき部分にはつぶらな目っぽいふたつの点と、小さな口がひとつ。ちょうど顔のようになっているのだが……
「え、えーと……」
「シュヴィナーレの親戚?」
突然名前を出された海の聖獣がもしこの発言を聞いていれば、全力で否定してきただろう。
あの優美なドレスのような姿をしたシュヴィナーレと、不気味さとゆるさが混在した巨大軟体生物とでは決定的に何かが……それが何とはハッキリ言えないが、異なることは確かだ。
と、足元で騒ぐ人間たちに気づいた災禍が口に見える穴をずるりと開き、内部から大きな目玉を出現させた。
「うお!」
「ひぇ、そこが目だったの!?」
思わずそう驚くサニーめがけ、災禍が目玉から白い光を放つ。
広範囲を焼く光線はさすがの身軽な彼女も避けられないかと思われたが……
「魔鏡よ、襲い来る刃を反転し、己が力と変えよ!」
「っ!」
モーアンの声が響いたかと思えばサニーの前に薄く透明な板が現れ、災禍の攻撃を跳ね返す。
獲物を仕留め損ねた光線は真っ黒に染まると角度を変え、地面に落ちて爆発し、その箇所を大きく抉った。
「あ、ありがと、モーアン兄ちゃん」
「なあモーアンさん、その術……」
ふう、と額を腕で拭った神官は、驚く若者たちに微笑んでみせる。
「どうにか間に合ったね……この洞窟からヒントを得た、新しい魔法さ。敵の魔法を跳ね返し、ついでに属性も反転させるんだ」
こんなに早く活躍の場が来るとは思わなかったけど、なんて言いながら。
